後々後悔しないために
ニューヨークの会社を辞めて気がつけばもう1年になる。
辞めてからは、もう本当にいろいろな事務手続きや山のようにしなければならない準備を経て、パリに戻ってきた。ニューヨークで暮らす前に15年も住んでいた街だし、引っ越しも慣れているから余裕かなと思っていたが、やはり毎回、引っ越しの度に勝手が違い、落ち着くまでに半年くらいかかった。
ニューヨークを出るときも、アパートの解約の仕方やビザのことや引っ越しや、その他いろいろな手続きが、フランスや日本とはまたかなり違うのでこれにも本当に苦労した。
そして何より大変だったのは、いくら3年という短い滞在だったとはいえ、カラダやココロがだんだんとニューヨークの生活に慣れ、友達も出来て、いよいよニューヨークを楽しめるようになってきた頃に突然、遠く離れたパリに戻ったということだ。
パリに戻ってからも、勝手知ったる我が第二の故郷とはいえ、最初の1ヶ月はなんか不思議な、ふわふわした気分というか違和感があって、慣れるまでに時間を要した。
まあ、でも仕方がない。パリに戻ることは自分で決めたことだから時間はかかっても少しずつ問題は自分で解決していくしかない。
やっと落ち着いた頃、今度は転職活動を始めた。ヘッドハンターや気になる会社の人事やそのグループの人事担当に片っ端から履歴書を送りアポを取って面談をし、業界の友人にもコンタクトを取ってお茶やご飯をし、今現在、業界の人事がどのような状態なのか確認し、そして実際に何社か面接もした。
転職活動は現在進行中だ。人生5回目の転職活動だし慣れてはいるが、私の希望するポジションはなかなか空きがないのと、競争率が高いのと、40代後半の転職なので今までよりもさらにハードルが高いが時間をかけて辛抱強くいきたいと思う。
私の在籍していたニューヨークの会社もこの1年でいろいろ変わった。私が退社してから1ヶ月の間に次々と同僚たちが退社したり、その後大きなリストラがあってかなりの社員が会社を去り、年末や年始にも同僚がクビになったり転職のために退社したという話を聞いた。会社もすごいスピードで変わっていくんだなと思った。
私が退社したのは、自分がこの会社で果たしたい目標が達成できたと思ったからだ。もし目標もなくぼーっとこの仕事を続けていたら、もしかしたら自分もクビになっていたかもしれない。良いタイミングで自ら退社して本当に良かったと思う。
あっという間に過ぎてしまうから
本当にいろいろなことがあったが、今こうやって思い返すと1年は本当にあっという間に感じる。感じるけれども1年あれば1年前には全く想像できなかったことが起きたり、1年前とは全く違う場所に移ることも出来る。たった1年だけど、1年あればいろいろと出来るし、1年で本当にいろいろ変わってしまう。
だから、忙しい毎日の中でもちょっとした目的意識を持って生活するのとしないのとでは1年後に大きく差が開いてしまうから、そこは心に留めながら1日1日を大切に過ごしていきたいと思う。
「永遠」なんて存在しない
そしてこの1年の間に、ノートルダム大聖堂と首里城の火災があった。ノートルダム大聖堂はもう普段から当たり前のように目の前を通っていたし、永遠にあるものだと思っていたが、昨日まで当たり前と思っていた風景が突然姿を消したのは本当にショックだった。
首里城に関しても、実は一昨年に沖縄に行った時に、まあ、またいつでも見られるだろうからと見学をスキップしていたのだ。でもこれで私が少なくとも火災前の首里城を見る機会は永遠に無くなったのだった。
また、以前より療養中で仲が良かった母の同僚の突然のお別れの話を聞いて、物や人の命はいつまでも永遠ではないことに今更ながら気付く。
後々後悔しないためにも、普段から本当に見たいものを見て、会いたい人には直ぐに会うようにしておくべきだなとつくづくそう思うこの1年だった。