1000文字思考 その41「お肉みたい」
私 「ん!美味しい!あの、すみません!」
シェフ 「どうなさいましたか?」
私 「いや、この料理が美味しすぎて」
シェフ 「そちらは私が全てご用意致しました」
私 「美味しかったです!」
シェフ 「ありがとうございます!私、こうして
お客様に呼ばれるのは初めてでして」
私 「勿論メインのお肉も美味しかったんで
すけど、この付け合わせの白ネギ?も
めっちゃ美味しかったです!」
シェフ 「あぁ...」
私 「正しい表現かどうか分からないですが
お肉みたいだなと」
シェフ 「あの、申し訳ないのですが」
私 「ちょっと失礼でした?」
シェフ 「そちら、白ネギじゃなくてお肉です」
私 「あ!このキノコ!美味しかった!」
シェフ 「あぁ...」
私 「キノコ苦手だけどこれは美味しい!」
シェフ 「それもお肉ですね」
私 「この白身魚のムニエルは」
シェフ 「お肉のムニエルです」
私 「このトマトスープは」
シェフ 「お肉のスープです」
私 「じゃあこのカボチャプリンは」
シェフ 「それ普通にお肉です」
私 「騙したのかよ」
シェフ 「騙してはないです」
私 「はっきりいうけど、これら全部お肉だ
と分かって食べたら大したことないか
らね」
シェフ 「なんてことを」
私 「こんなもの白ネギだから、キノコだか
らとハードルを下げてるから美味しい
のであってお肉にしたら期待はずれ」
シェフ 「初めての客がこいつか」
客 「あ!この水!水美味しいわ!これは
お肉じゃないわよね?」
シェフ 「それお肉じゃないですよ」
客 「私ね、水を美味しいなんてやつバカじ
ゃないと思ってたの、でもこの水は」
シェフ 「それワインですね」
客 「これワイン?」
シェフ 「めちゃくちゃワインですね」
客 「じゃあうっすいワインだ」
シェフ 「もうやめてくれ」
客 「なんなのよ、全部期待はずれじゃん」
シェフ 「あなたの期待がずれてるんですよ」
客 「もう帰る!こんなお肉みたいな店二度
とくるもんか!」
シェフ 「全部お肉ですよ!」
客 「しょうがない、お金だけ払って帰る」
シェフ 「当たり前でしょ全部美味しく食べたん
だから」
客 「いくら?」
シェフ 「4800円です」
客 「全部お肉にしては安いわね」