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貧乏生活とアダルトビデオのバイト

資格を得てそれからは、あまり記憶にない

きちんと、自分の名義でアパート借りた。
やっと家を出た。

初めて住んだそこは、築35年くらいの木造アパートでバストイレ別、○○荘って書いてあって、2LDKの間取りだった。
1年か、2年くらいしか住まなかったけど、自分の身の丈にあってるような気がしてとても気に入ってた。

JWの姉妹たちもこういう家に住んでたよなぁって懐かしさに浸りながら住んでいた。
パートナー生活をするのが私は憧れだった。
木造アパートだから、虫も出るし冬になればすきま風で寒い。電気ストーブがとても暖かくて重宝した記憶がある。
夏は風通しが良くて涼しかった。夜は星空も綺麗だった。
中古車だったけど、お客様からオンボロ軽自動車を譲り受けて、20代前半の女の子にしては、充分でしょ、って思って貧乏生活を謳歌してた。

貧乏であるのはなんら苦ではない。
慣れてる。むしろ楽しい。

ただ、一人暮らしをして最初の壁は「収支計算」が苦手だった事だった。

家賃
光熱費
携帯代
車の保険
駐車場代
食費に
被服費、遊び代…。
夜の生活をやめて、治療家として働きたかった。

実家からの支援や仕送りは当たり前だけどないに等しく、節約をどうして行けばいいのかも何をしたらいいのかも、お金に対する知識も無くて路頭に迷った。
家具家電も全部中古で揃えたりしてたのに、だ。

あるあるなのかわからないけど、考えることをやめた私はカード生活になっていく。
ドンドン支払額が膨れ上がり、どうしたらいいのかわからなくなっていく。

焦りと
焦燥感に挟まれる。

支払いもどんどん遅延していく。

貧乏な生活してて
決して贅沢な日々では無いはずなのに
私は高校時代からの「買い物依存症」から抜け出せなくて悩んでしまった。
若干21歳で借金まみれだった。

JWじゃなくてもこういう人は多いのかもしれないが、元JWの話を聞いてると
○依存性
○金銭苦
を、よく耳にする。

私はエホバの証人だった記憶も消えていたにも関わらず、エホバの証人らしい生活を送っていたみたいだった。

それでも日々のストレスをどう発散したらいいのかわからなくて、買い物やドライブ、プチ旅行して発散してた。

負のスパイラルだった。

家での過ごし方がわからなかった。経験がなかった。

″おうち時間″を大事にできなかったから余計に借金は膨れ上がった。

高校生の時みたいに働きまくったらいいんだ!家にいるよりマシだ!一石二鳥だ!と思った私は、仕事先を増やして寝る間も惜しんで働いた。
朝6時には起きて、支度して
8時過ぎには家を出て、仕事して終電に帰宅して、、、週末は嫌だったけど夜の仕事もした。

そんな生活を1日も休まず続けていたある日、私は過労でぶっ倒れた。


2ヶ月ほど、ほぼ昏睡状態
3ヶ月目あたりからは自力でトイレに行けるようになり
体調が復活するのに半年はかかった。トイレに行くのに四つん這いになりながら行ったのを覚えてる。

倒れるまでの生活は、決して褒められたものではなく、1日3食カップラーメン
飲み物はお水
睡眠時間は5時間睡眠あればいい方だ。

急に消えた私を心配して、友達やお客様が看病しに来てくれてた。

私は、「もう若くないからこんな生活もう無理だ」と思って過労死を覚悟した頃には体調も回復してた。

いろんな人に迷惑をかけた。
″こんなはずじゃなかった″
寝たら寝た分だけ、収入は減り、支払いは増え続けていく。
これじゃ、ダメだ。と思って私はその頃出会った彼氏と同棲生活をする事にした。
大好きだった初めての自分の借家を引き払った。1歩進んだ気がしたけどまた振り出しに戻る感じだ。

普通ってなんだろう
普通の生活って何?って自分の生活を見つめてまた考え始めたのもこの頃。

なんでお金の使い方が上手くできないんだろう
どうして働く事が上手くできないんだろう

自分に無いものをぐるぐると考えるようになった。

だけど、この時の彼氏がまた風変わりだった。
彼とは「異業種交流会」という名のオフ会で知り合った。
7つくらい年上の彼。
職業は芸能関係と言ってた。

見た目もホストなの?というくらいの見た目で、有名人で言えば羽○結○似だった。
ちょっとナルシストな彼。

この彼、芸能は芸能でもAV関係の方の芸能だった。
その事実に気づくのには付き合って3ヶ月頃だった。
芸能関係とは言っても「エキストラを派遣する人」と教えられてたので ふーん、そうなんだ。 と思っていた。彼自身も裕福な育ちだったし、私もまあいろんな世界があるしね、と思って受け入れていたその頃、

「エキストラのドタキャン出た、どうしよう!穴埋めしに行かないー?!」

と言われた。
さすがに私もびっくり。
過去にエキストラの経験は1度だけ、しかも有名アイドルのMV撮影のエキストラ。

心の準備もなしに今ー!?って焦ったあの雪の日。
彼もエキストラとして現場に行くと言うから了承したものの、見た目はギャルな私。
普通のメイクなんて知らないよ…と思ってたけど、なぜだか彼氏にメイクをしてもらうことになり。

あっという間に現場に行くことになった。

そこで、知る。

普通の現場じゃない !

これは、アダルトな世界の現場だと気づくのに時間はかからなかった。
なんで気づいたかと言うと、雰囲気が重々しいからだ。見た目からわかる。

監督に最初に挨拶しに行き
男優さんに挨拶をし
スタッフやエキストラの方々に挨拶をする。

女優さんは撮影の時だけ出てくる。

空気は重い。ピリピリしてる。
撮影現場を覗いたりはできない。必要な収録まで待機を支持される。
エキストラの平均年齢は40代位で、20代は私たちだけだったから余計に目立つ。緊張のし過ぎで手に汗がびっしょりだ。

この空気感、知ってる……

父の実家や会社に行った時と変わらない雰囲気。
ヘマしたらおしまいな雰囲気。

ふーーーーっ と呼吸を整える

収録が始まる。
アダルトな現場なのでもちろん目の前で始まるソレ

どんどんシラケる私
(元々、エロ動画とか気持ち悪くて見たこともない)

ドラマでもこんなにカット多い?という程に細切れな監督からのカット

なんで他人の行為を見なきゃならないんだ、と白目を剥きながら、仕事だ。仕事なんだ、と割り切るように考える。こちらも必死だ、気持ち悪いんだから。
こんなに他人の行為を見ることが気持ち悪いだなんて思わず、向いてない…と思ったのに、何故か現場からのオファーが私に届き、月に数回この仕事を手伝うことになる。

さすがにスタッフさんたちが若い女の子のエキストラということで気を使ってくれるようになったその頃、苦手なことを伝えると、濡場シーンは避けた上でオファーされる事も出てきた。

監督からは冗談半分で「女優ならない!?」とも言われたが丁重に、「彼氏」を理由にしてお断りさせていただいた。

特殊な業界だけど、この業界の人間関係や撮影の仕方、表と裏と言われる意味、どんな人が監督なのか、どんな人がプロなのか、と若くして知ることになった。


これはこれで、若かりし頃の思い出として個人的にはクスッと笑えてしまう、貴重な経験に過ぎなかった。


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