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カナダオンタリオ州、medicine病棟の正看護師の1日

カナダで働きはじめてからあっという間に五年経ちました。 
Medicine病棟という、日本でいう一般病棟のようなところで働いてるのですが、その一日の流れと、私が考えるカナダで看護師として働くメリットデメリットを紹介。


日勤

6:45-50
出勤、夜勤から申し送りを受ける

7:00
受け持ち患者さん(4~5人)の部屋をまわり患者さん達をチェック、自己紹介

7:00~7:15
ざっと電カルと最新の医師ノートをみて、オーダーをチェックし、本日の検査等確認

7:15~8:00 
バイタルサイン測定、head to toe assessment、朝の投薬、血糖測定、トイレ介助、コールベル(ナースコールのこと)対応

薬は、ACUDOSEというマシーンから患者の名前を選んで引き出しから取り出す
(YouTubeにどうやって薬を取り出すかがビデオになってるので、興味のある人は見てみてください。https://m.youtube.com/watch?v=Opp8xdHKz84)

8:00
朝食
助手さんがいると、食事介助、トイレ介助、ナースコール対応などなど、色々と手伝ってくれる
合間に記録

9:00
清拭や清潔介助、記録、
受け持ちが軽いと、この時点で主要な記録は終わる
朝に採血がされてれば結果のチェック(採血は検査技士さん)
検査のある患者さんのストレッチャーへの移乗を手伝う(ポーターと呼ばれる人達が検査出し)

9:15~
休憩を取り始める
午前中は30分休憩

11:30 
血糖測定、昼の投薬、昼食準備

12:00
あれば昼食介助

13:00
午前に終わらなかった清潔ケア介助や残ってる記録

13:30
徐々に休憩に入り始める
午後は1時間の休憩

16:30
夕食の準備、投薬

17:00
夕食

17:30
勤務終了前のルティーン、incontinentの患者さん達のオムツチェックと交換
Foley(尿カテーテル)や、ドレーン類などのアウトをチェック
PCAポンプの投与量やボーラス回数をチェック
TPNバッグとラインの交換
腹膜透析患者さんのサイクラーの準備

18:40
夜勤さんが出勤し始めるので来た人から申し送り

19:00
申し送りが終わったら勤務終了

メリット

  • シフトが12時間勤務(日勤7-19時、夜勤19-7時)なので、日勤の場合、清潔ケアや創傷処置など午前に終わらせなくても午後にまわせる、昼間は忙しめなので12時間は大して長くない

  • 夜勤の受け持ちは5~6人、夜はかなり落ち着いている

  • 採血は検査科、配膳はキッチンスタッフ、検査出しはポーター、事務仕事はクラーク、ADL介助や清潔ケアは助手さんがかなりやってくれる、業務配分がされており看護に集中できる

  • 退院看護師がいるので、患者さんの退院はやってもらえる

  • 勤務終了間際に入院がある場合、入院関連の記録、薬の入力など全て次の勤務の看護師がやるので、残ってやらなくても良い

  • 休憩がきちんと取れる

  • 電子カルテで記録はすでにあるリストから選ぶ方式なので簡単で時間がかからない、特別なことがあれば記述式で記録。(うちで使ってる電子カルテのリンクhttps://emrmonashhealth.org/wp-content/uploads/2021/09/Interactive-View-Customisation-and-Documentation-QRG-v4-1.pdf)

  • 委員会がない

  • 残業もほぼない

  • 失礼な態度、スタッフに対して敬意の欠けるような態度の患者には、そういう態度ならこちらはケアを提供できません、ナースコール押しても来ませんから、とばしっと言える。(患者に言われたことやその態度はきちんと記録)

  • セクハラ、暴力行為(認知症や混乱してる患者さんからでも)はマネジャーに報告、警察も呼びたければ呼べる

  • 患者が暴力的になったら、館内放送でコードホワイトをするとセキュリティとチームがすぐ駆けつけてくれる

  • 抑制されてる患者さんや暴力的になる患者さんのケアでナースだけで不安がある場合は、セキュリティを呼んで手伝ってもらえる

  • 抜糸、抜こう、ドレーン抜去、CVカテやPICCの抜去は、医師がオーダーすれば看護師ができるので、処置に医師を待たなくてよくて便利

  • 医師含めスタッフは怒鳴らないし声をあらげない

  • 病院で働く正看護師の一年目の時給が4200円くらいからスタート、八年目に最高額となり、6000円~6500円で頭打ち (1ドル107円計算、こちらは物価や賃貸は高く、目安として私の借りてる広めの1LDKが月15万、食費が娘と二人で月に5万円くらい)

  • 有給休暇は年に150時間

  • 2週間の休暇は取りたければ簡単に年に2、3回取れ、1ヶ月休暇も可能。フルタイムのシフトが2日勤2夜勤5休のローテーションなので、この2日勤2夜勤の計4日有給を取ると前後の休みを合わせて14日の休暇に。同僚とシフトを変更して2ヶ月くらい休む人も。有給は日本みたいに消滅することはない。

  • 祝日や、5休の間にシフトをピックアップして働くと給与は1.5倍、クリスマスと正月は2倍

  • 義務の勉強会は給与が支払われる

  • 正社員でも副業できる、仕事を掛け持ちして5休の間に別の職場でシフトを取って働いてる人も

  • 看護師という職業がリスペクトされており、感謝されることも多い


デメリット

  • 人によっては12時間が長いと感じるかも

  • 医師があまり病棟にこない

  • 清潔不潔が日本よりいい加減で、驚くことはある

  • カナダ国外からの看護師も多く母国での教育の違いなどから、看護師によってケアの質が違うことがあったり知識や技術の差が激しいことがある

  • ボーナスなし、家賃手当てなし、交通手当てなし

  • 患者さんに差別発言をされることがたまにある

  • 当たり前だが働くのに英語が必要


まとめ
日本で働くのに比べて業務が忙しすぎないこと、働く者の権利がきちんと保証されてること、業務配分がきちんとされ看護業務に集中できること、給料がそこそこもらえること、看護師が社会の中で尊敬される職業であることなど、私のなかでメリットが大きいのでカナダに残っていますが、カナダが合わずに日本に帰る看護師もいます。
自分がどう思うかは一度経験してみないとわからないとは思いますが、職場環境が日本より恵まれていることもあり、カナダで働くことを選ぶ日本人看護師が多いのは事実です。
日本での看護師の職場環境や給料が改善され、わざわざ良い職場環境を求めて海外に行く必要がないのが理想ですが、そうなるにはまだまだ時間がかかるのではと思っています。

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