売られた経験
ギョッ、とする人がいたらごめんなさい
質問です
親に売られたこと
ありますか?
専門学生になった頃、
慣れない学校生活に息巻いて馴染む努力をしていたその頃。
父から1本の電話が来た。
(この時は、年1回程度で父に会っていた)
「春だな。専門学校に入れたか?おめでとう
5月○日18:00銀座に来れるか?」
そんな電話が私の元に来た。
父は相変わらず、仕事に接待に遊びに全力で忙しそうにしていた。
まだ再婚の知らせは聞かない。
勝手に結婚したらぶっ飛ばすと宣言してあるからだろうか。次また変な人捕まえてきたらタダじゃ置かない!と、しつこく言い続けたおかげだろうか。
ただでさえ、忙しい人というのは知っていたからこそ、父の電話は3コール以内に取らないと切られてしまうし、電話していい時間帯は朝の6:00~10:00迄だ。
父親のはずなのにハードルがなかなか高い。
この日は、昼過ぎに電話がかかってきて
ちょうど、授業の合間だったのを覚えてる。
学校のラウンジでいろんな学科の
それこそいろんな世代の人たちと
缶ジュース飲みながら話していたら、着信が鳴って慌てて電話エリアに行ったのを覚えている。
父が指定した銀座は幸か不幸か
学校から遠くはなくいつでも行ける距離だったため、アルバイト先に休む旨も伝えて父に会うためだけに、予定を開けた。
外で父と会うのは初めてだった。
初めてデートをするかのように、嬉しかった。
服装も、銀座だし買い直した。
何度も何度も、鏡チェックをした。
18:00待ち合わせだから、ご飯に行くのかな?と思って 珍しいなー、嬉しい!お祝いかなー!って期待をして指定の場所に向かった。
……5分
……10分
待てど父の姿は現れない。
…はぁ。
かけても良いと言われている時間外だけど
電話してもいいのかな…
電話しよう。
トゥルルルルルル
なんだー?どうした?
どうしたじゃないでしょ😞
待ってるんだけどどこにいるの?
あー、忘れてた。
若いの向かわすからそれについてって。
多分、わかると思うから大丈夫!じゃあ!
プッーーーー
父ながらクs…いや、どうかしてると思う。
ため息が止まらない。
キラキラした夜の街にひとり、ポツンと。
寂しい…
惨めに思えてくる。
言われたまま、待っているとスーツをピシッと着こなしてる20代くらいの若い男の人が駆け寄ってきた。
「お嬢さんですか?」
はい。
「ご案内します」
はい、?
黙って着いていくとそこは身に覚えのない場所。
キラキラと輝いてるお店で、開店準備のためか、忙しそうだった。
ほわーーー、すごいな
ドラマみたい…!
1人感動していると、長老のような年齢の人が出てきて向かってくる。
「面接はこちらでしますね😊」
は?(・ ・)?
「履歴書こちらなのでお願いします」
え?(・ ・)?
(言われるがままに書く)
「体験入店してみましょう。このお仕事に関して教えるので、ついてきてください。」
はぁ……
この日は言われるがままに働いた。
なにがなんだかわからない。
営業が終わった頃、体験入店の手当としてお給料ももらった。
今後、在籍するか確認された。
訳が分からないけど、父が案内したことにはなにか意味があると思って、とりあえず在籍したい旨を伝えた。
急いで父に電話すると、やはり夜が遅いからか出ない。
ムカつきすぎて携帯を逆パカしたかった。
(ガラケー時代w)
文句を本人に言ってからにしようと思って踏みとどまる。
この日は実家に帰って寝たが、朝早く起きて父に電話した。そう、クレームの電話だ。
「どういうこと?」
「なにが?あ、落ちた?」
「勝手に決めんな!どういうこと?」
「この様子なら受かったんだな、おめでとう。
地位 名誉 立場 金 のある男がどんな遊び方をしてどんな付き合いが好まれて、どういう交友関係なのか学んでこい。」
「……父とご飯行けると思ってたんだけど?」
「行くわけないだろ!笑
金稼げたろ?良かったじゃん」
「……(絶句)」
「しばらく働いて考えな!じゃあ打ち合わせあるから。」
プッーーーー
くっそおやじいいいいいいいいい!!!!!!
と、部屋の中で叫んだ。
マジで叫んだ。
申し訳ないけど叫んだ。
絶対これ、私の仲介料抜いてる!
娘売るか!?おい!!まて!✋
と声にならない叫びと
学業とどう成立させるかを考えながら
私のホステス生活は始まっていくのだった。
まだこれは、18歳になりたてのわたしのお話。