神様のいない家
訪問医療職に就いて3ヶ月が経つ頃
神様が居ない家 が9.9割を占めることに気がついた
見た目が若い方なので
後期高齢者の方には「あなたはいいわね、幸せそう」と口々に言われた。
ソレが解せなくてとても嫌で
宗教二世であること
神様がいるからこそ虐待されてきたこと
流産したから気晴らしに働き始めたこと
核家族であり、ワンオペなこと
機能不全家族であること
を
全て話しした。
もちろん、精神的に弱ってる方には過去のわたしの話もしたし
高次機能障害の方には過去に車椅子生活を経験したからこその寄り添い方をしてきた
そしたら、神様のいないおうちの方々は口を揃えて
「可哀想」
「本当にそんな事実があるの?」
「大丈夫?」
「なにもできないけど、なにかあったらいつでも、ね?」
と、寄り添ってくれた。
わたしは、人生初めて優しい言葉のシャワーをこんなにも浴びた
就労してすぐに妊娠発覚し、安定期にも入った。
出産のためにしばしば休む旨を伝える。
非常に引け目に感じた。
申し訳なかったし、責め立てられると思った。
すると、どうだろうか
神様が居ない家の人達は
両手放しに喜んでくれた
エコー写真を見て涙流してくれた
お腹に手を当てて話しかけてくれた
男の子かな、女の子かな、と毎日のように笑いあって語り合った
60年前の出産の経験を昨日のように話してくれた
勇気づけようとしてくれた
労わってくれた
実母には第一声
大丈夫?
中絶するの?
だった
神様がいる家なのに喜ばれることは無かった。
だけど、神様が居ない家は両手放しに喜び気遣ってくれ我が子のように1日を楽しみにしててくれた。
どんな事があっても産もう
と、決めることが出来たのは子の仕事に就いてたからだったかもしれない。
働く気のなかった流産後の私と違い、臨月入ってまでも楽しくて働いていた
もちろんだが、産院に通院することになる。
検診が進むほど常勤心理士とどのように生活を守って育児に備えるかを話していく。
稽留流産の時にお世話になった心理士さんは配属の都合でなかなか会えなくなり、その代わり同世代のとても優しそうな寄り添ってくれる心理士さんが来た。
わたしはおもう
二世の話して大丈夫なのか、不安に思った
でも、話さないとわたしは産めない
また、1人目の時のように過去に縛られフラッシュバックしたらどうしよう
1人目の時のように、可愛いと思えなかったらどうしよう
それだけはなにがなんでも避けたい 避けなければならない。
祝福された妊娠だから
幸せな気持ちで産みたい
覚悟を決め
心理士に今までの経験や二世のわたし、どうしたいかを話して言った。
話すと、どう対処したら良いのか少しづつ見えてきた。
まず、緊急連絡先
会社の上司に事情を話し
近隣に助けを求められる人がいない旨を伝え
協力をお願いした。
夫は出張が多く不在なことが多いからだ。
事情を伝えると快諾してくれた。
次に、考えるのは「母子ともに安全じゃない時」
エホバの証人の仕組み
輸血について
知る由もないけど、現役親族が乗り込んできた時の対処法、などなど考えないとならなかった。
もちろん、夫は私の過去を知らない
知ってはいるけど、ただそれだけだ。
思案する中、実の父に助けを求めることにした。
離婚したあと、新しい家庭もあるのを知ってはいたが
エホバの証人のアンチ活動の経験
母がエホバの証人であることを嘆いた身近な人
医学的な知識
輸血拒否の本当の怖さ
全てを知るのは父だからだった
今までの私なら全能である神エホバに頼り、お願いしてたと思う。
1人目産む時は頭の片隅にエホバがいた。
でも、2人目産む時はそうなりたくない
しばらくぶりに20年近く前に離縁してる父に電話した
事情を話した
できることはほぼないと思うけど、との前置き付きで快諾を得られた。
嬉しかった。
離縁してると言っても
父という家族であるその人が
余計なセリフもなく
応援し、協力してくれたことが。
母だったらどうだろうか
さんざんグチグチ言われた末に「仕方ない」で引き受けていただろう
(1人目の時がそうだった)
身近な上司が協力してくれ
父が万が一の時は電話対応してくれる
それだけで、勇気が沢山持てた。
素直に暖かい気持ちで嬉しかった。
輸血の怖さ
万が一の時のパニック症状
子がいるからこその破水時のリスク
それらが、解決した瞬間でもあった。
さて、次は臨月前後
人手が欲しい時どうするか、なのだ