三龍戦騎RPG復刻リプレイ 第4話「星界への熱い道のり」第1章
銀河の彼方にある惑星アマミツヨ。そこでは、恐竜、獣人や植物知性体などの多様な種属と、地球人の子孫が共存していた。これは、そんな星で、成人儀礼の旅に出る少年少女「ウツロヒ」の冒険譚である。
このリプレイは、当時のものを、ほぼそのまま掲載しています。ご了承ください。
2005年5月29日、某所公民館にて、カワアガニと天魂の試験遊戯を行う。一同で集まって昼食をとり、ゆったりと遊戯開始となった。遊戯順としては第7話になる。
登場人物
崙土乱子(共通語の通称)
ろんどらんこ。種属は水棲種属「カワアガニ」、13歳の少女。
「知性」はひくいが、身体は頑丈である。
全長12メートルもの巨大鰐・タッキオオワニ(サルコスクス)をトモガミとする。トモガミの名は「紅珊瑚」。
出生は「大商人の娘」だが、知性1で、商売があまりに暴力的だったために追い出されたらしい(笑)。今は生活雑貨を主に扱っている。
敵対的なカワアガニの知り合いがおり、何とか彼女を超えたい、と思ってウツロヒに出た。
なお、この名は共通語(三龍語)の通称であり、カワアガニ語の本名は別に存在する(このときは命名表がなかった)。遊戯者はW氏。
【能力値】体力4、技術4、知性1、魅力2、龍魂4
【技能】ゲキ/「毒の牙/神経毒1」「携行火器1」「諸国の噂1」
トモガミ/「水中隠密1」「対水上戦闘1」「対潜戦闘1」
【武装】トモガミは、ムシオニ〈ネッセンヒラツメガニ〉のみ装備。噛みつきによる白兵攻撃を得意とする。装甲は第一種21型。
緋七
ひななつ。天魂。外見年齢は8歳。
出生は、ガルナス貴族お抱え家系の株だったが、そんな生活に嫌気がさしてガルナス帝国を飛び出した。困っている地上人を助けたいと、綺羅シュンカの口ぞえで三龍帝国軍に所属することになった。
志星連絡会の地方支部長と友好関係にある。天魂らしく、大人しい性質だが、なぜかランコと馬があうようで、組んで仕事をこなしている。戦闘は苦手なのに、今回は大事件にまきこまれてしまう。トモガミは雪華。遊戯者はL氏。
【能力値】体力1、技術1、知性5、魅力5、龍魂3.(修正前ルールによるので現行版とは異なる)
【技能】
ゲキ/「天魂の諭し1レベル」「天魂の嘲笑1レベル」「地上人への愛3レベル」
トモガミ/「天華法環境1レベル」「戦術支援1レベル」
【キャラクター作成中の会話】
W氏 種属ごとの年齢が規定されてないな。ダイスで決めよう。13歳になった。しかし、知性1とはね。「オラこれ買えやゴルァ!!」とかいってムキムキの姉ちゃんが、巨大ワニに乗って、頭の悪い商売するわけか。
L氏 「おめのソレとおらの商品交換するだ!」と、客の家をワニで破壊して無理やり商品を押し付け、「いい商売しただ♪」とかいって引き揚げていく(笑)。
GM マテ、それは強盗だから。そうか、そんな商売をしていたから、大商人の娘なのに追い出されたんだな? さすが三龍・二大バカ種属(笑)。
L氏 なんか「環境系」天華法で気軽に使えるのって、臭いを創る術だけじゃん。こんなものかなあ。
GM そこは今後バランスをとっていこう。 (修正済み。しかし微妙に今も無益な天華法が多い気がする。)
L氏 天華法を使えない天魂は、ただの雑草だなあ……。(問題発言)
W氏 しかしそこに萌えるガルナス・ダガンもいたりして。
第1章
河川を放浪して生きる種属・カワアガニは、半水没式の球形住居〈ケケル〉をもっている。
舟のように、それをトモガミで曳いて、帝国の各地で行商をしたり、運輸を請け負って生計を立てているのである。
「今月も赤字やなー」
古代ワニに乗ったカワアガニ少女・崙土ランコ(あだ名)が、真昼の喜如羅河(キジョラガー)を行く。
周囲には小舟やシンテツ船が行きかっている。河口域に浮かぶ喜如羅市のほど近くであり、船舶や、水生トモガミの交通量はかなり多い。一見、貧民街のようにごちゃついた喜如羅市の彼方には、央天湾の蒼い水平線が輝いている。
トモガミであるタッキオオワニの背に騎乗しつつ、ランコは札束を勘定していた。まだウツロヒ中の身であるから、さして稼ぎは多くない。三龍帝国軍やウツロヒ宿からも仕事をもらいつつ、休日に行商をしている程度である。
ランコは、ため息をついて、赤い尾びれを力なく振った。空を仰いで、自分を説得するように言う。口を開けると、鮫のようなずらりと並んだ牙が覗く。
「あかん、今日中にもう一仕事受けな赤字やッ」
耳のヒレを一振りし、少女は、友人である天魂のいる宿屋へと向かうのだった。
【場面1:央天青繁華街のウツロヒ宿】
崙土乱子と、緋七の二人は、ある繁華街をぶらついていた。共榮圏のごく一般的な都市で、中世の琉球王国を思わせる木造・サンゴ造家屋が立ち並んでいる。
二人がいるウツロヒ宿は表通りに面している。日が暮れてもなお、荷車を引いた恐竜や、大筒をもったガルナスの〈竜撃士〉などが行きかっていて、賑やかだ。
街角では、無数のかがり火が南国の蒸し暑い夜風に揺れ、椰子油の濃厚なにおいを漂わせていた。
GM(清水三毛) いま、君たちは央天青(オウテンセイ)のある繁華街にいる。どういうふうに知りあったんだろうね。きっと、都会を知らない天魂がおるの~、とかいってだまくらかしんだろうな(笑)。
ランコ じゃあ、アガニ訛りは、関西弁モドキで演技します。緋七とは、一緒に暮してるんだろうな。
「いい商売があるんだけど。護衛を頼もうかな?」
GM 今日は休日なので、ふたりはブラっと入ったそのへんのウツロヒ宿にいるということで。
ウツロヒ宿とは、PCが、民間の怪しげな……もとい、自由度の高い依頼を受けるための斡旋センター・兼・宿屋である。
通常、ウツロヒは、帝国軍の上官から民族紛争の調停任務として依頼を受けるが、それだけでは過酷な軍事作戦が多くなる。
依頼の幅を広げるため、民間の依頼を受ける窓口として、軍とは関係ないウツロヒ宿が設定されているのだ。(編者注)
GM 今は夜なので、ランコは夕食などとりつつ、緋七と、次のビジネスの打ち合わせをしているのかな。まあ、小さい和風の宿屋だね。食堂はお座敷で、囲炉裏がある。
今も客が10人ぐらいいる。
すると、何人かが、窓辺にいって「なんだあれは!」などと騒いでいる。〈天航船〉技能があれば、それで難易度14で判定を。
ランコ 「なんや、なんやあれー!(アホっぽく)」無理、無理~。
緋七 13。
GM 今、君たちがいるのは央天青のとある繁華街なのだが。その上空、夜空を引き裂くようにして、巨大な物体が横切っていくのが見える。墜落しつつあるようだ。
物体は、バリバリと大気を裂く音を響かせ、炎の尾をひいて、水平線の彼方に消えていった。街の人々や恐竜も、なにごとかと夜空を見上げている。しばらくして、地響きが聞こえてくる。
ランコ 地響きが聞こえてくるなら、おおまかな落下地点がわからないか?
GM なるほど。では、〈航法〉技能で難易度13かな。
ランコ このバカに分かるわけがないじゃないですか(笑)。ハイ失敗。
GM まあ、水平線の遥か向こうの遠くに落下したらしい、ってことぐらいしかわからない。
しばらくすると、オオヤネケンリュウ(ステゴサウルス)に乗った勢頭(セド)が何人かやってきて、「ほら、交通の邪魔だ、家に引っ込んでいなさい」と、交通整理をしている。
勢頭というのは、この場合は、衛視のようなものだと思ってください。
ランコ 「あれはなんすか? なんすか?」
GM/勢頭 「そんなことがわかるわけなかろう。明日には、軍の調査が始まるはずだ」
老アラガミ師/GM 「天魔がお怒りじゃー!」と、通行人の、年とったアラガミ師が拝みだしている。
天魔というのは、太古の昔に〈大浄闇〉(だいじょうあん)を引き起こして銀河文明を滅ぼしたという、悪魔のような宇宙生物の一属ね。
天魔は、他の惑星では、リグレッサーと呼ばれることもある。(編者注)
ランコ それって、星覇じゃないの?(笑)
緋七 「一体、あれはどこに落ちたのでしょうか」ガルナスのお屋敷の窓から外を見るような目つきで言う。
ランコ ああっ、泣けてくる。ナナちゃん、その頃の話はやめてー(笑)。
緋七 「ランコ様。以前から、わたしのことは、ナナではなく、ヒナとか、できれば親愛と敬愛をこめておヒナ様と呼んでいただきたいと申し上げているのですが」
ランコ でも、他人を気にしないカワアガニだし、知性1だし、ナナって呼ぶんだろうな(笑)。
【場面2:アカマツ百騎隊の駐屯地】
GM 翌日の朝です。君らはあまりなじみはないだろうけど、アカマツ百騎長から召集がかかったので、彼女の御殿(ウドゥン)にいる。
ランコは、緋七についてきたということで。
ランコ ランコはフリーなんですが、軍の駐屯地に入っていいんですか? 紅珊瑚にエサでも与えているかな。
GM 緋七は軍所属で、その戦友として仕事するんでしょ。問題ないよ。軍民の区別が曖昧な世界だし。アカマツもそういうことは気にしないし。
緋七 傭兵扱いってことなのかな?
GM ランコの巨大ワニも、厩舎にフツーに大型獣脚類なんぞがつながれている世界では、そんなに目立たないかも(笑)。
ランコ 「あ、なんやあんなところにポンコツのシンテツが置いてあるわ、なんやあれ(笑)」
GM みすぼらしい少女が機体を磨いている(笑)。
緋七 その隣には、妙に偉そうなアラガミ師の少女がヒメテイリュウに乗って(笑)。
プレイヤー陣がキャンペーンで登場させている、別のPCネタである。(編者注)
GM さらに、何も言わない、堅頭竜に乗った少女も、無言で頭をゴリゴリしている(笑)。なんか濃い人たちがいますが、君らはそのまま百騎長の御殿(ウドゥン)に上がります。ちゃんと靴を脱いでね。
アカマツ/GM 「今回は、軽く調査の依頼です。広域電波障害が生じていると、シンテツ部隊から連絡がありまして。個人的に、昨夜の落下物体と何らかの関係があると思うので、調べていただきたいのです。まあ、けっこう個人的な推測なんですが」
ランコ めっちゃ軽いわこの人。
緋七 昼行灯という噂だしね。
アカマツ百騎長は、帝国軍のミッションをPCに下命する、このキャンペーンにおけるレギュラーNPCである。若い女性アラガミ師だ。(編者注)
アカマツ/GM 「そちらのカワアガニの方は、緋七さんに雇われた傭兵の方ですか?」
ランコ 「カワアガニのランコちゃんでーす♪」
アカマツ/GM 「でーす♪ かよ、コラ?」と、一瞬恐ろしい形相になる。
緋七 「申し訳ありません百騎長様。この方、なにぶんにもこういうノリでして」
アカマツ/GM 「全く、カワアガニは、同じアラガミ師とは思えないくらい粗雑ですねえ」と、わざと聞こえるように言う。「雅な言葉遣いを知りませんね」
ランコ 「なんや、丁寧語つけたやろ!」
アカマツ/GM 「とはいえ、海に落下した可能性も高いし、カワアガニさんの水中行動能力が役に立つかもしれませんね。カワアガニといえば、喜如羅市(キジョラいち)です。まず喜如羅市に行って、聞き込み調査をしてください。報酬は一人100万ほどです。無線は使用不能ですので、渡しません。真相がわかったら、報告書を提出してください」
ランコ 「うちら頼りにされとるわ、ナナちゃん!」
緋七 もう訂正はしない。「わかりました。このお仕事で、困っている方を少しでも助けられるならば……」
アカマツ/GM 「先ほど、現地の〈志星連絡会〉に打診したところ、例の物体は、どうも軌道上から落下してきたものらしく、厳重なる警戒を要ス……とのことです」
ランコ 「なんかごっつヤバイ気するわー」
アカマツ/GM 「まあ、調査だけですから大丈夫でしょう。そういえば、ヒナさん。志星連絡会から、出頭するように連絡がありましたよ。
うちのシンテツ部隊にも〈第192工廠〉から連絡が入ったようですし……なにやら、背後で動きがあるようです。あなた方は、ややこしいことに首をつっこまないで、原因を確かめてくだされば、それで十分です」
第192工廠は、工場ではなく、機械生物シンテツの属する国家の名称(編者注)。
GM あっ、ごめん、開幕のキズナ判定を忘れていた。ジュラ紀後期/草原でお願い。
緋七は通常失敗ですんだが、ランコはレベル2失敗してしまう。キズナ判定失敗表を適用するため、さらにランコが2Dをふった結果は2であった。
GM 2だと、「PCがトモガミにどつかれる。ダメージはないが10分気絶」か。
御殿の裏手で、世話をしていたら、いきなりランコのワニが「モガーーーー!!」と暴れだした! ランコは吹き飛ばされて御殿の壁を突き破って天井にぶつかって、10分ほど気絶(一同笑)。
アカマツ/GM 「ああっ、壁が!? ナニをやっているんですか、ランコさん!?」
緋七 「じゃ、わたしは志星連絡会の支部に行ってきますので、その人が起きたらよろしく言っておいてください」
【場面3:志星連絡会のとある支部】
天魂は、独自の国家はもたないが、都市部の各所に、〈志星連絡会〉とよばれる組織を構成している。
天魂は、いつの日か星界へ帰還するという目的のため、国境を越えて、各国の政界や財界の要人に働きかける巨大なネットワークを有しているのだ。天魂のPCが、こうした連絡会の地方支部から、何らかの依頼を受けることはよくある。
もちろん、それが常に三龍帝国軍の利益に合致するとは限らない……。
GM この街にある連絡会の支部に、緋七が入っていく。普通の商店の裏手にある、暗い地下室だ。
培養液のタンクに、何人もの上級天魂の天精花が漬かっているのが見える。傍目には幼女にしか見えないが。一人の幹部天魂が、緋七に言う。
「よく来た。実は、例の物体は軌道上から落下してきたものらしい。星界に関係ある品となれば、我らが確保しなければ。どうやら、シンテツどもの国家〈第192工廠〉も既に動き出しているらしい。先を越されてはならんぞ!」
緋七 「あの金物くさい連中ですか(差別発言)。星界への手がかりを渡すわけにはいきませんからね」
上級天魂/GM 「今回の件で功績があれば、支部内での昇格も検討しよう」
緋七 「ハハーッ」(ひれ伏す)
ランコ なんか、ナナちゃんのキャラが違う(笑)。
GM などと、暗闇で話しているお花な幼女が2人(笑)。
緋七 「……となると、手足のように使えるガルナス・ダガンがいないのは少々、痛いですね」
上級天魂/GM 「そこは、才覚でなんとかするのだ」
緋七 「申し訳ありません。いまの相方が、頭の弱いカワアガニでして、あまり役には……トモガミの強力さは認めますが(笑)」
上級天魂/GM 「タッキオオワニか? あれは肉の盾だ(笑)」
GM さて、などと黒い会話をしている間に(笑)、そろそろランコも目を覚ましているだろう。合流して、喜如羅市に行くよね。
【場面4:喜如羅市】
アマミツヨの真昼の太陽に照らされ、央天湾に浮かぶ巨大な水上市場。それが喜如羅市である。
広さは100平方キロメートルにも及ぶ。元来はカワアガニの水上集落が無数に連結されたものだったのだが、いつしか、央天青、ひいては共榮圏の物流の中核をなす、巨大な交易所となった。
喜如羅市は、央天青にある無数の河川の物流と、海洋種属たちの物流の中継所・交易所・そして物資集積所としての機能をもち、ここで入手できないものはないとすら言われる。
治安が悪い街区もあるので、新米アラガミ師だけで立ち入ることはお薦めできない。
GM ちょっと小舟を借りて、沖合いに浮かんでいる喜如羅市まで行くんだろうね。知性、難易度6ぐらいで手配してね。
ランコ 余裕~。判定成功。
船頭/GM 「ああ、お譲ちゃん、そのでかいワニは舟の後ろにつかせてくれよ。とても乗せきれん」ワニは海中でも平気なので。後ろを大人しくついてくるかどうか、キズナ判定を。
ランコ ……ギリギリ成功。「なんでさっきは調子悪かったん?」
GM 2人は、喜如羅市に着いた。アガニ式の移動住居〈ケケル〉が密集した、貧民街のような水上市場だ。
ぎしぎしと揺れる材木の床の上を、アガニ商人や、他国の商人が賑やかに行きかっていて、活気がある。恐竜やワニのトモガミも、荷物を満載して右往左往している。
緋七 「人がたくさんいますねえ」
ランコ 「賑やかで、ええ感じやろ!」
緋七 「……ゴミゴミしてますね」
GM 「邪魔だ、どけどけー!」といって、ケヅメカモリュウ(イグアノドン)に荷車を引かせた商人が迫ってくる。回避判定をしてもらえるかな。動判定で、難易度12でお願い。
緋七 あっ、失敗しました。弾き飛ばされて、空を舞ってます。「あーれー」
ランコ あっ無理! 当てられた!
GM 紅珊瑚の尻尾の先を、荷車が轢いてしまった! ワニが暴れなかったかどうか、キズナ難易度を目標値としてキズナ判定を!
ランコ うわまた大失敗!
GM 「モガーーー!!」君のタッキオオワニが怒って暴れだすぞ! 周りの人たちが逃げ惑っている。しかも2レベル以上の失敗だから、2Dを振って、また失敗表を適用してね。
暴走したトモガミが、味方部隊をまきこむ結果になってしまった。回避判定に失敗した緋七は、落下してきたところを、また紅珊瑚の尾に弾き飛ばされる!
GM 跳ねられて空から落ちてきた緋七(+本体)は、暴れる紅珊瑚の尻尾に弾き飛ばされて、また吹っ飛ばされます。
ズドーン! 付近にあったアガニの商店に突っ込んで、10分間気絶だね(笑)。ダメージはないけど。
ランコ 「ナナちゃんしっかりー! 傷は浅いー!」
GM ランコさんのトモガミは、アガニ商人の店舗を4軒ばかり潰したところで、やっと鎮まりました。怒りに燃えたカワアガニ女性たちが、手に手に得物をもって、詰め寄ってきます。
緋七(いきなり商人のロールプレイ) 「どないしてくれるんや!」「シゴウしゃげたるわ!!」
ランコ 「逃げださんとヤバイ雰囲気やな!」紅珊瑚と一緒に逃げます!
GM 動判定、難易度15かな。←鬼
ランコ 6ゾロが出ないと失敗するんだけど。……大失敗。
GM ランコは直ちに追いつかれ、ボコボコにされるネ。
「なにさらすねん!」「このドチビがッ!」「喜如羅市に来るなんざ100年早いんじゃボケが!!」
蹴る、殴るの暴行を加えられます(笑)。ダメージはまあ、勘弁しておこう。
ランコ 「堪忍してー! 悪いのはケヅメカモリュウなんやーー!!」(悲鳴)
GM すると、やや年をとった女性カワアガニがやってきた。上半身にもちゃんと装飾品をまとっていて、色っぽく円熟したかんじだ。
「おやおや、何をしとるんだね?」この商店地区のオサらしい。
「こんなところに、コドモが何をしにきたん?」
緋七 あ、もう目覚めていいかな。「三龍帝国軍の任務で、昨夜の落下物について聞き込み調査をいたしたく思いまして」
老カワアガニ/GM 「ああ、その話なら帝国軍から聞いとるわ。こちらに来なさい」
緋七 「すみません、出会いがしらにケヅメカモリュウに跳ねられまして……こちらのランコさんのトモガミがお怒りになられて、大暴走の挙句……」
老カワアガニ/GM 「ここではよくあるこっちゃ。自分のトモガミさんは、ちゃんとトモガミ舫い場に、舫いでおかなきゃあかんで」
緋七 「ケヅメカモリュウはダメですねえ」
老カワアガニ/GM 「水に潜れないトモガミなど、役立たずや(笑)」
【場面5:老カワアガニの部屋】
GM 君たちは、長カワアガニの執務室に案内された。すると、何人かのカワアガニ商人が飛び込んできて、「大変だ! うちらの店舗が浸水してる! 何か大きな生き物が水中を動いているのを見たんじゃ!」
緋七 まさかまた紅珊瑚が?(笑)
ランコ 紅珊瑚はここにおるー!
老カワアガニ/GM 情報収集に来たという話は、既にしたことにしよう。「なるほど……。まあ、あんたらウツロヒ中の身やしな。では、今暴れとるとかいうトモガミはんを、止めてくれたら、あんた方の求めるお話をしたるワ」
ランコ 「おっしゃあ! きばるで! きばるでナナちゃん!」
緋七 「……頑張ってください」
GM フハッ(笑)。
緋七 「いや、だって、水の中に潜るなんてそんな。体が濡れてしまいます(笑)」
【場面6:喜如羅市の端っこ】
GM では、事件現場に行ったということで。
確かに、アガニのケケル商店が何軒か浸水して傾いていて、商人たちが、「わあ、うちの商品がー!」などと頭を抱えている。
そして、近くの海中を、なにか大きな生物が遊弋(ゆうよく)しているのが見える。
ランコ 「このランコ様が退治したるわー!」
観衆/GM 「なんや、さっきの新人やないか」「不安やな」(ヒソヒソ)
緋七 「ランコ様、これは好機ですよ。ここで成功すれば、一気に株が急上昇。あわよくば、海に沈んだ商品を回収して、売りさばいて稼ぐことも出来る。頑張りどころですよ」
ランコ 「びじねすちゃんすやー!」うまく乗せられている(笑)。とりあえず、龍魂で、目標がどういう生物なのか確かめてみるか。
二人とも龍魂の判定には失敗。敵の正体がわからない。
ランコは、トモガミ「紅珊瑚」とともに、水中戦闘を挑むことにした。
ランコ 「ワニの十八番やで!」海中に飛び込み、水中隠密技能を使います。
GM よし、この海域の透明度は5メートルだから、潜るとろくに見えない。
緋七 ソナー戦か!
三龍戦騎は海洋惑星TRPGなので、水中戦にまつわるルールもちゃんとある。(編者注)
GM そうだな。ランコの〈水中隠密〉と、こっちの〈水中索敵〉との対抗判定だな。(ランコの出目をみて)うん、ランコはとりあえず敵に気づかれなかった。
でも、このままじゃランコも相手を補足できないから、〈音波探信〉か〈水中聴音〉技能のいずれかで確認してね。
緋七 アクティブかパッシブかってことだよね。アクティブは自分から音を出しちゃうからねえ。敵を捕捉しやすいけど、敵にも気づかれてしまう。パッシブは、音を出さないから見つかりにくいけど、詳細をつかめない欠点がある。
ランコ 水中聴音のほうでいきます。技能ナシだから能力値で、……10.
GM こっちも判定するから待ってね。……(こちらは水中隠密に失敗してしまったか。じゃあ、ランコに見つかったな)……ランコは、水中聴音にぎりぎりで成功している。
付近の海中を、君のトモガミと同じぐらいの大きな生物が泳いでいることがわかった。ただ、細かい位置までは把握できない。
緋七 こっちの番か。でも、支援でもしたいんだけど、やることがないな。「ランコ様、頑張ってください。わたしはここで見守っています」(現行ルールでは、幾つかの技能と天華法により、水中に対して支援行動を行えるようになっている)
ランコ しょうがないな。アクティブソナー(音波探信技能)で、敵の位置をつかむ。……11。
GM 探知の難易度は11だから、成功。位置がわかった。
距離20メートル、今ので君に気づいたから、真っ直ぐ向かってくる。
君たちが出した音波が、相手に当って跳ね返ってきたので、君の脳内には、相手の質感、硬さ、大きさなどが、音響による映像、すなわち「音像」として精密に映し出される。
それは、全長15メートルにもなる、シンハダイオウワニ(フォボスクス)だ。
ランコ すいません、それってタッキオオワニの上位戦適可能種なんじゃ(汗)
戦闘開始である。
主導権判定の結果、ランコが主導権をとった。
このワニが誰かのトモガミの場合、重傷を与えてはまずいので、白兵戦を挑むことにした。
ランコ 「体」で振ります。12!
GM がっちり受け止められました。
ランコ めっちゃ強いやんけ!?
GM こちらの噛みつき攻撃だ。達成値20ね、防御判定をしてくれ。
ランコ 11.
GM 全然回避できてないね、もろにズドっと攻撃が入った、噛みつかれたね。火弾、徹甲ダメージ9だ。水上から見ている緋七には、血の混じった水柱が吹き上がるのが見えた(笑)。
ランコ ごほっ! 装甲の防御点数は……(ダイスを振って)5点軽減か、4点ダメージが通った。「ぐはあ、何やこれー!」
GM 緋七には、巨大なワニの尻尾が水面に躍り上がったのが見える。
「もう終わったな、あの新人」「可哀そうにナァ(笑)」などと観衆が言っている。
緋七 「ああっ、一体何が起こっているんでしょうか」
ランコの攻撃ターン。ネッセンヒラツメガニを撃とうとするが、「水中では撃てないヨ」とGMの冷淡な一言。ビーム兵器だからね。
〈戦術〉で知性判定を行ったランコは、陸上で戦った方が得策だと気づく。
ランコ そうか、市場に上がって、敵がカオをだしたところをモグラたたきのように攻撃すれば! 離脱の判定だね、動で……10。
GM 成功。市場の脇に、君は浮上した。逃げるランコを追いかけて、敵のワニも浮上してきた。
緋七は桟橋に立っているんだが、その端っこから水しぶきがあがって、巨大ワニがバキバキバキと桟橋を破壊して、緋七のほうに突進してくる!
ランコ それってトライスター版ゴジラ(笑)。
GM 「わあ、逃げろ!」「何をやってるんだあの新人!」商人たちがぱーっと逃げていく。
緋七 「なぜ皆さん、お逃げになられるのでしょう」
ランコ ナナちゃーん!!
緋七 この瞬間に、臭いを合成して何か出来ないか! (ルールを見て)「一回のニオイ合成に10分かかる」だって、ハハハ(乾いた笑い)。必死で逃げよう!
GM シンハダイオウワニは、桟橋を破壊しながらもの凄い勢いで突進する。逃げるなら、「動」で判定だね。14だ。
緋七 「動」は1だぜっ。……達成値11だ。
GM 緋七はワニに追いつかれ、その鼻先でポーンと空中に放り投げられた。
ランコ また飛んでる(笑)。
緋七 「あーれー。」
観衆/GM 「あっ、なんかちっちゃいのが舞い上がってるで!」「なんや!」
GM ぽちゃん、ぽちゃん、と本体と緋七は、遠くの海面に落ちました。天精花にダメージ6だけど、装甲で減らせるから。
緋七 5点、通りました。
GM まあ、ワニに噛み付かれていたら90ダメージなわけで。良かったね(笑)。
観衆/GM 「全く何をやっているんだあの新人は。龍魂や念話で説得すればいいのにな」あるいは、闘亀技能でなだめるテもあるが。
ランコは、龍魂の呼応により、荒れ狂うシンハダイオウワニに呼びかけた。と、ワニの動きが止まった。落ち着いたようである。
ランコ 「ナナちゃんに何さらすんや! このアホ!」
GM ワニを見ると、尾の先端に、花びらというか、ブレード状のものが突き刺さっている。
ランコ 「なんや自分、痛いから暴れとったんかいな。うちが抜いたるさかい、おとなしくしときや!」と、一生懸命念じながら、抜いてやる(笑)。
GM 巨大ワニはじっとしている。黒い百合の花びらのようなものが抜け落ちた。
ランコ 「変なもんやなー」龍魂で何か分かるかな、……7.
GM 何もわからない。
ランコ 「あっ! ナナちゃん回収せな!」拾いに行く!
GM 小さなものが二つ、海面にぷこっと浮いていますが(笑)。
緋七 「海水が、海水が~~」と言いながら、よちよち泳いでいる。
GM 浸透圧で皮膚がシワシワに(笑)。そして小魚が2匹ほど、緋七をつんつんしている(笑)。
緋七 「わたしはもう駄目です……ヒナは、ヒナはもうここまでです……(ガクッ)」
ランコ 慌てて引き揚げる!
老カワアガニ/GM 「おー、新人、がんばったようやな。まあこれでも食え」果物のようなものを二人にくれる。トモガミもゲキも、みんな5点回復していいよ。上級天魂が作ったものだろうな。
「ウツロヒ中のものを援助するのも我々の役目だからな。しかしおかしいな、シンハダイオウワニは、普段はあんなに暴れたりする動物ではないんだが……」
緋七 尾に刺さっていた黒い花弁というのは何でしょうね。
緋七は知性判定に失敗したので、何も分からなかった。
GM 見ている前で、その黒い花弁は、光の粒子となって消えていく。
緋七 「光の粒子となって消えていくですー!」
GM なにか違うキャラが混じっている……。
老カワアガニ/GM 「よしゃ、約束の話をしたるわ。例の物体の墜落現場だが、ここから船で3時間ほど行ったところに、沙希見という小さな無人島がある。そこに墜ちたんや。商売になりそうもないから、ほったらかしやがな。
その島にはヤバイ遺跡があるらしいッてんで、うちらは立ち入らんようにしてるんやけど、一人、そこでヤバイ物を扱っておったアガニがおってのう。しかもそいつ、一週間ぐらい前から行方知れずになっとるっちゅう話や」
ランコ 「ごっつヤバイ話や。めっちゃ怪しい雰囲気やで」
緋七 「現場に行ってみるしかないでしょう」
GM 一旦、百騎長の御殿に戻って報告してから行くか、すぐに行くか。
ランコ なんかヤバそうだから、一回報告したほうが……。
緋七 もう行く気になっている。星界の手がかりらしいし、場所もわかったし。理詰めで交渉するなら、知性技能だよね。
ランコ アガニに理詰めでくるか。……うわ! 1ゾロ!!
GM ランコは圧倒的に説得された(笑)。緋七はロールプレイしてくれ。
緋七 「任務で来たんだし、モノは目前にあるみたいだし。とりあえず行ってみましょうよ」
かくして、二人は沙希見島へ直行することになった。喜如羅市で船を手配し、一路、海上を行く。
つづく
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