賽は投げられた
富山GRNサンダーバーズ球団より吉岡雄二監督の東京ヤクルトスワローズバッティングコーチ就任、細谷圭野手総合コーチの千葉ロッテマリーンズファームバッティングコーチ就任に続き、島崎毅投手コーチのCPBL(台湾中華職業棒球大聯盟)富邦ガーディアンズファームピッチングコーチ就任が発表された。
これで今季首脳陣は皆チームを去る事になり、浸透しつつあった”イズム”=選手自身の自覚と考究の積み重ねにより勝利する事が一旦リセットされる事と相成った。
筆者はシーズン終了後、島崎投手コーチから来季も応援して下さいとの言葉を頂いており、さらに先月の日本海リーグトライアウトで視察にいらっしゃっていたのを目の当たりにしているので、寝耳に水、晴天の霹靂、予想だにしなかった発表。
この一年間、島崎さんとの思い出はここに書ききれぬ程あるが、試合後に勝っても負けても選手達に良かった点、悪かった点をベンチ前で熱く伝える姿が強烈に焼き付けられている。
その姿は投手コーチと言うより、懇篤で慈愛に満ちた親戚のおじさんの様だった。
ある投手が呟くように囁いた言葉が心に残っている。
「ブルペンでキャッチボールすると、島崎さんが一番コントロール良く胸元に、ズバッと強いボールが来る。」
技術的な細かいアドバイスを送るのは、凡庸なコーチでも出来る。でも、何も言わず自らが投げるボールのみで理解させるのは非凡なコーチ。
監督、コーチ御三人が独立リーグより上のステージで求められ、これからご活躍されるのは喜ばしい事と頭では理解しているが、富山GRNサンダーバーズのファンとしては現時点、期待よりも不安の方がまさっている。
吉岡監督始め、細谷コーチ、島崎コーチの常に選手ファーストの思いを、事ある毎に目の当たりにしてきたので、至極当然に次の首脳陣にも求めてしまい、首を傾げるシーンがあるのでは無いかと臆断してしまうから。
このガラガラポンがプラスと転じるのか、マイナスに転じるのかは誰にも分からない。
もちろん、プラスに転じてくれる事を切に願うが。
ただ自分よりも選手達の方が心穏やかでは無い筈。
考える時間はこれから山程ある。だから今、このオフシーズン、バルクアップとインプルーブメントを。
(写真は全て筆者撮影)