ヌカヅケ小説 ヌカヅケのヒッ! NO.10
皮肉にもわたしの時代にはお金はなく、あるのはヌカヅケで、それは貯めることには適しておらず、むしろ消費期限前に使わなければ、ただの古漬けとなってしまい、お茶漬けにして食べるか、あるいはこの地域の特産である猪余(いよ)豚(ぶた)に与えることになってしまう。
祖父は半分ぼけた今でも、わたしのことが、いや億子という名が大好きで、用がなくてもその名を呼んでいる。
わたしは祖父に名を呼ばれる度に、再々放送の時代劇の画像の荒い一場面に迷いこんでしまった気がするのだった。
写真 : 消費期限切れのヌカヅケで作ったお茶漬け
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