【RWC2023】ラグビーのポジションの話(ポジション別注目選手)
「ラグビーって選手の見た目がバラバラなんですね。」過去記事を見たラグビー初心者さんの感想。
比較すると例えばサッカーはみんなスマートで、背の高さや体格の大きさがポジションごとに違う印象はありません。一方でラグビーは縦も横もバラエティ豊かです。それはポジションごとに求められる役割、プレーが異なるためです。
そこで、ラグビーワールドカップ2023™フランス大会を前に、ラグビーのポジションについてご紹介します。(前回大会の記事をもとにしています。)
ラグビーは1チームを15人。つまり両チームで30人、現在世界的に行われている球技の中では最多人数のスポーツです。ラグビーはポジションが一人ずつに割り当てられます。ポジションごとに背番号が決まっています。
ポジション(役割と背番号)
15人を大きく分けると 背番号1~8番をフォワード(FW)、9~15番をバックス(BK)と呼びます。特に9・10番をハーフバックス(HB)と呼ぶこともあります。
フォワード(FW)
スクラムを組んだり、ラインアウトでボールを奪う、密集で力強いプレーをするパワー系。
ハーフバック(HB)
チームの司令塔的存在。セットプレー(スクラムやラインアウト)や密集からのボールを取り出し、次の展開を作っていく頭脳系。
バックス(BK)
FWが出したボールをパスやキック、ランで相手陣に運びトライに繋げるスピード系。またディフェンスでは後方で構えて砦となります。
次はさらに各ポジションを見ていきます。
フォワード(略称:FW、背番号:1~8番)
プロップ(略称:PR、背番号:左プロップ 1番/右プロップ 3番)
スクラムの最前列で前から敵が押してくる力を支え、後ろから味方が押してくる力をしっかり相手に伝える役。代表クラスでは体重は120kgを超えるのは当たり前で最重量級の選手が多い。こんなに力がかかる辛いポジションを引き受けるプロップは優しい縁の下の力持ちで「結婚したい男No.1ポジション」と言われます。
フッカー(略称:HO、背番号:2番)
名前の通り、スクラムを組むときに中心の最前列で「フック」となる役割。スクラムの作戦の中心を担います。また、ラインアウトのときにボールを投げる役割はフッカーが担うことが多いです。ボールを投げ入れた後に、ラインアウトモールの最後方から入るためモール内でボールの運び手となります。そsのためフォワードの選手ではトライ数が多いのも特徴です。
ロック(略称:LO、背番号:左ロック 4番/右ロック 5番)
ラインアウトの中心選手。ジャンプする選手を持ち上げる、または自分でジャンプします。またラインアウト後に固まって押していく密集では軸を担います。そのプレーのため、世界レベルでは2m超えるのが当たり前というくらいの長身の選手が多いです。
フランカー(略称FL:、背番号:右フランカー 6番/左フランカー 7番)
必殺仕事人。相手をタックルで止め、さらにジャッカル(タックルで倒した相手からボールを奪う)をする選手。またスクラムの一番外側で前にしっかり押す。だからチームで一番の運動量、「献身的」という言葉が一番似合う紳士のポジション。
No.8(略称:No.8、背番号:8番)
スクラムを最後尾から押すとともに、スクラムの最後尾から出るボールをいち早くキャッチしてボールをキャリーする(運ぶ)選手。フォワードからバックスへのつなぎ役として縦横無尽に動く選手が多いです。
そのプレースタイルのせいか自由人が多い印象。
バックス(略称:BK、背番号:9~15番)
スクラムハーフ(略称:SH、背番号:9番)
スクラムにボールを入れる、スクラムやラックから素早くボールを出しバックスにつなぐ攻撃の起点。スクラムしゃがんだ姿勢からパスを出す独特の動作をこなすSHは、世界的にも170cmに満たない一般男性でも小柄に見える選手が多いです。大柄な選手を自分の指示で動かすFWの指令担当のためか、強気なオレ様キャラが多いのも世界的な特徴。
スタンドオフ(略称:SO、背番号:10番)
海外では「フライハーフ(FH)」と呼ばれるゲームの司令塔。SHから受け取ったボールをパス・キック・ランを組み合わせて攻撃の戦術を作りメンバーを動かします。瞬時の状況把握力と判断力が求められるポジション。SH同様全体を俺が動かす使命感からか、世界的にも王様キャラのメンタル強め。
日本代表ではゴール後のキックやペナルティキックを担うことも多い。
センター(略称:CTB、背番号:右センター12番/左センター13番)
バックスのキーマン。SOの戦略を支え、攻撃の形を作る。スクラムからバックスにわたったボールを前に運ぶ役割を担うとともに、バックスラインでの強いタックルも求められる。FL同様に運動量が多く当たり負けない選手が多いポジションです。
ウィング(略称:WTB、背番号:右ウィング11番/左ウィング14番)
ラグビーの花形ポジションの1つ。ラグビー選手の「生まれ変わったらなりたいポジション」No.1。つながってきたボールをもらったら一気にトライをする。そのため求められるのは爆発的な速さ。ボール受け取る前~トライまでの数十mの短い距離での速さが光ります。10m走なら陸上短距離選手並み、という選手も多数。
フルバック(略称:FB、背番号:15番)
チームメンバの最後尾に控え、攻撃ではハイパント(キックでボールを高く蹴り上げるプレー、ボールの滞空時間が長い間に後ろの選手がボールを奪取する)をして攻撃の起点となり、守備では最後の砦となるポジション。バックスの中では比較的がっしりした体形で高身長な選手が多い。
リザーブ(16番以降)
16番以降、ラグビーワールドカップでは16~23番はリザーブと呼ばれるベンチスタートの選手。スピードが速く高いフィットネスが求めらる現代ラグビーにおいて、リザーブ選手は「補欠」「誰かがケガをしたら出る」だけではなく、戦略的に交代をするための要員となっています。
入っただけでゲームの流れを変えられる「インパクトプレーヤー」としての役割もあり、交代で出場した瞬間から120%の力を発揮し、短時間でチームに貢献することが求められます。
日本代表の選出にあたって、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが選手選抜のポイントを「複数ポジションできること」を上げましたが、それは15人に対してリザーブが7人のため。7人のうち3にんはスクラム第1列(プロップ、フッカー)、また1名は特殊専門職であるスクラムハーフが入るため、残りのリザーブ3名には、複数ポジションができる柔軟性(ユーティリティプレイヤー)が求められます。
ラグビーは多様性
ポジションによって求められる能力が異なるラグビーでは、いろんな体系や能力の人にポジション・役割があるスポーツです。ラインアウトでボールを取るためには背の高い人も、リフトをする力持ちも必要、スクラムで負けないために重量のある人も、ボールを出す小さくてすばしっこい人も必要。というように、どこかに自分が果たすべき役割がある、まさに「多様性」「ダイバーシティ」なスポーツです。