愛が重すぎて愛を自滅させるバンギャの話。
あたしは、もともとメンがヘラっているので。
当然…大好きなアーティストさんへの愛も「激情型」である。
今までは、ライヴに行くことでアーティストさんへの愛を感じていたし、あたしは愛を捧げていた。その時間さえあれば他に何もいらなかった。現実世界なんていつ滅びても良かった。
でも、コビット19で逢瀬が叶わなくなり、アーティストさんに逢えなくなってしまった。
全く逢えない日々がしばらく続いた後、アーティストさんは自分の映像の配信により、愛を伝えようとしてくれた。すごく嬉しかった。でも、映像配信を何回か観ていて…あたしは気づいちゃった。
画面から溢れてくる彼からの愛は感じるけれど、
あたしの愛は画面の向こうに届かない…って。
こんなめんどくさい女のメンタルを気遣うように、アーティストさんは「愛は伝わってるよ」と笑顔で言う。
あたしの「カレ」は感情の機微にめざとい人だ。画面の向こうの…たくさんいる女の一人の…そんな微妙な感情をさえ察してくれたのかもしれない。
「観客のいないライヴはやらない」
「観客がステージに悪魔を召喚してくれるのだから」
と、
君たちが僕には絶対に必要なんだってことを強く言う。
無観客ライヴはやらないってこと。
つまり、トレンドの配信ライヴはやらないってこと。
画面越で愛が届かないもどかしさを理解してくれたのかな…そう考えるとうれしかった。
でも、そうなると、今の状況からして有観客ライヴなんて無期限延期みたいなもんだな。しばらくないんだな。淋しいけれどいろいろ諦めようって思ってた。
でも、最近、そのアーティストさんが「有観客ライヴ」をやると発表した。かなりの制約が付いた厳戒態勢のライヴだ。
大好きな人に逢える!そう思った。
でも喜びも束の間…いろんなことが頭をよぎった。
もし、これで、あたしが感染したら…
考えるとコワかった。
正直なところ自分が罹るのがコワイのではない。自分の身体なぞどうでもいい。今までも無鉄砲に生きてきたのだから。
でも、大切なライヴ関係者に汚名を着せてしまうことだけは絶対に嫌なのだ。
もし、あたしがコビット19に感染してしまい、ライヴ参加者であることが知られれば、必ずや疑われるのはライヴハウス。職場かも知れないし、通勤電車かも知れないのに、きっと疑われるのはライヴハウス。
すごい偏見なんだけど、今の社会がそう思っているのだから仕方がない。
おまけに、うちのお堅い両親からすれば、あたしがライヴ参加後1ヶ月以上経ってから発症したとしても、ライヴハウスのせいにしそうだもんな。
それらを考えて、苦渋の決断で、ライヴ申し込みは諦めた。
「苦渋」なんて二文字で収まるような気持ちではない。カラダの穴とゆう穴から毒素が滴るくらいに辛いし、苦しい。
まー、申し込みしたところで、当選倍率スゴそうだし、ハズレたかも知れないけどさ。
ハズレたのと、申し込みしなかった、のは違うじゃん。
それなので、あたしは、今、モーレツに病んでる。持病的なモノがぜんぶ出てる。
頭イタイし、胃腸もイタイし、耳の中もイタイし…
だからね…
このライヴには「同時映像配信」もあるのだけど…
ヤミ過ぎて…それも見ないことにした。
えっ?って思うでしょ?
あたしだって、よく分からないよ。
でもね…訳の分からない結論だけどね…
好き過ぎて、もう見られないのよ。
あたしは、生身の恋愛で大怪我したリアルに痛い女なのだけど。
そんな女だから、バンギャになってバーチャル恋愛で欲求満たして、それはそれで幸せだったのに。
まさか、バーチャル恋愛まで病むとは思わなかったな。
あたしの愛はいつも重すぎて、自滅するんだな。
ほんとうに辛い。
こんなメンヘラコラムをいつか笑える日が来ますように。