税理士試験における丸暗記リスクとは
はじめに
税理士試験受験生の皆さん、こんにちは。税理士兼不動産鑑定士合格者の井上幹康です。
とかく税理士試験では税法科目の理論暗記が必須といわれていますが、今回はその理論の丸暗記が逆にリスクになってしまう場合がある点について実体験をもとにご紹介します。
理論の丸暗記リスクとは
税理士試験試験は法規集の持ち込みができないので理論対策としてある程度税法理論を暗記していかないと勝負にならないのは確かです。
一般的には、大原の理論サブノートやTACの理論マスターといった暗記本で暗記してると思いますし、私も使っていました。
法人税法に関しては、大原通学で理論サブノートで暗記をしていましたが、全部の理論を見ないで空で言えるようなレベルで丸暗記はしていませんでした。それで法人税法は初学者でしたが1回で受かってますし、受かる自信もありました。
もっとも法人税法の理論は数が多いので全部覚えようとしても受験専念でもないと時間的に厳しいかもしれません。
一方で、消費税法や事業税は理論数が法人税法に比べて格段に少ないので全理論を暗記している方も多いと思いますし、私もそうでした。
ですが、消費税法と事業税は初回受験時は不合格で2回目で合格しています。不合格の原因はいくつかありますが、そのうちの1つに丸暗記した理論を吐き出すことしかできず、問に対して答えられていなかったというのがあります。
丸暗記自体は時間と根気がいる作業ですが、ある意味考えないでできる作業なので楽といえば楽です。そして、それをやりすぎると考えることを放棄してしまいがちになります。
本試験では、問題文をよく読まないと思わぬひっかけがあったり、丸暗記した理論をべた書きすると時間がかかり計算の時間が無くなるリスクが潜んでいます。
私自身は消費税と事業税の不合格という結果で身をもってこのリスクを経験しましたので、2回目の受験ではあえて丸暗記しすぎないようにして考える勉強の時間を増やしました。
具体的には、
改正項目はなぜその改正が行われたのかの趣旨を知る
各条文の趣旨を知る
基本通達逐条解説を読む
市販の一問一答形式の事例集を読む
国税庁質疑応答事例を読む
理論問題を解く際もいきなり書かないで必ず答案構成(柱上げ)をする
長い理論は時間が足りなくなった際にもある程度短縮して書いて部分点が取れるように短縮形の理論を作る
などをしてました。
結果、2回目の受験で消費税も事業税の2科目とも合格できました。
おわりに
理論の勉強法も人それぞれで丸暗記して合格してる方もいると思うので、私の考え方が絶対ではありませんが、思い当たる節がある方は、何か考えを変えるきっかけになれば幸いです。
本試験は何回受けても当日は異常なまでに緊張しています。そんな緊張感の中では、問題文をサーっと読み、あまり考えずに丸暗記してきた理論をべた書きするのが楽で、解答欄が埋まっていく安心感がありますが、考える作業の抜け落ちたべた書き答案は試験委員が要求している答案なのでしょうか?
問を読む → 考える → 解答する
というシンプルで当たり前のことが、丸暗記に走りすぎると「考える」部分を飛ばしがちになるので是非注意してください。
はじめまして。ご訪問ありがとうございます。開業税理士の井上幹康と申します。