【明日に役立つ映画レビューVol.1】英国パンクの女王が教えてくれる「自分らしい信念の持ち方」
Category : FASHION
2020 / OCT / 19 by MIKI TAKEDA(Tailor Bijoux)
数ヶ月前に動画視聴サービスを契約し、映画/海外ドラマを観ることが多くなったので、作品を随時ご紹介していきたいと思います。
まずは過去記事「【SDGsについて考える】エコファー、リアルファーはどちらがサスティナブル?」でも紹介した環境保護活動家としても活躍するファッションデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドのドキュメンタリー。喋るところを目にしたことがなかった私は、今までのイメージから勝手に「ダミ声でめちゃくちゃ自己主張強めなおばあちゃん」的な印象を抱いていたのですが、実際は違いました。口悪いですが、どちらかというと淡々と落ち着いて上品に語られるところにギャップを感じ、それは生涯で培った「反逆のエレガンス」なのだと分かりました。
『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』
原題:”WESTWOOD : PUNK, ICON, ACTIVIST”、2018年、イギリス、84分
生い立ちと家族
ヴィヴィアンはイギリスの労働階級に生まれ、幼い頃から服作りに興味を持ち、11−12歳では自分で服を作っていたと言います。また、ジャンヌ・ダルクなどの歴史上の人物に憧れ、「人を救う」という信念を強く持つようになりました。その後美術を選ぶか教師になるか悩みましたが教師になり、1度目の結婚をしました。彼女の結婚と離婚にはいつでも彼女の信念とファッションが絡んできます。現夫のデレク・ウエストウッドはというと、ブランドのクリエイティブディレクターとして長年君臨し、二人三脚でブランドを育てています。
Point!
1度目の結婚 1人目の息子授かる ⇨憧れていた絵に描いた結婚生活は自分の知的好奇心を満たせないと分かり、離婚。
2度目の結婚 2人目の息子を授かる ⇨ブランドの主導権を巡り離婚
3度目の結婚 ⇨当時ファッションショーを手伝った25歳年下の男性と結婚し、服やブランドへの情熱が共鳴し、ベストパートナーへ。
パンクの象徴
※画像はイメージです
ロックのレコード集めが趣味だった2度目の夫とともに始めたレコード店は、ロック/パンクバンドを生み、いつしかパンク文化そのものとして扱われ始めます。ヴィヴィアンも髪の毛を逆立て過激なメッセージとデザインした破れた衣服を着て、それが有名雑誌「VOGUE」に掲載されたりし、注目を集めます。
しかし、そんな時代の反抗や過激な自己表現を含めたファッションは、逆に政府にとっては「英国は民主主義的で自由だという証」としてとられてしまいます。そこで、ヴィヴィアンはファッションビジネスに本格的に乗り出すことを決め、ファッションデザイナーになります。
Point! ヴィヴィアンの言葉:
「行くべき場所でやるべき事をやるだけ。隠れた存在で終わりたくないの。スポットライトを浴びるわ」
– パリ進出への意気込みを聞かれたインタビューにて
ブランドへの反応、評価
ファッションブランドとして徐々に確立し、TVで新作の紹介の場を得られるも、キャスターには「これはウケ狙いの服ですか?本当に人を魅力的に魅せようと思っています?」とあからさまに笑い者にされる場面が多かったと云います。
しかし、ついに評価が覆ったのは1990年と1991年に異例の2年連続という成果を収めた英国のファッション業界への影響を称える「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」。20年かかって認められた才能にむしろ英国は恥ずべきだという声まであがりました。
Point! ヴィヴィアンの中で何かが変わった【反逆心の変換】
ファッションや行動で目に見える程「破壊」や「反体制」を示してきた若かりしパンクの頃のヴィヴィアンは何処へ。笑い者にされた先ほどのTVでも冷静に一言、「YES(人を魅力的に魅せようと思っています)」という反応。たとえ笑われたり、拒絶されたりを繰り返したとしても、応ずべきでないと思ったら静かに自分の姿勢を示すだけ。
活動家として、ファッションデザイナーとして
「21世紀に世界の人口は10億人に減る」という言葉に影響され、環境保護団体グリーンピースと北極の視察行うなど、環境問題への取り組みを開始します。近年では環境活動デモ等を行うなどもはやファッションデザイナーの枠を超えて環境活動家としての面も持ち合わせるようになりました。また事業拡大、つまり資本主義の助長と完璧な創造性の追求は、おそらく一大ブランドとなったデザイナーにはつきものの苦しみなのかもしれませんが、ヴィヴィアンはお金儲けのための海外店舗拡大には難儀の姿勢を示しています。
Point! その根底に流れるものとは?
教師ならではの気質なのか、ヴィヴィアンは「いつも未来をみている」「より良い世の中のあり方を考えている」と周囲から見られています。それには「人を救う」という幼い日の信念が関係しているのではないでしょうか。人類への絶え間ない観察と愛情、それに加えてヴィヴィアン個人の想像力と創造力が、ファッションに対しても世界に対しても向かっているのだと分かります。やはりすごいエネルギーを持った方ですね!
シャンパンがあふれ、モデルたちがアイスをなめながら裸で歩く過激なファッションショーを開催したり、昔も今も「一貫した反逆者」であるヴィヴィアン・ウエストウッド。普通なら年齢とともに年齢相応の服装をしないとちぐはぐになるのに、「美しくて若い」が永遠に似合うと言われる唯一無二の存在。2006年には英国ファッション界への貢献の証として、エリザベス女王2世より大英帝国勲章"Dame"の称号を授与されました。
まとめ : 学ぶべきポイント
● 最初は専業主婦をしたり、かと思えば過激なパンクガールに変身、ヴィヴィアンは自分の信念を形にするまでに様々な人生の変化があった。「チャレンジに変化はつきもの、移ろいゆく自分の環境と価値観をありのまま受け入れる」という姿勢が強さを生む。
● 25歳年下の現夫は自由でやりたい放題の性格に対して、ヴィヴィアンは意外にも教師的でしっかりとした性格。酸いも甘いも一通り経験すると、世間の常識の枠を超えたアンバランスさに究極の心地よさを見出すのかも。
● ヴィヴィアンは「魅力的な女性はたとえ美人でなくてもセクシーで予測不能(デンジャラス)」ということを見事に体現してくれている。それがタイトルにある【最強のエレガンス】ということなのでは。
他の面白かったファッションドキュメンタリーも随時紹介していきます。
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文責 : 武田 美樹 / Tailor Bijouxオーナー兼デザイナー
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