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123天文台通りの下町翁 雑記帳 ~カラスとの声なき対話~
実入りのない人間だから、外食はなるべく避けている。冷蔵庫の中の残り物の片付けも兼ね、朝起きてトースト一枚とコーヒーの朝食をとりながら、平行して飯だけ炊き、冷蔵庫内の残り物と共に弁当箱に詰めて、散策に出た先の公園のベンチで昼食とすることが近頃の日課だ。
散策途上で視界が開けたおあつらいむきのベンチがあると陣取って弁当箱を開くのである。昨日はその瞬間を見計らったように、2メートルほど離れた間近のベンチの背もたれにカラスが飛んで来た。こちらの様子を時々チラチラ首を回してうかがっている。これだけ近くに寄ってくるのは人馴れしているのと、何より食べ物をもらえた成功体験が何度もあって学習しているからだろう。
よっぽど、食べ終えた手羽先を放り投げてやろうかと気持ちが動いたが、鳩の餌やりで"憤慨"する公園の利用者や管理人が多いだろうと思い起こし、良く見ていると案外可愛らしい、黒い瞳をしたカラスの希望を萎ませて、そそくさと弁当箱をしまい、立ち去ることにした。
カーとも声を上げずに辛抱強く待ち続けていたカラスだったが、立ち去った私のベンチ下に何か落ちてやしないかと、しきりに歩き回る姿があった。カラスの残念さが空気に伝わってくるのだった。