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【スワローズ☆ガールズデーレポ】野球を観に来ているからこそ、アフターサービスがほしい
「ヤクルトのガールズデーに行きませんか?」とNFB(日本女子野球機構)の発案者であるこまみちゃんに誘われたのはニヶ月前のこと。
こまみちゃんとは同年代で、野球好きであることは知っていたので、お声がけをもらったときは正直とっても嬉しかった。こまみちゃんは現在社会人チームで野球をしている私を現役野球女子として、ガールズデーに誘ってくれたらしい。
お誘いには二つ返事で「行きます!」と即答したけれども、私には問題があった。こまみちゃんは「ヤクルトのガールズデーを研究するためにお声がけしました」と言っている。しかし肝心の私は、野球こそ好きで球場にも何度か行ったことはあるけれど、「ガールズデー」に関しては無知もいいところだったのだ。
ガールズデーってなんだ……。なんで球団はガールズデーとかやっているんだ……。
ガールズデーの知識に関してはからきしだった私。だからあえて、この無知さをそのまま研究テーマに持っていくことにした。
テーマ:「なんでスワローズはガールズデーをやっているの?」
我ながら大きなテーマになってしまったなと思う。けれども、ガールズデー無知な私の中でもあるひとつの仮説を持っていた。
それは、「スワローズのガールズデーは、既存のスワローズファンに向けたイベントなのではないか」という仮説。
そしてもしこの仮説が正なら、球団側はどんな手法で、スワローズの女性サポーターを喜ばせようとしているのかがとても気になった。この「どんな手法で」というのが今回の話のミソで、球場を訪れた結果私は「アフターサービスのあるガールズデーがあってもいいんじゃない?」と思うことになる。アフターサービスのあるガールズデーがあった方が、ファンは嬉しいよね、と。
まずは、そもそもどうして、スワローズのガールズデーは「既存のスワローズファンに向けたイベントなのではないか」という仮説を持ったのかについてお話したい。
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ガールズデーに行く前。「スワローズのガールズデーにはどんな女性が来るんだろうな〜〜」と考えていた。
まずは、想定するターゲットを大きく、野球観戦に行ったことのない女性やスワローズに詳しくない「野球新規層」と野球観戦もスワローズも大好きな「野球ガチ勢」のふたつに分類した。その仮説が、事前のTwitterリサーチにより完全後者に傾く。
「スワローズ ガールズデー」「スワローズ レディースデー」「ヤクルト ガールズデー」
などなどのワードで検索をかけてみたところ、呟いている人がほとんどスワローズファンだった 。また、スワローズのガールズデーのイベントページまで行ってみても、選手の紹介や、野球観戦のマナーなどは書いていない。イケメン総選挙や、限定グッズなどが全面に打ち出されたイベントページからは、野球やスワローズのアーリー層ではなく、これまでスワローズをご贔屓にしてくれたサポーターの女性たちへの愛を感じた。
こんなことからスワローズのガールズデーは「既存のスワローズファンに向けたイベントなのではないか」という仮説を持った。感謝祭のようなイメージだ。実際に球場に足を運んでみれば、それは確信に変わっていくことになる。
神宮球場には選手のグッズコーナー、イケメン選手権上位層の等身大パネル。選手からのユニホーム手渡し会というイベントも行われていて、既存のファンにはたまらないだろうなぁという内容だった。そういえばスワローズの公式Twitterも一週間くらい前からガールズデーに向けた選手の動画を細かく載せていたなぁ。
それと、多くの球団が実施しているガールズデー専用に配布されるユニホーム。あのユニフォームが「無料」と聞いたときには、一瞬「やっぱりガールズデーは新規層を狙っているのか?」と思ったけれど、そもそも新規層はいきなりユニフォームとか狙わないし、ユニフォームが欲しいと思っても普通はオーソドックスなユニフォームを狙うと思う。限定ものが欲しくなるのはいつでも既に沼にハマっている者たちの宿命だもの。
ガールズデーのために立てたテーマ「なんでスワローズはガールズデーをやっているの?」の私なりの答えあわせをしたい。スワローズは、既存のスワローズファンに喜んでもらいたかったのではないか。もっと細かく言うなら、球団推しのサポーターと言うより、特定の選手を応援するサポーターたちに喜んでほしかったのではないか。これが私のスワローズがガールズデーをやる目的についての見解。
さて、ここからは試合を観戦し、ガールズデーの雰囲気を見た私が「アフターサービスのあるガールズデーがあってもいいんじゃない?」と思った理由を話したい。
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ガタンゴトンと揺れる電車の中で私はその日の試合を振り返った。雨の試合、崩れない投手陣、初回から爆発するスワローズ打線の猛攻、際どいクロスプレー。最初から最後まで天気がすごく悪かったので、両者投手陣はよく投げたなぁとしみじみと思った。
そんな気持ちから、帰りの電車では、ガールズデーの勝利投手、スワローズ・小川投手のことを調べてみた。
小川投手は去年の秋に右ひじを疲労骨折して手術を受け、今年の春に実践復帰したばかり。怪我からの復帰、雨の試合にもしっかりと調整してくる強靭なメンタル、「ライアン」と呼ばれる若きエースは、迎えるべくして今日を迎えたのだなと納得した。それから、彼が勝利投手になって嬉しいなぁと。
私自身は投手を6年間やって、今も社会人女子野球チームでプレーしている。「野球は観戦より実践の方が好き」とずっと思っていたけれど、こうやって選手の背景を知った上で試合を振り返ると、また小川投手を見たくなるものだなと心から思う。
そこでハッとした。「あっ、私みたいな今日小川投手を知った新規ファンですらこんな気持ちなんだから、前々から小川投手を応援していた人たちは、もっと今日という日を喜んでいるんだろうなぁ」と。
小川投手のサポーターだけじゃなくて他の選手のサポーターもきっと、今日スワローズが勝利したことは私の何倍も嬉しくて、今日を糧に「明日からも頑張ろう」って奮ったりしているんじゃないかと。
試合前と試合後って、試合後の方がサポーターの熱量は高いもの。それは当たり前といえば当たり前、私たちは野球を観に来ているのだから。
けれども、ガールズデー当日のイベントはほとんどが試合開始前に寄っている。試合後はただ帰るだけ……観客たちは、その熱量をお酒にぶつけるしかないというのが現状なのではないか。
もしも、スワローズのガールズデーが私の仮説どおり「既存のスワローズファンに喜んでもらいたい日」だとして。もっと試合後のオーディエンスの熱量に注目したアフターサービスを展開してみてもよいのではないかと思った。
例えば今回のガールズデー。「選手からユニフォームが手渡しでもらえる」というオプションがあったけど、あれも試合前にやるのと試合後にやるのでは、ファンの感動もまたボールパークに足を運びたくなる気持ちも、全然違ってくるんじゃないかと思う。
また、選手は野球をやっている。ガールズデーだろうが、ガールズデーじゃなかろうが、選手は一試合一試合が命がけだ。だったらやっぱり、試合後にホッとしたいだろうし、試合後にこそ「ナイスプレー」だとか「これからも応援してます」とか聞きたいんじゃないかとうっすらと思う。ガールズデーが終わった後は、前夜祭とは打って変わって一瞬で通常運転のスワローズの公式Twitter。
だけど、もしかしたら私たちも選手も、ガールズデーの後夜祭をやりたいんじゃないかと思ったりした。
私のスワローズガールズデーの考察をまとめると、こうなる。
・スワローズガールズデーは、既存のサポーターに向けたイベントである
・サポーターは試合後の方が熱量が高くなり、選手も試合後のサービスの方が精神的に嬉しいのでは?と思う
・故に、試合後のアフターサービスを展開することが、ガールズデーのさらなる盛り上がりに繋がるのではと考える
私自身は決してプロではないけれど、社会人チームで野球をするいちプレーヤーとして思うのは、日頃応援してくれる人の「ナイスプレー」ほど、明日からの励みになるものはない。
選手個人を応援するコアファンが集まっているであろうガールズデー。選手とファンの想いがよりよい形で交差するアフターサービスをガールズデーから始めてみるのはどうだろう?と、思いました。