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123天文台通りの下町翁 雑記帳~大山勝男・著「さっちゃんの診察器       -医師・矢島祥子-」読後記

大阪市西成区の診療所で釜ヶ崎で一貫して町に暮らす厳しい生活環境や健康状態にある人々のために、献身的に医療活動を続けていた”さっちゃん”先生こと矢島祥子医師。2009年11月19日の午前1時20分に木津川の千本松船場の水中で遺体となって発見されるまでのわずか34年の人生の濃くも短い軌跡を追った内容。と同時に、ご両親お二人とも医師、祥子さんの兄弟3人のご家族と他殺死としか思えない彼女の死の真相を現在も求め続けている。既に現時点で13年以上も経っているのに、当所は自殺と片付けていたが、その後、刑事事件として警察も再度捜査を決めたものの、何らかの隠された事実があると強く推察される。表立っての追究がなされない理不尽な現実。
この本の中でも紹介されている、ご自身も1967年に発生した「布川事件」で冤罪により無期懲役となり、1996年の仮釈放までの29年間刑務所で服役し、その後の再審~無罪確定(2011年)~国家賠償請求に対する国と茨城県による賠償確定(2021年)に至るまで戦い抜いた桜井昌司さんの指摘「真相を知っていても知らないというのも逆冤罪だと思う」がズバリと本質を突いていると思う。

何ともやりきれない不条理いっぱいの事件であるが、真相が明かされる日は必ず来ると信じて、応援したいものである。


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