スマートグラスと文字を使ったコミュニケーションの可能性を探究したい
ランサーズ新しい働き方LABの研究員制度「スマートグラスで『働く』のウェルビーイングは高まるのか?」に参加しています。具体的な活動を前に、参加することになった背景や興味を持っていることについて記しておこうと思います。
テクノロジーが芸術のためにできることは何か
私の長らくの問いであり、テーマです。3年ぶりに開いたnoteの記事(下記)を読んで、あらためて、このことをどこかでずっと考えてきたし、考えているなと思います。私自身は、ただ書道が好きで、続けてきただけなのですが、テクノロジー、ガジェット、そしてアートが好きな人びととの出会いから、新たな可能性を教えてもらったり、ありがたいことに挑戦の機会をいただいています。このプロジェクトもそのひとつ。スマートグラスで、どなたかと、何か一緒にできないかなということで、挑戦してみることにしました。
働くのウェルビーイング?
今回のテーマ「働くのウェルビーイング」とは意味合いがとても広いなと思いつつ、私のライフワークは書道。文字を使ったコミュニケーションの在り方から、「働くのウェルビーイング」について考えてみたいと思っています。
漢字の造形美に惹かれている私は、書道は視覚芸術だと捉えています。よく、書道の作品を見て、「読めない」と言われてしまうことがあるのですが、読めた方が面白さは増すものの、必須ではないかなと思っています。それよりも、一枚の紙にどう収まっているのか、文字ひとつひとつの形はどんな風か、一本の線や点がどんな表情か、どこに見せ場を感じるか、墨色が好きか、などなど、そんな視覚的な要素から、書道の面白さをお伝えできないかと考えています。「たのしいうつくしいかたち」というのが私が書道と向き合う時のキーフレーズです。
そんな風に文字のことを見つめていると、もっと自由な文字の在り方であったり、文字を使ったコミュニケーションの可能性があるのではないかと思うようになりました。スマートグラスをかけることで、「読めない」に代表されるような、どこかに存在する無意識の価値観から解放され、自由で楽しい文字を使ったコミュニケーションの在り方を探求できたらなと考えています。
そのままで素晴らしいものをどのようにデジタルの体験に変換できるのか
スマートグラスという課題に対して、個人的に大切な問いのひとつが、それを使うことで楽しさや優しさのような純粋な気持ちが湧き上がるか、です。
例えば、私にとって、書道はそのままで(アナログのままで)十分おもしろくて、楽しくて、一生をかけても終わらない深みのある世界です。だからなかなかデジタルでやってみようという発想に至りませんでしたし、実際にデジタルでやってみても、同じようにできないことのフラストレーションの方を強く感じていました。ところが、書道好き(?)のエンジニアが開発したアプリと、最新の液晶ペンタブレットでデジタルカリグラフィーに挑戦した時に、その意識が変わりました。アナログと同じにはいかなくても、純粋に書くことを楽しめたからです。そんな気持ちをスマートグラスでも体験できたらなと思っています。
スマートグラスがアナログ⇔デジタルの体験としてどのような価値を生み出せるのか。便利さや生産性の向上といった機能的な側面からは少し離れて、楽しさや優しさといったものが存在するテクノロジー、デジタルデバイスの在り方をさまざまな人たちと考えることができたら嬉しいです。
※書道アプリ(Expresii)と液晶ペンタブレット(Wacom Cintiq)で挑戦したデジタルカリグラフィーの一例はこちら。
個人的妄想
7月に予定されているアイデアソンを前に、一人でいろいろ妄想中です。私は技術者ではないので、頭と心をフル稼働して、同じような妄想を広げるどなたかとさらにアイデアを膨らませたり、実装してみたいという方がいれば、実装に向けアイデアを深化させることができたらなと思っています。
没入感のある言葉の体験。お誕生日メッセージ、送別会などの寄せ書き、エンディングノート……スマートグラスをかけることで、その人にとって大切な言葉が視覚化される。
新たな展示方法としてのスマートグラス。文字を使った作品(書道や文芸作品など)はネットなどでは特にコピーされやすいので、オフサイト/SNSなどの手段とハイブリッドでスマートグラスを活用して、作品展示を行う。
秘密ノート。スマートグラスをかけないと見えない。光を当てると文字が見えるみたいな道具のデジタル版。
文字を景色としてスマートグラスで映し出す。
紙に書くときに頭の中でイメージしている映像や音楽をスマートグラスに映しながら書いてみたらどうなるか。目が二つしかないので忙しそう。
書道や手書きの文字に関わるテーマで取り組む方やチームがあれば、ぜひ参加したいです。よろしくお願いします!