霊感の無い私が唯一経験した深夜の病棟トレイでの不思議なおはなし。
こんにちは、カイダです。
これまでのnoteに綴ってきた感じとガラリと変わって、心霊ネタ?というか不思議ネタ?になっちゃうんですが、noteをバズらせたいとかそういう魂胆はまったくありません。
たまたま、当時入院していた病棟の看護師さんとばったりとお会いする機会があり、あの体験の当事者でもある彼女とその話題で盛り上がったことがきっかけとなり、今回の記事に至ったわけです。
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自己紹介欄にもあるように、私は重度の潰瘍性大腸炎を20年以上患う難病罹患者でもあるんですが、約20年前、私は入退院を繰り返すほどの状態の悪さで、1年の3分の1は入院生活といった感じでした。
そんな時、より高度な治療が可能だと言うことで某総合病院に転院することに。
その病院は歴史や権威があり誰もが知る有名な病院ではありましたが、その分建物は古く構造的にも不便を感じることが多い医療機関でありました。
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と、のその前に…
私は恐らく霊感がありません。
未知の世界に興味があり、そういった霊的世界がどこかに広がっているのなら見てみたい…程度の考えを持つ一般人です。
10代の頃、地元の友人数名と有名な心霊スポットへ肝試しに訪れたことがありましたが、そこにいた全員が見たというなか、私だけが見えずに残念がったというエピソードがあるくらい、どちらかといえば心霊に縁遠い人種なんだろうと思います。
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その私が唯一経験した不思議な体験が、この転院先の病院で起こることに…
それは転院から2日目から3日目だったでしょうか?
ちょうど深夜2時。
そうです。
ベタに深夜の丑三つ時に、潰瘍性大腸炎の症状からくるお腹の痛さでトイレに駆け込んだわけです。
うろ覚えですが、当時の病院のマップを簡単に書いてみました。
こんな感じ。
で、点滴をかけたあの器具をカラカラさせながら急々と洋式の個室トイレに駆け込みました。
ちなみにトレイのマップはこんな感じだったと思います。
和式の個室が多いのはたしか感染症対策だったからでしたっけ?
そんな風に記憶しています。
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洋式の個室トイレで10分だったか15分だったかはもう覚えていませんが、かなりの時間痛みと格闘していると、遠~くのほうから点滴の器具をカラカラさせてトイレに向かってくる音が聞こえ始めました。
入院経験のあるかたならわかると思いますが、深夜の病棟ってものすごく静かなんで、遠くの物音もすぐにわかるんですよね。
「嫌だなぁ…洋式の個室トレイは1つしかないから、女性であればなぁ…男性であってもおしっこであれば急かされずに済みそうだけど、こういう時に限ってこの個室希望の人だったりするんだよなぁ…」
との嫌な予感はドンピシャ当たるわけで…
点滴のあの器具のカラカラ音は無情にも男性トイレに…
しかも、その音は私が利用している個室の前でピタッと止まりました。
「はぁ…やっぱりか…参ったな」
すぐにトイレから出られる状態にはなかったのですが、私のように痛みを伴う患者さんであるかもしれないし、どうにかできないかと外に待つ人に声をかけてみました。
「あの…すみません…もう少し時間がかかりそうなんですが、隣の和室便所では厳しいですかね?」
返事がない…
「厳しそうでしたら、自分が和式の方に移りましょうか?」
やはり返事は帰ってこない…
もしかしたらご年配の方で聞こえずらいのかもしれない。
ということで少し大きめにもう一度声をかけてみる。
「あの~すいません、隣の個室ではダメですかね?」
それでも返事は帰ってこない…
この病院の個室トイレなんですが、なぜかドアの一部がすりガラス状になっていて、目前に立っている人のシルエットが丸わかりなんですよね。
こんな感じで。
で…よくよく見てみると、まったく微動だにしないんです。
目の前に立っている人。
普通なにかしらの動きがあってもいいですよね。
わざわざ深夜の個室トイレにくるほどなんだから、切羽詰まる感じがあってもおかしくはない。
なのに不自然なくらい動かないんです。
まるでマネキンがそこに立っているかのような感じ。
さすがに私も怖くなってしばし沈黙が続きます…
どれくらい時間がたったのかはわかりませんが、その間、目の前のシルエットは全く動かない。
お腹の痛みと妙な恐怖と緊張感が空気をどんどん冷やしていく…
もしかしたら、心霊映画のように上から覗かれているんじゃないか?あるいはドアの下の隙間から指が?なんて上や下を何度も確認しながら目前のシルエットと対峙を続ける。
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お腹の痛みもある程度おさまり、個室から出ても問題ない状態になってきたので、もう1度勇気をだして声をかけてみました。
「すいません、お待たせして…すぐに出ますので…」
やはり返事はない…動きもない…
私は恐怖でそこから出ることがどうしても出来ず悩みました。
このまま出てはなにかあるかも。
そこで個室内にある『緊急ボタン』を押すことに。
そのボタンはトイレ内で状態が悪くなったり、便の状況を直接見せなければいけない時に使ったことが何度かある病院特有の物なんですが、迷わず押しました。
ボタンを押すと詰所(ナースステーション)に連絡がいき、すぐに駆けつけてくれるものです。
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ボタンを押して数十秒…遠くの方から小走りで誰かが走ってくる音が微かに聞こえ始めました。
すると、目の前のシルエットが急にカラカラと点滴器具を引きづりながらトイレから立ち去りはじめる。
近づく小走り音に遠ざかるカラカラ音。
近づく小走り音は男性トイレ内に入ってくると、私が入る個室に向かって「大丈夫ですか?」と声をかけてくれました。
聞き覚えのある看護師さんの声…
安堵しながら私は個室を出るとその看護師さんに確認しました。
「今、トレイに入ってくるときに誰かとすれ違いませんでした?」
すると看護師さんは、
「誰ともすれ違っていませんよ」
と返答。
間違いなく入口付近ですれ違っているはずなんだけど、そんなことはなかったと言う…
私の動揺した感じになにかを察したのか、看護師さんは私を詰所に招き、温かいお茶をご馳走してくれそれまでの経緯を聞いてくれました。
私自身話すことで落ち着き、もしかしたら錯覚だったのかもしれないとなんだか恥ずかしくなり、自分の病室に戻りおとなしく就寝することに。
こういう時って大部屋はいいですよね。
1人だと怖くて部屋に戻れそうにないから(笑)
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結局、あれはなんだったのかわかりません。
恐らく私の妄想や錯覚なんだろうと片づけ、いつの間にか忘れていました。
ですが、今回の当時この体験をした看護師さんとの偶然の再開でわかったことが1つあります。
それは、あの時誰ともすれ違ってはいないけど、点滴を引きづるカラカラ音は彼女にも聞こえていたそうです…
それを聞いて急にあの時の記憶が鮮明に蘇り今回の記事となったわけですが、今では検証のしようもありませんしするつもりもありません。
世の中には不思議なこともあるもんだねと、笑い話で済ませたことで終わりにしようと思います。
ちなみにですが、あれ以来恐怖を感じる出来事はその病院でも、他の病院でもありません。
長い入院生活の中で体験したのはあの時の1回だけです。
病院は何かと心霊話が持ちあがりやすい環境にありますが、そういったことはほぼないのではないでしょうか。
私もいたずらに恐怖を煽り病院へのイメージを下げたくはありませんので、むしろ安心して過ごせる環境であるほうが確かだということも付け加えて最後にしたいと思います。
最後までお読みくださりありがとうございます。
それでは。