朗読劇「私の頭の中の消しゴム」
ちょっと時間が経ってしまいましたが、朗読劇「私の頭の中の消しゴム」を観劇しました(オンライン)。時間が経ってやっと気持ちが整理できてきたので、つらつらと感想を書こうと思います。
というわけで、5/3に朗読劇「私の頭の中の消しゴム」を見ました。
この日出演だった中島ヨシキさん最近気になってまして、4月に滑り込みでチケットを購入しました。
コロナ禍になる前は、ライブやらイベントやら行きまくっていた私ですが、コロナになってからは全く行ってませんでした。
コロナになってからはオンラインライブは沢山見てましたが、1つだけミュージカルを観に行って、それを見て「ああやっぱり生で観るのはいいなぁ」と思っていたので、今回チケットが手に入って本当に嬉しかったです。
(ちなみにこの時観に行ったのは「ウェイトレス」というミュージカルでそれも最高に良かったので、早く感想書かねば...)
というわけで、今年のGW楽しみだなーー!!と思っていたのも束の間、3回目の緊急事態宣言により、無観客開催となってしまいました...
公演初日の3日前に緊急事態宣言が発令され、劇場はもれなく休業or無観客にしろ!と指示が出るの、何回考えても不条理すぎる....
ご時世的に仕方がないとはいえ、公演から1週間経ってもあのお芝居を生で観たかったなぁという気持ちが収まらない。
とはいえ、直前にも関わらず配信形式に切り替えてくださった運営さん本当にありがとうございます...完全に中止にならなかったことが救いでした。
もちろんこのご時世、事前にそういうリスク管理として準備はされていたとは思いますが、それでも直前での変更に対応するのは私みたいな素人の想像の5万倍は大変だったと思います。本当にありがとうございました。
長々書いてしまいましたが、配信で観劇させていただきました。
感想としてはとにかく「素晴らしかった」です。いつもこういうお芝居を観ると語彙力が0になってうまく感想が言えないのですが、頑張って言語化してみます。
物語は薫と浩介の日記をそれぞれ読みながら進めていきます。
私は劇場版を見たことがあって、朗読版を観るのが初めてだったので、通常の物語を読むのではなく、日記形式なのにちょっとびっくりしました。
同じ1日でもお互いに何があって、何を考えていたのか、をそれぞれが読み上げることで進んでいきます。
例えば初対面の印象はお互い最悪で、「感じが悪い」とか「飲み屋の姉ちゃんかと思った」とか....
最初の印象は最悪な2人ですが、だんだんと惹かれていく姿が可愛らしい....
浩介は昔の経験から他人に対して強く当たってしまったり、薫は薫でどこまでも純粋な育ちのいいお嬢様で、ちょっとずつ共感できたり、できなかったりする2人でしたが、それがめちゃくちゃリアルな脚本でした。
個人的には母親と不仲だった浩介に「それでも家族なんだから、仲良くしないと」と言う薫の純粋無垢さが恐ろしかったし、リアルすぎて苦しかった...
2人が付き合いだしてからも、なんだかむず痒い場面もありつつ、前半は順風満帆な2人の物語が進んでいきます。試験合格して良かったね浩介...(涙)
そして、後半
正直もう途中から苦しくて苦しくて涙が止まらなかったです。
タイトルにもなっているように、物語後半で薫が若年性のアルツハイマーになってしまいます。
前半では、浩介が他人に作っている壁を真正面からぶっ壊していった薫ですが、病気が判明して浩介に対して壁を作ってしまいます。
浩介が理由を聞いても病気のことを答えてくれない薫の姿に、前半パートで七夕の日の出来事の説明をしてくれなかった浩介の姿が重なる...
浩介から離れようとする薫に対して浩介の言った「俺がお前の記憶になる。そしたら薫はまた俺に新しく恋をするんだ」というセリフに号泣。個人的にキリングパート。
でもめっちゃいいセリフだけど、これもまた残酷だな...
薫の病状が少しずつ進行する中、それを献身的に介護しながらもちょっとずつ追い込まれていく浩介。
介護研修で「被介護者に対して否定してはいけない」とか、自分たちの名前や写真を部屋に貼って指差し確認するシーンとか、薬が効いてて調子が良いキラキラしたシーンを描いた後の病状が進行するシーンとか、もう後半どうやって息してたか分からないくらい苦しかった...
個人的に壁に貼ったメモと写真が1つずつ落ちていく演出が強烈すぎました。
2人の色んなものが崩れていく様子と重なってしんどかった...
中島さんも前島さんも素晴らしくて、後半の展開では本当に心奪われました。
前島さんの「はじめまして」エグい....
最終的には浩介のことも忘れてしまう薫ですが、薫の心の中にきっと浩介は生きてましたね。残酷なくらい美しかった。
約2時間物語に没入して観ることができました。
本当にとてもとても素晴らしい公演でした。
アーカイブで何度か見て気づいたのですが、前半と後半の内容が対になっていたり、前半のセリフが後半で重くのしかかってきたり...そういった部分にも引き込まれる作品でした。
始まってすぐの薫の「記憶なんか無くなっちゃえばいいのに」のセリフ、2回目に見た時に息止まるかと思った。
個人的にこの物語はタイトルは薫目線だけど浩介の物語だと思っていて、最初のぶっきらぼうな状態から、他人に心を開いて薫に対して「永遠」を約束するまでに変わっていく浩介を追いかける物語だったなあと。
個人的に中島さんのファンなのもありますが、中島さんのお芝居に終始惹き込まれっぱなしでした。直前のラジオで全然うまくできないっておっしゃってましたが、まじ凄かったです。プロってすごい(頭悪い感想しか出てこないです、すみません)
そしてやっぱりこれを生で観れなかったのが本当に悔しい...
ご本人もおっしゃってましたが、お客さんが入っていたら今回と同じものができていたかどうかは分からないかもしれないけど、それでも観れる時に観たいものだよね。
早く元の生活に戻ってくれ....