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「愛と追憶のレモンサワー」という小説

大竹聡さんの「愛と追憶のレモンサワー」という小説を読みました。

主人公である酔っ払いのジローは48歳。

ジローと飲み屋でたまたま隣の席になった私は、レモンサワーを飲みながらジローの人生話を聞くことになり、どんどん話に引き込まれてゆく。
話が終わる頃、数杯のレモンサワーでほろ酔いのジローと私はすっかり友達になっていた。
読み終えた時はそんな気持ちでした。

2012年初版なので、11年前のジローが48歳。
ということは2023年のジローは還暦くらいの年齢になる。
だからジローと世代は全然違うのだけど、昭和な子供時代の話は自分の子供時代を思い出し、ほんわかあったかい気持ちになりました。
ジローのお父さんは破天荒なので、少年のまま大人になったような私の父とは全然違い、こりゃ大変だなと思ったけど。笑

初めて1人で乗った地下鉄で、小心者のジローが降りる駅を間違えないように路線図が見える席で絶えず確認していたら、隣でクスクス笑う人が居て、見たら偶然乗り合わせた母親がいた。という話がとっても好き。
ある話では、警察沙汰になった父が、意気揚々と喋りながらも豚しゃぶの野菜しかつついていない姿から、父の弱気を見たジローを思うと少し切なくなった。
また、母親の若い頃のレシピノートに「真夜中のギター」という歌詞が書かれていたという話では、それぞれの人の人生にはいろんなドラマがあることを感じグッときた。

大人になり、世の荒波に揉まれ、新しい家族ができ、別れも経験すると、物事の見え方や生き方は大きく変わるのだと思う。
世代関係なく、ちょっと立ち止まって「どう生きるのか」を真面目に考えたくなる年齢なのなのかもしれない。
とにかくレモンサワーを飲みながら聞くジローの話は、レモンみたいに今の私に沁みました。

きっと何年たってもその飲み屋で48歳のジローは酒を飲んでると思うので、ジローと同じくらいの年齢になった人にはぜひおススメしたい1冊。

今日の私の晩酌はもちろんレモンサワーです。

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