高校写真部の機材
高校写真部の生徒が使っているカメラにはどんなものがあるのか。個人的に見聞きした範囲で言えば、圧倒的にエントリークラスのデジタル一眼レフ、またはミラーレスが多いという印象です。具体的にはCanonEOS Kiss。NikonならD3000系か5000系。またはCanon EOS Kiss M,OLYMPUS(現OM SYSTEM)のPEN,OM-D シリーズなどのダブルズームセットが定番、と言ったところでしょうか。
理由はといえば、多分に高校生の家庭の経済的事情によるところが大きいと思います。スマホではない本格的なカメラといえばレンズ交換式。とはいえ高級機種には手が届かないのでエントリークラス。あるいは、店員さんに「写真部に入るんですけど、どのカメラがいいでしょうか?」と相談したらかなりの確率で売れ筋機種を薦められる、という事情もあるでしょう。
本来カメラ選びは「こういう写真が撮りたい→そのニーズを満たせる機能や性能のカメラは何ぞや?」という思考回路であるに越したことはないと思いますが、それは写真を始めたばかりの高校生にとってはいささかハードルが高い。
そもそも、断言すれば「AFの追従が・・・」とか「高感度ノイズが・・・」とか、はたまた「ボディーの質感が・・・」などという、私のようなオヤジユーザーが気にしがちなスペックの部分は、高校生たちはほとんど気にしていません(苦笑)。まあ、日頃スマホで写真を撮っているのだから当然と言えば当然なのですが。そんなことにこだわらずとも前述の機種はどれも一通りの撮影が可能ですし、レンズを買い足すことで対応できる被写体も広がりますので、無難な選択と言えます。
というか、高校生たちの写真を見ると「え、コレ本当にその(エントリークラスの)カメラで撮ったの??」と感じるほど内容も画質も素晴らしいものが多いので、機材の問題ではないんだな、とも思います。
むしろ問題なのは、露出やピントのことなどわからなくても、とにかく押せばきれいな写真(「いい写真」ではないですよ!)がカンタンに撮れてしまうので、絞りやシャッタースピード、ISO感度などの関係性を理解していない、あるいは諸々のカメラの設定を気にしていない(!)生徒も多いということかもしれません。ある種のブラックボックス化とでもいいましょうか。以前「写真甲子園2008」(全国大会)に監督として参加したとき、現地で「先生!やっと絞りとシャッタースピードの関係がつかめました!!」と部員に真顔で言われて、思わず絶句した思い出があります。
理屈がわからずともすごい写真を撮る高校生たちには勝てない。それが偽らざる実感です。