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令和3年度不動産鑑定士論文試験/鑑定理論第4問/解答速報(解答骨子+ポイントコメント)
はじめに
不動産鑑定士試験受験生の皆さん、こんにちは。
税理士・不動産鑑定士の井上です。
本日令和3年8月16日午前に実施された令和3年度不動産鑑定士論文試験の鑑定理論第4問の解答速報(骨子+簡単なポイントコメント)を以下ご紹介します。
なお、問題は山口先生のブログにアップされていますのでそちらご参照ください。
解答速報(骨子+簡単なポイントコメント)
第4問 底地の鑑定評価
(1)底地価格とは何か。借地権設定者に帰属する経済的利益に触れて説明せよ。
➀地代徴収権に基づく経済的利益の現在価値+②将来見込まれる一時金の経済的利益の現在価値+③期間満了により更地復帰する経済的利益の現在価値
(2)普通借地権の底地の鑑定評価額(正常価格)の求め方
➀収益還元法(実際支払地代ベース)
純収益=実際支払地代(+保証金の運用益あれば)―土地公租公課(+管理費あれば)
還元利回り=借地人以外の第三者との底地取引事例が入手困難なので比準利回りは査定困難。もし事例の利回りが入手できた場合でも表面利回りであればそのまま使用できないので注意。実務上は、地価公示の土地還元利回りを基に補修性する方法が考えられる。
将来見込まれる一時金の現在価値は、価格時点から比較的近い将来見込まれる一時金(更新料等)の発生の蓋然性が高い場合には、将来見込まれる一時金の現在価値を査定して加算する。
②取引事例比較法
実務上比較可能な底地の取引事例(借地人以外の第三者との取引事例)が入手困難なので適用できない場合が多い。実務上代替法として借地権割合法を準用した③底地割合法(更地価格×底地割合)が用いられることが多い。
(3)➀定期借地権の底地(期間満了が近い)の鑑定評価の留意点
定期借地契約の場合、契約期間満了で確定的に契約終了し、原則的には更地返還される(契約書の期間満了時の取扱いを確認すること)。収益還元法(有期還元法(インウッド)、DCF法)で復帰価格(更地価格)の現在価値を求めて加算する必要がある。
(3)②定期借地権の底地(期間満了が近い)の鑑定評価にあたり、借地権設定者に帰属する経済的利益としてどのような点が重視されるか。
以下借地権設定者に帰属する経済的利益3項目のうち、底地価格の構成要素として①に加え特に③の経済的利益が顕在化される点を重視して評価すべき。一方で、期間満了が近いことから②の経済的利益は顕在化しないと考えられる。
➀地代徴収権に基づく経済的利益の現在価値+②将来見込まれる一時金の経済的利益の現在価値+③期間満了により更地復帰する経済的利益の現在価値
所感
問題自体は比較的簡単だと思います。
普通借地権の底地と定期借地権の底地のそれぞれの鑑定評価について、借地権設定者に帰属する経済的利益と絡めて解答が書けると(1)から(3)まで流れのよい答案になると思います。
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