「学校」の枠にとらわれない「写真部」へ(1)
部活動は、大きな曲がり角を迎えています。文部科学省は、将来的には部活動を学校から切り離していくべきであると表明しています(詳しくは検索を)。ただ、これは主に「学校(教員)の働き方改革」という文脈であること、また過度の活動や勝利至上主義に警鐘を鳴らすなど評価できる点もありますが、若者たちにどんな風にスポーツや文化活動に親しんでもらうかという視点は(皆無ではないものの)ほとんどありません。
図らずも今回のコロナ禍で明らかになったことですが、緊急事態宣言を機に多くのアートイベントが中止・延期され、美術館なども一時閉館を余儀なくされました。このとき話題になったのが、ドイツ政府が「文化は生きるために不可欠」として、いち早く文化芸術分野への支援を最優先事項と位置づけフリーランスであっても日本円で約100万円の助成金を受け取れるようにしたことです(2020年。出典:NHKみんなでプラス)。
また、文化予算という意味でも日本はフランス・韓国・イギリス・ドイツ・アメリカ・中国などとの比較で最下位。1位のフランスの約4,000億円と比較すると日本はその4分の1。国家予算に占める割合もワースト1位のアメリカ0.04%についで低い0.1%。(出典:日本の文化予算って少ないの?世界の国との文化予算の比較)これら日本の文化・芸術を巡る貧困な状況は、中学・高校の文化部にも物心両面で大きな影響を与えているように思うのです。
たとえば、「全員加入制」のもとで「収容部活」(・・・刑務所かよ)とされるのは100%文化部。少子化のもとで真っ先に統廃合の対象になるのも文化部。全国大会に何回も出場し、優勝までしているのに簡単に廃部になるのも文化部。私が実際に見聞きした例は山ほどありますし、私自身もその当事者でした。
ズバリお聞きしますが、あなたは「しょせん文化部は運動部の下だよね〜」という意識がまったくないと、自信を持って言えますか?
すみません。別に嫌みを言いたいわけではないのです。国や、社会や、学校現場にある文化・芸術を軽視する空気が、こうした状況を招いているのではありませんか?いや、昨今のオリンピックを巡るドタバタぶりを見ていると、スポーツ界も同じなのかもしれませんが。
そう考えると、高校写真部も(逆説的ですが)いつまでも学校に頼ってはいられないのではないか。これまでに根付いてしまった部活文化とは違う文脈や枠組みで、若者たちの写真文化を考えていかなくてはいけないのではないか。
もちろん、すでに始めている人たちは大勢います。自分もその一人になれれば、と本気で考えています。