カナダと日本の教育の根本的な違い~教育者用講座に参加して~
カナダの団体、Media Smartsが教育者向けのウェビナーを開催していたので、参加してみることに。Navigating Online Relationship Safetyというタイトルのそれは、私の想像の超える日本では考えられない内容だったので、その一部を紹介したい。
まず、スライドの内容から見てみる。トピックをタイトルとして、本文中にチェック項目が書かれている。
※英語はスライドからの引用、日本語訳は筆者による
1)Online dating tips(オンラインデートのヒント)
・出会い系サービスに登録するための新しいメールアドレスを作る
・データ消去の可否を確認する
・納得いくまで個人情報を公開しない
・決してお金を送らない
・初めて会う時は公共の場所にする
・このことについて友人や家族に話す
2)Online relationship abuse(オンライン関係の悪用)
・パスワードや個人情報を共有すること
・プライベートなビデオや写真を共有すること
・写真やビデオを送ることを強要すること
・「チェックイン」することを期待すること
・ネット上でのスパイ行為やストーカー行為
・ソーシャルネットワーク上の友人を削除させる
・ネット上であなたに関する噂を流す
・あなたが不快感や恐怖感を与えるようなメッセージ
・これらのことをすると脅すこと
3)Safer sexting(より安全なsexting)
補足)sext:携帯電話やスマートホンを使って、性的なメッセージや画像などをやり取りする行為
・相手がそれを見たいと思っているか確認する
・オンライン上のものはすべてコピーできることを忘れない
・個人を特定できる情報は公開しない
・望まない送信者をブロックする
・送られたものを許可なく共有したり、見せたりしない
・Sextを送るように圧力をかけない
4)If someone shares a sext of you(もし誰かがあなたのsextを公開したら)
・証拠を保存する
・削除を依頼する
・掲示された場所に削除を依頼する
・警察、司法書士事務所、弁護士に相談する
5)If you break up with someone(もしあなたが誰かと別れたら)
・パスワードとセキュリティの質問を変更する
・デバイスをバックアップする
・サポートを探す際には、検索を非公開にする
・ストーカーウェアが入っていないかデバイスを確認する
・位置情報の設定を見直す
6)Escaping relationship abuse(パートナーの暴力から逃げるために)
・アカウントを非公開にする
・オンライン上では一般的な名前を使用する
・一般的なプロフィール画像を使用する
・所在地に別の都市を使用することを検討する
・仕事、学校、家族に関する投稿をしない
・投稿や写真にジオタグ(位置情報)を付けない
・イベント後や訪問後に投稿する
参加してみて
これらのスライドは、生徒は被害者にも加害者にもなる可能性があるという前提で、加害者にならないために考えるべきことや、被害にあったらどうしたら良いのか、その具体的方法が書かれている。
生徒をコントロールできない一人の人間であることを前提にしているところに、カナダの教育の健全さを感じる。実際にこれらのことを生徒にどのように伝えるのか、どのタイミングで伝えるのか、それとも伝えないのか、そのことはこの講座から知ることはできなかった。ただ、少なくともこれらのことを教育関係者がインプットする場がある、ということが大切であり素敵なことのように思う。
では日本ではどうだろう。SNSは危険だとか、ネットでの出会いは危険だ、ということは話すのかもしれないが、何がどのように危険なのか、それをしたい場合には何に気を付けたら良いのか、について話すことはほとんどないのではないかと思う。もしかしたら、教師はこのようなことについて良く知らない可能性もある。まず教師がこれらのことを知っていて、それを生徒に伝えるかどうかを判断できる、そんな状況が理想的ではないかと考えた。
海外の事例に触れると、日本のことを違う視点で客観視するのを助けてくれることに気が付く。今後も海外の教育研修に参加したいと改めて思ったのでした。
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