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写真は誰のために、なんのために撮るのか
映画『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』(2010)をご存じでしょうか。紙の町・四国中央市を舞台に、今ではかなり有名になった「書道パフォーマンス」に打ち込む高校生たちを描いた青春映画の佳作(と勝手に思っています)です。
主人公・里子を演じる成海璃子さんはじめ若い俳優たちの演技も素晴らしいのですが、この映画のキーパーソンは、臨時講師として赴任した書道部顧問(金子ノブアキさん)。この顧問、とにかくやる気がない。「ご指導お願いします」と部員が挨拶しても「ムリ!」と言い放ち、いつも携帯ゲーム機でゲームばかりやっている。が、ある日、彼がグラウンドで部員勧誘を兼ねた書道パフォーマンスを行ったことから、物語が大きく動き出します。はじめは反発していた主人公もやがて感化され、仲間たちとパフォーマンスに打ち込むようになります。
実は里子の父親は書道家で、厳格な人物。里子もそんな父に逆らえずに書道をやってきたものの、仲間たちと1つの書を書き上げる楽しさに目ざめた彼女は初めて「辛いだけの書道だった。お父さんがなんと言おうと(パフォーマンスを)やめる気はない」と、初めて父に対して自分の本心を吐露します。
これは顧問に言って軽薄なパフォーマンスなんぞやめさせるしかない、と考えた父親は顧問に談判に行きますが、そこで彼女たちが書いた「再生」という書を見せられます。すると、顧問が。
「どうです?いい字でしょう。書きたい!っていう書き手の楽しさが伝わってくる。ところで、僕、書道家目指した「成れの果て」なんです。コンクールに入賞することばっかり、審査員にうけることばっかり考えて、自分を見失って。書くだけで楽しかった書道が、いつの間にか苦行みたいになって。それじゃ見てる方も辛いですって。そんな自分にあの子たちを教える資格なんかない、そう思ってました。」
(台詞通りではありませんが、大意こんな内容です)
つまりこの映画は、不況に沈む町、やる気をなくしていた生徒たち、書道家を目指しながら挫折した顧問、それぞれの「再生」の物語。そして「書道」を「写真」に置き換えれば、そのまま私の物語でもある(・・・いささかカッコつけすぎですが、そう感じてしまったので仕方ありません)のです。
賞を取るため(試合に勝つため)でも、誰かに褒められたいからでも、まして学校の名誉を高めたいからでもない。ただ自分たちがやりたいから、好きだから、楽しいからやる。あらゆる部活動はそうあるべきじゃないか。いや、それでいいんじゃないか。
私が勝手に読み取ったあの映画のもう一つのテーマですが、いかがでしょうか。
※興味をお持ちになった方は、ぜひこの映画(→予告編はこちら)と、実際に行われている「書道パフォーマンス甲子園」をご覧になってみてください。競争を超えた感動というのはやはりあるんじゃないか。きっとそう思われると思います。