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ジュネーブ時代の話③エスカラード祭
こんにちわ。フルート奏者の井坂実樹です。
色々と立て込んでおり遅くなってしまいましたが、先日のお話の続きを書いていこうと思います。
※ここ連日のコンサートの振り返りについては、年末年始でやれたらなと思っています🌟
さて、ジュネーブにおいて一番のイベントと言えば『エスカラード』でしょう。
エスカラードとは「よじ登る」といった意味を持っています。
ではなんで「よじ登り祭り」なんて名前がついているのでしょうか?
以前ジュネ―ブ巡りでご案内した通り、ジュネーブはプロテスタント発祥の地であり、広場には宗教改革碑が大きく鎮座しています。
まさにその宗教戦争が頻発していた1600年代12月冒頭。
ジュネーブの街は敵兵(カトリック・サヴォア家)夜襲を受けてしまうのです。
深夜のジュネーブ街はきっとしんと静まり返っていたでしょう。しかも12月のとても寒い時期です。暖炉から火がはじける音を皆で囲んでいたり、早々に温かい布団に入っていたのではないでしょうか。
忍び寄る敵兵に対し、あわやといった時に気づいたのが『メールロワヨーム』おばさんです。
この方、深夜に大鍋で野菜スープを作っていたんですが、そのおかげで窓の外から敵兵がよじ登ってくるのを発見します。
思わず自分がぐつぐつと煮込んでいたお鍋をがっと手にとり、敵兵目掛けてばしゃーーん!!とかけたのです。
そうして外壁をよじ登ってきていた敵兵およそ300人を一網打尽にした、という話が今尚伝わっています。
エスカラード祭に欠かせないのがこのMarmite(マルミット)。マルミットとは大鍋のことですね。それを模したチョコレート菓子が、お祭りの時期にはジュネーブの街の各所に並びます。
可愛いですよね。ついているのはジュネーブ州の国旗です。
中にはマジパンで出来た野菜が入っています。
お祭りの時にエスカラードの歴史を語り「このようにして我々は敵を撃退した!」と子供達に語り聞かせ、そしてマルミットを割るわけです。
子供たちは自然とジュネーブの歴史を学びつつ、チョコレートを食べたり仮装したり。そうして大人になって行くジュネーブ人たちの誇りにつながってくんですね。
と、そんなお話を見聞きしたばかりの私が、ジュネーブに長くお住まいの方々に連れられて参加したお祭りの様子が以下です。
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いかに寒いかご想像頂けるでしょうか。
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ちなみにジュネーブの国境には馬に乗った警官さんが時折闊歩しています。
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※写真のものはあくまでモデルガンだと思います
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本当に時代が逆行したみたいですよね
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こういった行列を沢山作って、街を練り歩きます
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エスカラードがあったのは「夜襲」、つまり夜なんですよね。
なのでお祭りも夕方にこうして集まって、夜にかけて行進を行っていきます。
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そうしてバスティオン公園の中から行進はスタートしていきます
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これ音楽学校で持ってきた子がいて教えましたね~懐かしい
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エスカラードはジュネーブに生きる人々の誇りであって、今尚とても大切な催しです。
私自身も最初知った時は「マルミットかわいい!」くらいしか分からなかったのですが(笑)、その後ジュネーブ人の方々とお話しをするにつれ、生きた時間―歴史に触れられました。
こうして肉声で語られるお話の数々は遠く日本から来た私にとっても紙面に踊る文字情報ではなく、確かにこの地に生きていた"人々の営み"として知ることが出来ます。本当に有難い事ですね。
こうした営みから音楽は産まれ、今なお文化としてあるわけですから、ルーツを知ることで音楽や曲そのものに対するアプローチは変わってきます。
今後の私はそれをひしひしと感じつつも、表現するための技術の習得に悪戦苦闘するわけですが……(笑)
7年の欧州生活の中で色々な地へ赴き、沢山の人と会話しました。行かなければ知り合えなかった人、知る事ができなかった話が沢山あります。
その中で一番重みがあるのが歴史の話ですね。
今後も折を見て、思い出すためにも書いていけたら良いなと思っています。
私たちが今生きているこの時も未来から見たら歴史の一ページになると思うと、教科書や本などで少し距離を持って見ていた事象をより人肌のあるものとして感じられる気がしています。
ああ、若いころもっと勉強しておけば~!とかって、やっぱり思ったりしますね(笑)
ここまで読んで下さってありがとうございました。
次回はここ最近の演奏会や本番の話をしていけたら良いなと思っています。
またお目にかかれますように!
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