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タックマンモデルを元にチームコミュニケーションを皆で操作可能にできる本


本書の構成

1. コミュニケーションの構成要素について解説

2. チームの発達段階

3. リーダーシップとその評価

わたしの解決したいこと

  1. コミュニケーションを構成する要素について理解を深める

  2. チームを構成する要素について理解を深める

  3. 自分が所属するチームがタックマンモデルにおいてどの段階であるか、また移行にはどのくらいの期間が必要となるかの判断の助けを作る

1. コミュニケーションの構造は言語と非言語の大分類から

コミュニケーションの大分類 「言語」と「非言語」

1-1 言語:「言語とはあなたの領域の地図である」

自分が物事をどう捉えているかを表すものこそが言語である。例えばチームでやりとりをした際、お互いに部分的な見解しか持っていないことが分かる。これはお互いの語彙の分布や用法の違いから推察できそう。

1-2 非言語:「私たちは何も言わないことができないのだ」

ある人間が会議に参加しており、もし何も発言しなかったとしても、その仕草から話しを聞いているのか内職しているのかは推察できる。私達は存在するだけで何かしらのメッセージを発しているというお話。

だからこそ、年長者になればなるほど、場での自分の在り方がチームの方向性を左右すると意識して、非言語を活用していきたいすね。

1-3 傾聴:ほぼ全ての人は良い聞き手を求めている

  • 聞き手のすべきこと

    • メッセージに集中する

    • 文脈の中でメッセージを評価すること

    • メッセージを記憶すること

    • メッセージを再生する、伝えられること

    • 長所と短所をメッセージに見出すこと

傾聴に関する指標は「良い聞き手と思われるための反応」

  • 感情的表現 (オウム返し)

  • 解釈的反応 (サマライズ)

  • 明確化のための反応 (認識合わせ)

  • 共感のための反応 (感情への同意)

2. 集団でのコミュニケーションの関係

※ 本来はパート1での内容だが、パート2で扱われる集団への言及が主軸であるのでこちらで紹介

注釈

2-1 チームを構成する要素とは10人より少なく、寿命が短く、目的達成を追求していること

  1. 小集団の定義:3〜9人

  2. チームの定義:課題を解決するための(他のグループに比べて)短い寿命のグループ

  3. システムとしての集団の要素

    1. 相互依存しあっている要素(メンバー)の存在

    2. 平衡(目的達成を追求している)

2-2 形成期:メンバーは生存するため、欲求を見たすためにチームに参加する

グループで生存しており、建設的でいられる場合は、その話題と社会情緒的な発言とのバランスが取れているはずだ

ベールズ 1950

前提:なぜ集団に参加するのか

  • ダイナミクス1 :人々は生存するために集団に参入する

  • ダイナミクス2:人々は含有欲、支配欲、愛情欲のために集団に参入する

形成期

皆、どのようなチームでも必ず3つの分類のいずれかに属することになる

  • 表面的なフインキを鵜呑みにする「ナイーブメンバー」

  • 品定めを理解し、構造を観察する「教養のあるメンバー」

  • 愛想は良いが利己的な「ゲームプレイヤー」

2-3 混乱期:葛藤は避けられないが、最小化は可能である

どのようなグループでも全員が定期的に会う、絶対に優先してミーティングを行うことが大切である。葛藤は避けられないものの、最小化は可能である。

葛藤がもたらものは混乱だけではない。葛藤があるからこそ、議論の質が向上し、感情が掻きたてられた結果、結束が高まると本書では説いている。葛藤を避けたいと思っていたが、このように構造と分類ができるようになると、操作可能になり、葛藤に直面したときに心強い。

種類

  • 個人的葛藤 - チームに参加し続けるかどうか

  • 対人的葛藤 - 権力や恋愛による関係変化

  • 課題上 - 選択肢が割れる対立、対人葛藤のカモフラージュや原因として密接

  • 経営上 - みんな、すごく、忙しい

葛藤の管理方式

2-4 混乱期:葛藤の管理は、交渉と細分化を主軸に

  1. 権力で強制する

  2. 多数決

  3. 交渉 - みんなちょっと勝って、ちょっと負ける

  4. 合意 - 全員に合意をとるための丸くなった案に何の意味が?

  5. 調停

  6. 仲裁

  7. 細分化 - 小さく沢山成功することでお互いや自分に良い感情を持てるようになる

2-4 統一期 : 同調はカンタンに報酬が得られ、自我に損がない

わたしたちが同調するのは、報酬を得る反面、かかるコストを回避したいからである。チームでの報酬は目に見えない。例えば転職活動において、相場などが分からず1社のみの選考であれば、アナタはより保守的な選択として同調をするが、もし複数の選考があればより報酬が多く得られるような同調を活用した立ち回りを行うだろう。

葛藤を孕んだまま表面上は統一期に見えるチームというのも存在している期がするがはて…🤔
たぶん、ここは完全に混乱期とは区別できないのだろうな。

ぼやき

2-5 機能期:チームが問題を定義し、理論的に判断できる

ここまできてやっと問題に向き合うことができる。問題は範囲を小さくすれば解決への時間も短くなる。

問題の種類

  1. 事実の問題 - 解決策のある一番簡単な問題

  2. 信念、価値、態度についての問題 - 解決が最も難しい問題

  3. 法律問題

  4. 政策問題

チームの一般原則

  1. 他のメンバーの面子を保つ

  2. 誰も粗暴な扱いがされない

  3. 親しみやすく、社会慣習に沿っている

2-6 機能期:議論に影響を与える要因

グループが適切な小集団であれば、助言や援助が議論の中心であり、方向性が定まっており、メッセージについて安全に発信できる場と管理があれば良い議論になりやすいと言える

  1. グループの大きさ

  2. 助言や援助の頻度

  3. 助言や援助の時間

  4. 方向性

  5. 自由意志(心理的安全性)

  6. メッセージ(肯定的なメッセージの増強と、方向性の管理)

2-7 機能期:混乱を引き起す破壊的なメンバーはその方向性の舵取りをしよう

彼は不満を抱えている。また大きなエネルギーを持っている。チームの方向性に彼のエネルギーをどう活用するかを検討すると良い。チームの反対案に対してプランを練ってもらうなど何か役割を与えて率いてもらうのが良いだろう。

後のパートにも出るが、良いリーダーとは「個人」と「チーム」の目標を両立させられるらしい

自分のふりかえり

自分のこれまでに所属していたチームは葛藤をどう扱っていたか。

離脱の激しいチームは個人意思によって参加しないことを選んだのだろう。それはチームとして葛藤が扱われていなかったからかもしれない。

また、あるチームでは、葛藤は表面化せず、主要なメンバーの意見に同調することも多く見られた。わたしの見えないところで不満が存在したのではないか、しかし場に出ておらずメンバーも決定にしたがっていたのなら問題なのではないか。また、葛藤が存在しなかったということは議論の質は向上していないのではないか。

3. リーダーシップとその評価

3-1 : リーダーシップとは他者への影響力の大きい行動をさす

リーダーの役割というのは一人に属さず、また優れたリーダーはフォロワーによって優れた結果を出す

3-2 : リーダーとして影響する職能、対人、管理の3つの領域

職能領域

  1. チームの使命を言葉にする

  2. チームの使命を段取りする

  3. 問題を予測する

  4. 目的に向けた行動を刺激する

  5. 下位目標を定める

  6. 明確な指示を与える

  7. 好意的な意見を返す

人間関係

  1. 皆に参加する機会があると確認する

  2. 〃 義務があると確認する

  3. 対立の解消

  4. 議論の統制

  5. 公平

  6. メンバーの熟知

管理

  1. 話し合いに備える

  2. 検討すべき課題の策定

  3. 会議実施の理由を必ず伝える

  4. 会議中の意見を要約し、メンバー合意の上で意見を言語化

  5. 段取りが進むことでメンバーが成功を感じている

  6. 時間厳守

3-3 : 多くの人が投票する「良いリーダー」とは誠実、前向き、ひらめきの3要素である

公平さなどいろいろあるけど、過半数を越える票はこの3つに集った。

3-4 : リーダーと権力について権力発達段階を伺う質問票があるのでやってみると面白い

わたしは目的の段階の一部が達成されているくらいの状態。知恵の階層まで行くともはや指導者レベルな気がする。

3-5 : チームの評価は一連のコミュニケーションをすべて分類し、情報交換や示唆が多く占めているかで測れる

下記がカテゴリー体系。4〜9を占める割合の多さを計測する。

  1. 親しげに見える

  2. 芝居がかった表現をする

  3. 同意する

  4. 示唆を与える

  5. 意見を与える

  6. 情報を与える客観的な情報

  7. 情報を求める

  8. 意見を求める

  9. 示唆を求める

  10. 不同意する

  11. 緊張を示す

  12. 敵対心を示す

チームでメンバーが演じる役割の分類には、アイデアを出したり、情報をまとめたりなどの課題的役割、意見を奨励したり、譲歩したりなどの対人的役割、最後に、承認を得るために激しい主張をしたり、個人的な感情に終始するなど自己中心的な役割の3つがあり、私たちは主に、課題と対人の役割をメンバーが複数担えるかどうかを検討する必要がある。

もちろん、自己中心的な役割に終始するメンバーが多い場合は、彼らに他の役割が演じられるかなどを検討してもらう必要があるだろう。

4. 訳者あとがき

4-1 : ギャング、チャム、ピアとコミュニケーションの発達段階

ギャング:同じ行動をするかどうかで仲間と判断する
チャム:同じ言語を使うかどうかで仲間と判断する
ピア:異なる考えを持ちながら仲間であると認められる

ギャングやチャムを経由せずピア・ディスカッションはできず、反対意見を自分への攻撃と捉えてしまう。

4-2 : 1対1での対話を深めるカウンセリングと異なる。場を活用した新手法

カウンセリングでは、不満のある人の原因は個人か環境に焦点をあてるが、新手法では人と人の関係によりコミュニケーションの質を変化させる方法がある。

皆でテレビを見ているときに、「もうつまらないから別のことしよう」となった場合、カウンセリングでは「なぜ?」「どうしてそう思ったの?」など個人との対話に移行するが、新手法では「あの子も同じように思っているんじゃない?」「あの子に聞いてみたら」等、対決を細かに用意し、それを減ることでコミュニケーションのレベルを向上させる。

夏休みに子供達をひところに集め、ギャング・ピアが入り乱れる中上記のような手法をとることで、コミュニケーションの質を「ピア」へ変化させる試み。

なるほどな〜。対決は怖いもので、なるべく発生しないのが良いコミュニケーションと捉えていたので、活用する術は非常に新鮮だった。やってみよう。

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イシジマミキ
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