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#2 若櫻湯とミャンマー語

筆者は九州の一地方在住です。
月に数回仕事等で訪れる福岡市に、九州で唯一のミャンマー料理店があります。

ミャンマー料理 若桜湯

平日のお昼はタイ料理のランチ。平日夜と土日は終日、ミャンマー料理とタイ料理をいただけるお店です。

何度か耳にしたことがある「モヒンガー」を食べてみたくて、10月某日、仕事終わりに勇気を出して行ってみました。

元銭湯の店内は内装が銭湯のまま。湯船の上に透明のボードを敷いて、その上にテーブルが設置されています。
カラフルなミャンマーの傘もきれいです。

元銭湯の若櫻湯。湯船の上にテーブル。タイル絵もそのまま。
若櫻湯。ミャンマーの傘がカラフルできれい。

初めて食べたモヒンガーは、魚介の出汁と豆のとろとろスープ。味は薄めなのに深みがあって美味しい!麺も、ビーフンかな?ひやむぎかな?美味しかったです。ナンプラーやパクチー、スパイスなどで味変もできます。
一発で大好きになりました!

モヒンガー

翌週、モヒンガーの感動を忘れられず、また仕事帰りに立ち寄って、チェッターヒン(鶏肉の煮込み)。
チェッターヒンはよく「鶏カレー」と訳されていますが、カレーの味はしません。野菜とナッツが溶け込んだソース。生姜とニンニクも効いていて美味しい!

後から知ったことですが、ミャンマー料理は豆類を多用するのが特徴だそうです。筆者はもともと生姜とニンニクと豆が好きなので、ミャンマー料理にはハマっていきそうです。

チェッターヒン


それは相手の心に届く

相手が理解できることばで話しかければ
それは相手の頭に届く
相手の母語で話しかければ
それは相手の心に届く
ネルソン・マンデラ氏のことば

筆者の座右の銘のひとつです。
仕事である言語を扱っているということもあるのですが、
外国から日本に来て暮らす皆さんが母語で話すひとときは、自由で疲れなくてとてもリラックスできる時間だと思います。

「堪能でなくていい。ただ『こんにちは』とか『ありがとう』って私のことばで言われるだけで、『ここに居ていいよ』って言われている気がする。」
知人から言われた言葉です。
それで今でも、親しくなりたい人の言語をすぐ学び始めがち。

若櫻湯の店員さんは、皆さん日本語が上手なのですが、この日、料理が来た時点で「ミャンマーの方ですか?(←この時点ではまだミャンマー語では言えず)」と尋ねて、
「ကျေးဇူးတင်ပါတယ်(チェーズーティンバーデー「ありがとうございます」)」
そしてお会計の際に
「စားလို့ကောင်းတယ်(サーロカウンデー「おいしかったです」)
と言ってみました。

店員さんは、控えめにはにかみながら、「ミャンマー語いつでも教えますよ。」と言ってくれました。

スピーキング練習の場、ゲットです。

若櫻湯の美味しい料理たち

それ以降、それまで平日に行っていた福岡の仕事をできるだけ土曜の午前に移して、仕事終わりに若櫻湯に立ち寄るのを週末の楽しみにしています。

シャンカウスエ(スープつき)

シャン地方の麺(カウスエ)という意味。
トマトチキンスープと米粉の細麺。ニンニクとナッツがたっぷりでイタリアンのスープパスタみたい。

シャンカウスエ

タミンジョー

ご飯(タミン)+炒める(ジョー)で焼飯のこと。
海老が乗っている贅沢な焼飯。

タミンジョー

シャンカウスエ(汁なし)

混ぜ麺。ソースがより濃くて美味しい。

シャンカウスエ(汁なし)

ラペットゥとベービュータミン

お茶(ラペッ)の和え物(トゥ)は、YouTubeのミャンマー語講座でも紹介された有名な料理。おやつにもおかずにもおつまみにもなります。
発酵させたお茶の葉を中心に、揚げものや野菜などを小鉢でセットするのがラカイン地方流。ヤンゴンでは写真のようにキャベツやトマトと和えてサラダにするそうです。
「発酵させたお茶の葉」の味が想像できなくておそるおそるいただきましたが、ふつうに美味しい野菜でした。筆者もお茶を飲む習慣があるから、違和感ないのも当たり前かもしれません。

ゆで豆(ベービュー)+ごはん(タミン)は、とうもろこしとひよこ豆がたっぷり入った混ぜごはん。豆好きにはたまらない。

ラペットゥとベービュータミン

お店での会話

お店での会話も少しずつ広がっています。

ド定型文の
・မင်္ဂလာပါ(ミングラーバー「こんにちは」)
・ကျေးဇူးတင်ပါတယ်(チェーズーティンバーデー「ありがとうございます」)」
・ရှင်းမယ်(シンメー「お会計お願いします」)
・စားလို့ကောင်းတယ်(サーロカウンデー「おいしかったです」)

に加えて、最近は「1人です」「また来ます」と言ってみたり、レジ横のカゴを見て「これ何?」などと尋ねたりもできるようになり、楽しくなってきました。
入店してから退店するまでの決まった行動の中ですが、「あそこに座っても良いですか」「これは多過ぎますかね?」「これはどうやって食べるの?」など、まだまだ言いたいことがたくさんあります。

手段から目的へ

若櫻湯の店員さんは皆さんチャーミングで、もはや「スピーキングの練習相手」ではなく、店員さんたちと会話すること自体がミャンマー語を学習する目的になってきました。
土曜日の午後、美味しいミャンマー料理とちょっとした会話が、今の筆者にとって最高の癒しの時間です。

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