「おにぎり猫のクリスマス」 サンタクロースはだあれ? その3
おかかとこんぶは、公園の広場に来てみました。
ベンチには色々な人が座っていました。
ふたりで楽しそうな人
たくさんの買い物袋を抱えて不機嫌そうな人
ひとりでうつむいている人。
お母さんが、ひとりで座っている人のところへ
近づいて行くのが見えました。
肩に大きな袋を下げていて
その中からプレゼントを出して渡そうとしています。
きっとおにぎりが入っているのでしょう。
お母さんはその人としばらくお話をしていました。
その人は話をしているうちに
少し元気が出て来たようでした。
お母さんは隣のベンチに座っている
不機嫌そうな人のところへもおにぎりを持っていきました。
その人は怒ったような顔をして
おにぎりを受け取りませんでした。
お母さんはいつも通りに微笑んで
その人に話しかけていました。
いつもと変わらない優しい笑顔でした。
怒っていた人は、お母さんからおにぎりを受け取りました。
もう怒っていません。
少し恥ずかしそうな顔で笑っていました。
お母さんは、隣のベンチの楽しそうな人たちのところへ
おにぎりを持ってゆきました。
おかかとこんぶには
お母さんが今やっている事がサンタクロースの仕事だと
わかりました。
おにぎりでお腹と心を満たしてもらえたら
お話をして「あなたはひとりではない」と伝えて
少しでも元気になってもらえたら
お母さんも元気になれるのです。
ふたりはお母さんの仕事を手伝って
おにぎりを配りました。
公園で出会う全ての人に笑顔で話しかけて渡しました。
おにぎりを貰って話をした人は
みんな少し元気になりました。
あなたと
あなたのそばにいる人と
あなたのそばにいない人と
すべての人に、よき夜を。
三日間お付き合い頂きありがとうございました。
おかかとこんぶが見つけたサンタクロースのお話でした。
「おにぎり猫のクリスマス」その1
「おにぎり猫のクリスマス」その2
元になっている漫画「おにぎり猫のものがたり」
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