妊娠、そして罪の意識
両手放しでおめでとう、と喜んで貰えなかった私の妊娠。
当時まだ入籍もしておらず、特に祝福なんてされなかった懐妊。
それでも、私は「妊娠」出来たことに心を躍らせた。
「私も普通の人と同じく妊娠ができた!」
同時に様々なことを考え始めた。
この子には祖父がいない。
この子には誕生を喜んでもらえる祖母もいない。
など、そういうことから考え始め
どうやって産むの?
どうやって育てるの?
親の言うことを聞かない子供になったら?
世の人としてどうやって育てるの?
と、頭の中がパニックだった。
パニックになりつつも、必死で産婦人科を探して選んで予約して診察を受ける。
問診票に既往歴を書き込んで、提出するとどの病院でも「うちじゃ無理です」と言われる。
え?
理由がわからず
複数の病院へ行くにも断られ
内診すらもしてもらえない。
赤ちゃん、どうなっていくんだろう。
私の妊娠発覚はレディースクリニックだった。
断られ続け、私は妊娠12週を目の前にしても産院が決まらなかった。
産婦人科の先生に泣きそうな顔で
どこでなら産めるのか、どうしたらいいのか教えてください…
と、切に聞くと紹介状を書いてくれ
あとはもう電話で問い合わせして出産時期に病床が空いていれば通院できると思う、と言われ追い出された。
この時、2020年7月末だった。
私の既往歴で受診拒否を何故かされる。
だけど、同時に世間はパンデミックだった。
そう、新型ウイルス大流行してた時期でもあり、余計に不安になっていた。
日々流れるニュースは世の中の全てが何が正しいのかも信じられなかった。
でも、未知の体験である妊娠を誰かに相談したくて…。不安で仕方なかった。
すがりつく思いでたどり着いた先は大学病院だった。
きっと、コロナ禍でなければ地域の助けを借りれて、こんなに悩んだり泣いたりしなかったと思う。
待望の大学病院受診日。
大学病院に受診すると、精神科の受診を勧められた。
え?
私は学生の時に通院をしていたが、ロクな思い出もなくそれ以降、怖くて受診を拒否してた。
わたし、まだ精神病治ってないんですか?通う必要ありますか。
産婦人科の科長からの説得の末、不安を抱えながら精神科に通院を決める事になる。
その結果、科長の親交のある先生を紹介してもらえ、よい聞き手のDr.と出会えたとも思う。
やっとの思いで妊娠初期検診を受けると、私が「子宮頸がん」である事が分かり、精密検査をする事になる。
これでまたパニックだ。
病院決まったのに?え?
排斥されたからガンなのかな
サタンの子だからなのかな
子供は?手術するとなればどうなるの?
会えないのかな
中絶することになるの?
命を粗末には出来ないよ、神様が見てる。
私、神様怒らせたから子供がこうなるの?
わたしがいけないの?
ねえ、まってどうして
混乱しすぎて
自殺未遂をする。
厳密に言えば自殺行為をしかけた。
どういうことかと言うと
夜中になると1人で静かに涙を流しながら死に方に関して考える
今までと何が違うって、私だけの命では無いから、子供の命を背負ってるから簡単にリストカットも出来ないし、父親になるこの人を裏切りたくなくて性風俗産業にも携わりたくなかった。
どうしたら良いのか
どのタイミングで
どうやって
生命をたてば
子のために
自分のために
楽になれるのか
隣で夫になる人は寝ている。
私がひとり、涙を流してることにも気づかない。
考えれば考えるほど、「発作」が起きる。
解離性の発作だ。この時は解離性の中でも離人症だったと思う。
もう、めちゃくちゃだ。
呼吸が整わないその最中、考えることもまともじゃない。
自分を無償の愛で愛して欲しくて望んだ子供に会えないのかもしれない。
私はやはり生きていてはならなかったのかもしれない。
なぜ、15歳の時に死ねなかったのか、心の底から悔やんだ。
罪の意識
とても怖い。
首吊りをしようとすれば
お腹の子の存在が気になる。
失敗したら?
この子の命、私が決めていいのか?
結局私は生きたかったのだと思う。
産みたい、ただそれだけだった。
気がつくと周囲は明るくなり、やっと「朝」がきた。
私は、ほっと安心することが出来た。
今日も生きれた
乗り越えられた。
お腹の子によって生かされてる。
この、1日1日の繰り返しだった。
思い出すだけで息切れするような思い出だ。
つらい。とにかく辛かった。
私の思い描いていた妊婦生活って、Instagramのようなキラキラ〜✨
ふわふわ〜✨幸せ〜✨
を描いていた。
そういうものだと完璧な理想像をかがげていた分、ギャップに苦しんだ。
同時に彼と入籍の時期を話し合い
金銭的な面も話し合い
今後に関しての動きをまとめて行かなければならなかった。
仕事にも折り合いをつけなければならなかったし、もうてんやわんやで、混乱してた。
なによりもなんでこんなに苦しんだかと振り返って考えれば
・この時まだ 自分がエホバの証人 二世 であったことに気づいておらず、自身が洗脳下にある事に無自覚だった
・精神疾患であった自分をとても忌み嫌っていたが、そんな病気の理由は「宗教洗脳」故である事に気づいてない
このふたつが大きな理由だったと思う。
これに気づいていればこんなにも悩まなかったと思う。
そして、二世特有の悩みを分かち合える友人がいたらまた違ったであろう。
洗脳下だからか常に「完璧」を求めていた。
完璧じゃない自分が嫌だった。気持ち悪かった。
なんで周りはできてるのになんで?なんで?なんで?なんで…
アクシデントがあれば、全て罪の意識で、まるで私が殺人犯かのような、追い詰められた感情を抱くようになっていた。
それはもう生きた心地のしない妊娠初期だった。
自殺をすることなく妊娠を継続し続けられたことに関して、当時の自分を褒めてあげたい。
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