陽関三畳
大洋ホエールズ最後のエース、遠藤一彦投手は
「ホエールズと共に去るのも絵になるかな。」
とホエールズからベイスターズに球団名が変わる前年、ユニフォームを脱いだ。
右アキレス腱を切ってもなお、左足のみでサードベースにケンケンをしながら走る姿は脳裏に焼き付いており、プロ野球選手ってなんて過酷なんだろうと、当時グランドで汗まみれになる学生時代を過ごしていた自分には、もの恐ろしさを感じさせた。
その3年後、先発からクローザーに転向し、見事6勝6敗21セーブでカムバック賞を受賞した氏の不断の努力は、積土成山の大切さを刻み込んでくれた。
今日第一弾となる、富山GRNサンダーバーズ任意引退及び自由契約の選手名が発表された。
何人かの選手からは事前に今後の去就を聞かされていたとは言え、あらためて文字になったのを目にすると、やるせなさが押し寄せ、うら寂しさに包まれる。
全く野球から離れる選手、他チームに活路を求める選手、その路次はさまざまだが、この一年ひたむきにボールを追う姿を見せてくれた事に感謝したい。
何年か振りに日常生活を”野球漬け”にしてくれたし、学生時代に感じていた滾りを思い出させてくれた。
また普段の生活で大声を出す事は皆無だが、応援と言う名を借り、誰にも気兼ねせず張り出すシーンが多々あったのは、かなりの気晴らしになり充実したパスタイムになった。
富山GRNサンダーバーズのファンダムとして、応援団の方々を始め地位も年齢も性別を超え、沢山の方々と”縁”を育む事を出来たのも大きな糧となった。
監督、コーチ、選手の皆さん、スタッフの方々、感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。
きっとまた来年もスタジアムで声を張り上げていると思うので、もし見かけたら肩をポンと叩き、フィストバンプを。
(写真は全て筆者撮影)