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デザインプロジェクトにおけるタイムボクシング

ここ一ヶ月ほど、Twitterを眺めているとCIIDサマースクールに参加している日本人をチラホラ見かけます。中でもCookpad社からは3名もの方が参加されているとのことで、その報告会として下記のようなイベントが開催されるようです。参加は抽選で70名の枠に対して現時点で210名が応募と大変な倍率になっておりますが。

このようにサマースクールへの参加であっても、シンガポールやニューヨーク、ロンドンなど世界各地で開催されるワークショップへの参加であっても、もっと言えばコペンハーゲンに遊びに行くついでにふらっと立ち寄るのであっても、こうしてCIIDに興味を持ってくださって、実際にアクションを起こしてくださる方が居るというのは大変ありがたいなと思います。 IDP(1年間のマスターコース)へのアプライまで行くと更に良いですが実際には難易度高いと思いますしね。

CIIDサマースクールについて少しだけ書いておくとサマースクールは数週間に渡って行われそれぞれ異なるワークショップが開催されます。2018年は5週間にも渡るようで、各週3種類から5種類のワークショップが行われているようです。

例えば、1週目はPeople Centred Reseach、Designing Interactive Spaces、Prototyping as a process、Intro to Interaction Design、2週目はMachine Learning、Intro to Arduino/Physical Computing、Data Visualisation、Intro to 2D Digital Experiences、Designing for sustainabilityが、そして3、4、5週目もやはりそれぞれ異なるワークショップが開催される様子。

それぞれのワークショップへのは1000ユーロ程度で、どれか1つだけに参加してももちろん良いし、サマースクール期間ずっとコペンハーゲンに滞在して毎週異なるワークショップに参加し続ける人も居ます。全部参加すると5000ユーロかな。さすがに結構な金額ですがこのワークショップ群を1年間続けると私が参加したCIID IDPになるわけです。

CIID IDPは1年間のマスターコースで毎週異なる授業が行われます。CIID IDPは全学生が1年間参加し続けることが前提なので、Interaction DesignやStory tellingやデザインリサーチ、各種Prototypingなどの基礎からサービスデザインなど、基礎となる知識を総動員するようなプログラムまで、順を追って学び成長していけるカリキュラムになっているのが特徴かと思います。

ちなみに私がCIID在学中は、サマースクール期間の最初の週はIDP学生とサマースクール学生で一緒に水上バスをチャーターしてビール付き運河クルーズを楽しみました。写真を見ればわかる通り、チャーターなので他人の目も気にせず箱乗りとかしちゃってます。

ちなみに私が知る限りIDPとサマースクール参加者の交流はこれのみでした。もちろん個人的に連絡取って…ってのはあるのでしょうがそもそも夏休み期間なので授業と呼べる授業が無いですしね。

前回の記事にも書いた通りコペンハーゲン式デザイン思考というタイトルでワークショップを行うので、その準備をしているわけですがコペンハーゲン式ってなんだろうと考えたみたところ、デザインプロセスを重視することと、タイムボクシングの活用というものがあるのではないかと思いました。

タイムボクシングとは簡単に言えば計画(PLAN)、行動(ACT)、評価(EVALUATE)を短い時間(例えば10分)で繰り返すというものです。

計画とはつまり、次の10分間で何をしようかを決めると言うこと。例えば「チームで文字と簡単な絵をポストイットに書いて10個以上のアイディアを出す」などが計画の例として挙げられるでしょう。

行動としてはそのままです。アイディア出しの方法は様々かと思いますが、3人のチームだとすれば、一人最低4個以上のアイディアを出せばOKです。

そして最後に評価があるわけです。ただし、評価と言っても「3人のチームで1人最低4個以上のアイディアを出せたから10個以上という目標は達成だね良かったね!」みたいなものではありません。ここで重要なのは、行動から何かを学び、次の行動を決める事です。この例だと、アイディア出しの方向に制限を付けるなどがあり得るでしょうか。例えば「もっとアイディアが必要だ!特に若者向けのアイディアを出そう」とかもしくは「このアイディアの方向性が良さそうだから、ブラッシュアップしていこう」などなど。

この計画、行動、評価を繰り返していく事でアイディアは洗練されていき、プロジェクトゴールに近づいていく、というのがタイムボクシングの基本的な考え方です。これはソリューションのアイディアでも良いですし、例えば何らかのロゴを作る時に、10分間でロゴのラフスケッチを10個以上描いて評価する。みたいなこともできるでしょうし、アプリのワイヤーフレームでも良いでしょう。プレゼンテーションのアウトラインでも良いと思いますし、大変応用範囲の広いテクニックかと思います。

同様のテクニックは他のデザインスクールやファームでも使用されているかも知れませんが、稚拙な、ラフなアイディアでも良いのでまず形にして、それをみんなで共有してブラッシュアップしていくというプロセスと、そしてそれに名前をつけて運用することってのは時間内にある程度のクオリティを出すために重要な事かと思います。ある程度慣れたチームであっても「いまから◯◯をやるぞ!」って口に出して意識してタイマーをセットするだけで変わるものってありますしね。

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