ミニマム読書日記「居るのはつらいよ」
こんにちは。室蘭市中央町大町商店会の雑貨と古本の店「ミニマム」店主です。ミニマムなのは店主のやる気です(0ではない)
読書日記…あれ、年記?まぁ、お気になさらず。いまSNSの運用についていろいろ考えていて、そういやnoteってあったなと思い出したのです。そんなもんです。今度から「気まぐれ読書日記」にします、
居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書
さて今回記録したくなったのは、東畑開人「居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書」医学書院(2019)。
この本に書かれている「ケアとセラピーとそれを翻弄するブラックなもの」、私の本業の市民活動支援に通じるものがあるかもと思いまして。
著者の東畑開人さんは臨床心理学がご専門。京大で博士号をとられたあと、臨床の現場を志して沖縄の精神科デイケアで臨床心理士として勤め、本書はそのデイケアでの経験をもとに「ケア」と「セラピー」について分かりやすく解説してくれています。
ちなみに私「精神科デイケア」というものをこの本で初めて知ったのですが、それがどのようなものかも分かりますし、物語を追ううちに臨床心理学のいろいろも学べます。教科書とかもこんな風に書いてくれると面白いよねぇ…。
そもそも私がこの本にたどりついたのは、自死遺族交流会の事務局を受けてから関連図書を読む中で、中森弘樹「死にたいとつぶやく」慶応大学出版会(2022) の居場所の考察の文献で出てきたのです。ちなみに「死にたいとつぶやく」と検索したら相談窓口を紹介されました。いや書名だから。大丈夫だから。
ケアとセラピーと、ブラックなもの
この本ではケアとセラピーの本質について書かれています。やり方とかのハウツーではありません。
定義を引用してしまうと
私は精神科ケアをする人ではなく市民活動支援が仕事なのですが、「ニーズを満たす」が「依存を引き受ける」になるのは分かる気がします。私たちは依存を引き受けたりまではしない、というかそうならないように気をつけよう、とか思ったわけです。
本質って、分野が違っても分かりあえるんだな…と思いました。
セラピーについても分かりやすく示されますが、ブラックなものについては推して知るべし(それを論じるのは精神科の範囲外ですよね)
精神科への興味関心がある方にはもちろん、だれかをサポートすることが業務に入ってる方には興味深いんじゃないかなと思います。
自分が普段接している世界からちょっと違うところに連れていってくれる、読み口軽いのに考えさせられる。読んで得した気分になった本でした。
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