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ia19200102
浸透力
その昔
体調がすぐれなくてお薬をもらっていた頃
いつもの無関心な先生がお休みで
代診の先生の診察だった
「こんにちは どうされましたか?」
いつものお薬を頂きたいです
「ご飯は食べてますか?」
はい
「眠れていますか?」
お薬があれば
「今一番辛いことは何ですか?」
…いえとくに
色々と質問をしてくれるのだけれど
いえとくに大丈夫ですお薬をいただければ とかわしていたら
「助けたいと思っていますよ
なにか力になれることはありますか?」
お薬の処方だけが続いているのを心配して
いつもはここで診察をしてるのでと名刺をくれた
その名刺は帰り際に捨てたのだけれど
その一回しかお会いすることはなかったのだけれど
関根先生にありがとうと言いたい
向き合ってくれた
手を差しのべてくれた
憐れむような困った目ではなくて
慈しむような優しい目で
しばらくじっとみつめてくれた
助けたいと思っていますよ
なにか力になれることはありますか?
言葉の浸透力 半端なかった
優しい言葉と優しい目
それだけでひとを救えることもあるって知った
持ち堪えていた強がりが
解けてしまいそうで怖くて 名刺をすててしまった
でもその言葉が強がりの殻を突き抜けて
心の真ん中まで染みた ぽろりぽろりと涙がでてきた
その優しい言葉の浸透力に憧れる
きっと 言葉って 浸透するもの