Yo la tengo
なぜか、このグループのアルバムを聴きつくしていたこの春と初夏。
職場でのBGM係は私で(私しかいないので私しか出来ない仕事である)、すごいラッキーだなと思っていた。そんな職場も今は、旧職場となったのだが。インダストリアルミュージックの後に急にポップをかけても誰も突っ込まないし、とてもよかった。
ある日思い立ったようにYo la tengoをかけてみたら、なんだか知らないけれども今の自分にとても必要な音楽だったような気がしてハッとした。こういうオルタナティブロック、そしてちょっとシューゲイザーのような音楽をよく聞いていたな、と夢中で音楽を漁っていた大学生の自分を思い出してみたけれど、あの時よりも今の私に一番合っている気がする。ドリームポップにも入るであろうか。彼らの音楽は色々なジャンルが混ざっているのだけれど、偏りがない。
退屈な仕事中に彼らのありったけのアルバムを流しても、全く飽きることはなく逆に何度も何度も繰り返してしまう。聞く人が聞けば、全て同じような曲に聞こえるのだろう、だけど私にはとても心地よい。二度、仕事中にお客さんから「お、yo la tengoだね」と言われて地味に盛り上がって嬉しかったことがある。特に、うち一人のフランス人男性はなかなか味のある人で、話し込んで長くなってしまって「また音楽の話しましょう」と言って去られたとき、こういう場面は映画に出てきそうだなと思ってしまった。
シンプルな楽器構成の上、ヴォーカルの声がいつも優しくてささやく風のようで何度聞いても魅了される。特に、普段ドラム担当の女性メンバーがヴォーカルのときの曲が気に入っている。
頭に浮かぶのは美しい海岸の青色、森林、洗練されているヘルシンキ空港の乗り継ぎホール、あと少し夜の東京。一体、どんなイメージなんだと思われそうだが、私の中ではすごくはっきりしている。
ノイズにパンクに、ダイレクトに自己表現する意図の音楽を今までに創ってみたけど、「原点」に戻るときが来たのかなと思う近頃である。実は愛でるだけで、一度も自分で創ってみたことのないこのジャンルなのだけれども今からでも何も遅くない。
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