推し活と白髪
最近の私たちは、白髪の扱いはずいぶんとこなれてきました。
もとよりプラチナブロンドと言って讃えたり、グレーヘアと呼んで褒めたりしてきましたから、白髪についてはまあいいのです。
ですが、〝白毛〟の出現が鼻腔内であったり、もっと言うとシークレットゾーンの中だったりするとそうはいきません。
鼻から飛び出た白毛に「あら、プラチナ鼻毛ね素敵!」と言ってくださる人はいないし、さらに下部のソレともなれば何をか言わんやです。
これらは、もし人に見つかれば「やだぁ!」とか言って道化をやらねばならんし、自分で気づいたとしても、なんとももの悲しい。
ただ、人に発見されるよりは密かに伐採するほうが、私は胸が安らぎます。ここしばらくマスク生活が続き、鼻白毛にとってはのびのび過ごせたことと思います。
でも顔の下半分をあらわにする機会も増え、油断はできなくなりました。
……といって鏡を覗いたら、早速白い何かが見えたような気がするじゃないですか。
気のせい、でしょうか。
会場近くのトイレで、メイクの仕上がりを眺める女子に並び、食い入るように鼻腔に見入るBBAがいたら、それはきっと私です。
同じ老いでも、胸を張れる老いと、胸を張るとおもろくなってしまう老いが、あるのよな。
せめてもの慰めに、私は鼻の白毛をホワイトフェアリーと呼ぶことにしました。
ところであなたの花(鼻)には、フェアリーが来たことはありますか?
え? 私?
「来たことがない」と言えば、嘘になりますね……。
(ひさびさの更新がこんな話で申し訳ない)