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もし僕が君の心を取り囲む要塞を築いて堀と有刺鉄線で君を取り囲んでしまったのなら

Stingが好きで良く聴いていた。
特にソロになりたてで出した『The Dream of the Blue Turtles』は本当に良く聴いた。
一番気に入っていたのが『Fortress Around Your Heart』だった。

一日にして成ったこの都市
二人で昼下がりに歩いたその街路
見慣れた野原を引き返すと
かつて自分が築いた壁が目に留まる

思わず足を止めるしかなかった
自分自身で埋めた地雷を踏むのを恐れて

もし僕が君の心を取り囲む要塞を築いて
堀と有刺鉄線で君を取り囲んでしまったのなら
橋を架けさせてくれないか
その深い溝を埋めることなどできないから
そしてその壁に火を放たせてくれ

上記リンク【解説・和訳】 Fortress Around Your Heart / スティング

胸に刺さる歌詞だったしメロディだった。
音楽的にも、ブリッジ(ミドル8=フックとフックをつなぐ真ん中の8小節)がないという作りだそうで、その違和感も歌詞を支えているのかもしれない。

なぜこんなにこの曲が刺さるんだろう?と最近考えていて、それこそハッとした。これは私の歌だ。
娘の中に私が築いてしまった城壁を、堀を、有刺鉄線を、要塞を、そして地雷を、取り除くことに必死だったこの数年だったじゃないか。

間髪入れずにまた気が付いた。これは私のかつての望みを歌った歌だ。
母に、いつか母に、こう歌われたかった。そしてこう言われたかったのだ。
「私が悪かった。あなたを受け入れ、大切にしたい。」

夢物語だ。ありえない。
でも望んでいた。そして望んでいる間ずっと辛かったのだ。
母が、それができない人間だと認めて諦めることができなかった。

当然もうその望みは霧散している。
そして私は、娘に対してのこの作戦遂行中だ。
そのことに誇りを持ち、幸せを感じているのだ。

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