感染性心内膜炎→CTRX+SBT/ABPC?

先日、カルテで抗菌薬の使用状況の確認のためカルテをチェックしていたら、「CTRX+SBT/ABPC」を投与されている患者が。

ん?こんな組み合わせ初めてみたぞ、とカルテ記事をチェック。
どうやら感染性心内膜炎(IE)の治療目的とのこと。

しかし、UTI疑い→LVFX→発熱、IEも否定できない?→血培(→陰性)→MEPM→発熱→CTRX+SBT/ABPC
と、治療が泥沼になっている印象。
元々主治医がリハDr.で夜間発熱で当直内科Dr.がこの処方に変更したと。

普段ガイドラインはあまり見ませんがが、感染性心内膜炎のガイドラインを確認しました。感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017 年改訂版)

表 11 IE のエンピリック治療または血液培養陰性時の抗菌薬の推奨とエビデンスレベルの項目の先頭にSBT/ABPC1回3g1日3-4回+CTRX1回2g1日1回の記載が。用量もガイドライン通りに処方されていました。

これに対し疑問
この2剤、かなりスペクトラムが重複している。原因菌はGPCがほとんどだしSBT/ABPCのみでカバーできそうだし、シナジーでGMをかませたら良いのではないかなと思います。

このレジメンを選択する根拠がガイドラインを読んでも見つけられませんでしたが、あまり実用的ではないかなと思います。

ちなみにネットで検索してみると亀田病院感染症内科に質疑応答

Q8:エンピリック治療でセフトリアキソン+アンピシリン/スルバクタム併用のメリットは?
A8:日本循環器内科学会のガイドラインは、項目によっては、いわゆる標準的に行われる治療から逸脱していることがあり、実際はAHA(米国)とESC(欧州)ガイドラインに沿って抗菌薬を使用していることが多いです。
緩徐発症なIEは起炎菌同定をまず行い最適治療を行います。どうしても待てないときは古典的にはA/S+GMを選択します(管理人追記:このレジメンは、2009年の欧州のIEガイドライン European Heart Journal 2009;30:2369-2413と2005年の米国のIEガイドラインCirculation 2005;111;e394-e434に記載されています。2015年の欧州のガイドラインEuropean Heart Journal 2015;36:3075-3123では、アンピシリン+クロキサシリン+ゲンタマイシンが推奨されており、若干の変更がありました。2015年のAHAガイドラインの培養陰性のIEの治療は、特に決まった治療レジメンは記載されておらず、経過や患者背景などから推定される細菌を治療すべきとされています。例として、急性発症の場合はセフェピム+バンコマイシン、亜急性の経過の場合は、アンピシリン/スルバクタムが記載されています。臨床経過から、どの細菌の可能性があるかを検討して、それらを十分にカバーできる治療を行うことが重要だと考えます)。A/SにCTRXを加えることで腸球菌IEの治療やGNRカバーが追加で行えるメリットはあるりますが、それは培養がわかってからでも遅くないと思います。

https://www.kameda.com/pr/infectious_disease/post_107.html


いいなと思ったら応援しよう!