【観戦記】姫ちゃんの笑顔 ~第10節東京SGvs.トヨタV
今シーズン苦戦を強いられているトヨタヴェルブリッツ(トヨタV)が昨シーズン準優勝の強豪である東京サントリーサンゴリアス(東京SG)を 27-20 で撃破した。
この日のゲームキャプテンは、日本代表でもある姫野選手。戦う顔もメディア向けの笑顔も好きだけど、勝利の笑顔が一番素敵だ。
試合の見どころと個人的注目選手
今シーズンのトヨタVは苦しい戦いが続いている。この試合を前に3勝6敗っで、DIVISION2との入替戦の対象となる10位に位置している。
対する東京SGは8勝1敗の3位と優勝争いをする強豪だ。
しかし、トヨタVはもともと力のあるチームだ。南アフリカ代表であるFLデュトイ選手、FB(この日はSO)ルル―選手を有し日本代表選手も多数所属する。個人では決して他のチームの引けを取らない。かつ、チームを率いるDirector of Rugby はラグビーワールドカップ2019™日本大会で南アフリカを優勝に導いたスティーブ・ハンセン氏。スタッフも南アフリカ勢を中心に優秀なメンバーを揃える。
順位表で目を引くのは反則数の少なさだ。唯一の2ケタ台で成績上位チームを抜いている。
でも、勝てない。
プレーは激しく積極的なアタックもあるが、肝心なところでハンドリングエラーがあり得点を取り切れない。詰めが甘く見えてしまうというか….とても惜しいのだ。この試合では最後まで集中力を切らさない試合展開を期待したい。
注目選手、というかこの試合でプレーを見るのが楽しみなのは、FLデュトイ選手。2019年のワールドラグビー最優秀選手に輝いているデュトイ選手は、とにかく運動量が多い。どの場面にも顔を出し、タックルで相手を仕留めるとすぐに立ち上がり次のフォローに入る。その献身的なプレーを秩父宮で馬塚で見られることが楽しみだ。
会場の様子
東京SGのホームゲームで会場は秩父宮ラグビー場。暖かい陽気も味方して多くの観客が訪れた。ノンメンバーとのハイタッチが設けられたり、サインや写真も応じてくれるなど、新型コロナウイルス感染予防対策が少し緩み、ラグビーの日常が帰ってきたような風景が見られた。
今にも雨が降り出しそうな曇り空(この後試合中は雨がぱらつく)、気温は14℃で風はバックスタントからメインスタンド方向に弱い風が吹いている。観戦もプレーもしやすそうな天候だ。
試合展開
先制したのはトヨタV。前半8分にゴール前右端のスクラムからボールを出すと横に展開、中央でボールを受け取ったWTB高橋選手がランすると見せかけ左端のWTBツイドラキ選手にロングパスを投げる。パスに見事に合わせたツイドラキ選手が先制トライを決めた。普段は自身のランと強い突破力でトライをとる高橋選手だからこそダミーがした。前半には、この日アーリーエントリー制度適用で出場したFLマプスア選手が密集から相手のスキをついてボールを出してトライを決めた。八キャップで初トライを得た。
前半リードで折り返したトヨタV、この日は後半も手を緩めることなくアタックし続けた。強いFW陣がモールを武器にトライを挙げた。
東京SGもいつものスピードアタックを見せるが、トヨタVが東京SGをタックルで抑え込んだゲームだった。その中でもFLデュトイ選手は圧巻だった。相手にブレイクされても後ろからしっかり一人で仕留める。タックルが成功するとすぐに立ち上がって次のディフェンスに備える。派手なプレーは少ない仕事人は最後まで体を張ってくれた。
おめでとう、トヨタV
強いFWがしっかり相手を抑える、走るBKがラインブレイクをして前進する。本来のトヨタVの力が十二分に発揮された試合だった。
相手は強豪・東京SGなので最後まで気が休まる瞬間はなかったけれど、全力応援して歓喜しました。
こちらこそありがとうございました。
全体順位では9位と苦しい状況は変わらない。でも、今日の勢いに乗って上昇してくれると信じています。
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