在庫最適化
何を隠そう私は「在庫理論」の研究室出身だ.そのため在庫最適化については,30年くらいずっと考えているが,まだ良くわからない.
過去の研究もたくさんあるが,数式として綺麗に解くために,非現実的な仮定もしくは滅多にないような仮定をしているものが多い.現実問題の多くをカバーするためにはシミュレーションのような枠組みしかなさそうだが,シミュレーションだけでは何も改善されない.デジタルツインなどは論外だ.
実務の条件を簡単に入れられ高速なシミュレーションを行い,パラメータはモデルを限定した場合に得られる簡易解のまわりを探索するという自明な方法を作ってみた.従来だとこんな解法だと遅くてつまらないと論文にしないところだが,実務的には使えそうだ.NumPyで作るとそこそこ速い.
こちらに追加しておいた.
多段階の在庫モデルに対しては,シミュレーションしながら費用を変数で微分したものをとっておくという方法(無限小摂動解析)を作ってあるので,そこで得た安全在庫量をもとに,(Q,R)方策や(s,S)方策などをもとにした現実的な方策のパラメータを「適正化」するというのが,現実的な解決方法だろう.
需要予測は多少作ったので,その誤差を定常な分布と仮定して在庫管理できるようにする必要があるが,多くの実際問題では需要予測さえ難しい場合が多い.色々ヒヤリングしながら,もう少し色々試してみる必要がある.