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12月22日目白MARKⅥライブ終演しました!

こんにちわ、フルート奏者の井坂実樹です。
先の22日に目白MARKⅥで行われましたライブ、無事終演致しました。

ご来場下さった方々、本当にありがとうございました。

今回は前日のリハーサルの一幕をXで流したりしました。
記載の通り模索中なので色々とはみ出ていたりしますが、それもまたリハっぽくて良いかなと思います。(笑)


さて今回のプログラムは、前回に引き続きブラームスのヴァイオリンソナタの2番。後半にはフランクのヴァイオリンソナタを選曲しました。

ブラームスのヴァイオリンソナタをフルートで演奏する方はあまりいらっしゃらない気がするのですが、師匠のジャック・ズーン氏がCDを出しています。

これが↑こちら。私も勿論持っています。本当に素敵です。
今回ブラームスの2番を新しく勉強する上で先ず第一の問題は、音域にあります。
と……その話をする前に、フルートの音域の話をさせて頂ければと思います。フルート吹きの方には当然でしょうから、読み飛ばしてくださいね。

フルートは基本的にピアノの真ん中のC――ドの音までが鳴ります。私の楽器はいわゆるH足と呼ばれる、ボタンが一つ多くHの音――シの音まで鳴らすことができます。
近代の曲の多くに最低音のHが求められる事があるので、普段C足をお吹きになる方々でもフルーティストの多くはH足を持っていますね。
ですので私の楽器でもHの音までは鳴らすことができるのです。

さてブラームスの話に戻りましょう。
2番はAdur、ラから始まる長調ですね。
ヴァイオリンパートをよく見てみると、最低音がAなんです。

一楽章冒頭。下線下のAまで出てきます。

……出ないんですよね。既存のフルートではこの音は……。
というわけで良くやる手段として、和声内の他の音で保管したり、オクターブあげたりするのですが……
先ほど紹介した師匠のCDは、物凄い荒業を使っています。

Cdur――ドから始まる長調に転調しているのです。

理論上Cdurにしてしまえば最低音はCになります。Cであれば勿論鳴らすことができますから、わざわざ別の音にしたりオクターブあげたりする必要はないんですね。
C-durに転調した理由は推測でしかありませんが、まさにこの縦横無尽に駆け回るようなフレージング、音域の広さを用いたメロディーラインを守るためではないかと思います。
事実私も、例えば先ほどご紹介した冒頭のこのフレーズ、できることなら2オクターブ駆け上がりたいですもん。(笑)

悩みましたが今回自分はAdurのまま転調せず、出ない音はオクターブを上げたり、和声内の別の音にしたりして補完することに致しました。

それにしても2番って本当に美しいですね。
派手さは1番や3番に見劣りしてしまうのかもしれませんが、なんて美しいメロディライン、そして構成なのだろうと向き合って気づきます。
VnパートとPfパート、二つで一つの音楽なんですよね。ソナタって元々そうだと言われてしまえばそうなのですが、実際細部に触れるとその素晴らしさを思い知ります。
ブラームスのヴァイオリンソナタは私にとって都度初めての挑戦ですが、ピアノの加畑さんは全部どこかで演奏された事があるそうですので、まずは加畑さんのアイディアやフレージングを聴きながら構成を考えることが多いです。

後半のフランクは、フルーティストでも良く演奏される曲ですね。
ピアノパートが鬼難しくて有名でもあります。(笑)

フルートでフランクを演奏する場合、この曲の難しさは先ず音量のバランスにあると思います。
何といってもピアノの音数が多くて音圧が凄いんです。そこにフルート1本で対抗するのは、大変な労力が伴います。
どうあっても弦楽器の響きとエアーリードのフルートの響きでは、単純な音の鳴りに明確な差があります。
それをどう補い、フルートでも面白いと思って頂くか。それをかなり考えました。

今回のライブ会場は響きは完全なデッドです。ピアノとお客様の席の距離も近いため、ピアノの音がダイレクトにお客様に伝わります。ただでさえフルートの音は聞こえにくいんですね。
しかし無理にピアノの音を引っ込めるのではなく、マイクを立てることで補っています。けれどそれに乗せる形ではなく、なんとなく拾って残響をつけて貰っている感じに留めています。よってほぼ生音ですね。

というわけで先ず、響き良いホールでよく使用することの多い、空気に混ざるような音色はほぼ使いませんでした。弱音パートでもなるべく実音として聞こえるようにしています。
エッジに押し込むような音になってしまうともちろん耳障りですので、そうならない程度に音自体を太く作ることを心掛け、中低音を特にメリメリ(笑)鳴らしましたね。
自分ではまだまだ足らないかも……聴こえていないのでは……?と思っていましたが、客席ではそうでもなかったようです。むしろとても良く聞こえたと言って頂いたのでほっとしています。

フランクのラストではノリにノった加畑さんがとっても楽しそうにして下さったので、私もつられました(笑)
まさにあの場で、そしてライブしか出来ないフランクだったと思います。

めっちゃ見てる(笑)

同じ曲でも環境が変わればアプローチが変わります。
ホールの規模はどの程度か、残響はどう響くか、飛び方はどうか、高音と低音の鳴りに違いはあるか、ピアノとのバランスはどうか―。箱によって、私の場合はですがかなり吹き方を変えます。
その場で聴いて下さっているお客様にとって聴きやすく演奏することができたら、と欲張ってしまうのですね。
今回演奏したブラームスもフランクも、響きがあるホールで演奏するのであれば全く別のアプローチをすると思いますし、使用する音色の種類も増えるかなと思っています。

いつか大きいホールで演奏できたら良いですね。
目標立てつつ、精進していきます。


このライブ動画については既に頂いているので、年末年始に整理して少し出していきたいと思っています。頑張ります……(笑)
ここまで読んで下さってありがとうございました。またお目にかかれますように🌟


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