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「笑ゥせぇるすまん」オリジナルストーリー/親ガチャ失敗 後編 みけ子作

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場面変わって、いつもの職場に通勤する杉世、職場のロッカールーム。金丸一家の家に越して来てから、ファッションも垢抜けメイクも一変。これまでの疲れてイライラした調子も消えてにこやかな杉世に戸惑っている様子の職場の同僚。

小さく、鼻歌を歌ってハミングする杉世。ユニフォームから私服に着替えてロッカールームを出て行く。

杉世「じゃあ、お先に。お疲れ様〜♬」

同僚1、2「お疲れ様でした、、。」

杉世の後ろ姿を見送る同僚たち。

同僚1「和釜さん、最近どうしちゃったのかしら?ファッションもメイクも変わったし、妙にウキウキしているし……。恋人でも出来たのかな?」

同僚2「ホント、どうしちゃったのかな?びっくりするくらい綺麗になったし。今度和釜さん誘って飲みにでも行ってみましょうよ。『どうしたの?最近綺麗になったじゃない?』って聞いてみたいわ。」

同僚1「うんうん、そうしましょ。もし良い彼氏が出来たんだったら、彼氏のお友達でも紹介してもらいましょうよ。」

同僚2「そうね、それがいいわ♬」

同僚たちの言葉を耳にして、まんざらでもない様子の杉世。

再び場面変わって、帰宅する金丸家の門の前で暗闇からのっそりと現れる喪黒。杉世はハッとする。

喪黒「どうですかな、杉世さん。ここの家族との生活は慣れましたか?」

杉世「ああ喪黒さん、こんばんは。お陰さまで毎日が楽しくて夢のようです。少し前の貧乏アパートでの母との暮らしが嘘のようです!」

喪黒「それは良かったです。でもね杉世さん、この生活は期間限定ですよ。今の杉世さんがこうして生きていることの原点を忘れてはいけませんよ。」

杉世「はい、分かってます。この生活は1ヶ月だけで、その後の事は自分でちゃんと考えます。」

喪黒「そうですね、いくら幸せでも裕福でもこれに慣れきってしまっては、私が杉世さんにこの生活を提供した意味がありません。しっかり今後のことを考えておいて下さいね。」

杉世「あ、はい、、。」

喪黒の言葉にちょっと不満げな杉世。背を向けて門内に入って行く。

玄関ドアまで歩きながら、独り言を言う杉世。

杉世「喪黒さんはああ言うけど、私、この生活を手放したくない……。だって毎日、明日の心配をせずに暮らして行ける。将来の不安がない豊かな生活。こんな生活を手に入れたいって思うのは当然でしょ?お父様もお母様も華代お姉さまも私にこんなに良くしてくれる。どうして期間限定で、この生活をお終いにしないといけないの?ずっとこんな生活をしたいって望んじゃいけないの?こんな風に考える私はワガママなの?」

玄関を開けて家に入る杉世。ただいまと言う杉世を出迎え、荷物を受け取るお手伝いのキヨ。そんな杉世の後ろ姿を見守る喪黒。

その後も週末ごとに休日を満喫する金丸一家と杉世。写真のショットのように、週末ごとの楽しいレジャーの様子が切替で映し出される。海辺へのドライブ。オープンカーで風に髪をなびかせる杉世はいっぱしのお金持ちのお嬢様のよう。そしてまた山の麓の別荘の庭で焚き火を楽しむショット。週末海外旅行で韓国のグルメを満喫する旅。……等々。毎週末の家族でのレジャーや団らんで、杉世は自分の生まれ育った家庭のことなどすっかり忘れてしまったような様子だったが……。

限定期間の1ヶ月が明日に迫ったその日。Bar魔の巣のカウンターに座る杉世と喪黒。

喪黒「どうです?杉世さん。明日でこの家族との一緒の暮らしはお終いです。あとは金丸一家にきちんとご挨拶を済ませて、明日はここから出て行くのですよ。あ、あと言い忘れましたが、ここで買ってもらった洋服やその他の品物は一切持ち出してはいけませんよ。全部お返しして、家に置いて行って下さいね。」

杉世「えっ、買ってもらった品物も持ち出したらいけないんですか?私が家族として買ってもらったんですよ。それくらい良いじゃないですか❗️」

喪黒「いいえ、ダメです。買ってもらった品物もここにいる時だけのものです。期間限定ってお約束したでしょ?お忘れですか?」

杉世「でも、お父様もお母様もお姉さまだって、私のことを本当の家族って言ってくれていたわ。だからもう少しいいでしょ?喪黒さんだって私の幸せを奪う権利なんてないわ❗️」

喪黒「杉世さん、勘違いされては困りますねぇ。幸せを奪う権利ですか?それなら杉世さんの実のお母さんとのことはどうなるんですか?杉世さんを一生懸命育ててくれたんですよ。今ここにご自分があるのはお母さんのお陰なんです。ご自分のルーツを忘れてはいけません。そのことを全て忘れて捨ててしまいたいんですか?」

杉世「もうお母さんのことは言わないでっ。私にとってお母さんは黒歴史よっ❗️もうお母さんのことなんか忘れてしまいたいわっ‼️」

喪黒「25年間育ててもらった実の母親に向かってその言い種ですか?杉世さん、それはあんまりじゃないですか?お母さんも杉世さんにこれまで不自由な生活をさせてしまったことを、決して良いことだとは思っていないんですよ。散々苦労して一人娘を育てたのに、そのお母さんとは訣別されても良いんですか?」

杉世「それでもいいわっ、私はこれからも金丸家の一員としてずっと暮らしたいのっ。ずっとここにいたいのよっ❗️」

喪黒「そうですか、それが杉世さんの望みなんですね。分かりました。それでは杉世さんの望み通りにして差し上げましょう、良いですか?後悔しないでくださいね。」

喪黒

「ド〜〜〜〜〜〜ン‼️」


杉世

「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ❗️」


………………………………………………………… 、、、、。

場面変わって、金丸家のリビング。ブランデー片手に寛ぐ父・茂。杉世がその茂の膝下にひざまづいて懇願している。

杉世「お父様、お願いっ!私やっぱりこの家から出たくないの❗️お父様とお母様と華代お姉さまとここで家族として一緒に暮らしたい❗️お願い、私をここに置いて下さいっ m(_ _)m」

父・茂「杉世さん、さあ頭を上げなさい。杉世さんの気持ちは分かった。杉世さんのことをここから追い出すような真似はしないよ。杉世さんもその気持ちがあればずっとこの家で暮らしてもいいんだよ。」

杉世「あ、ありがとうございます😭お父様……💖」

そんな杉世に下卑た表情を見せる茂。

父・茂「1ヶ月杉世と一緒に暮らしてみたが、立ち居振る舞いも上品さが増したし綺麗になった。もうどこに連れて歩いても恥ずかしくない娘だ。これから私の愛人としてずっとここに暮らしなさい。これからもずっとワガママ贅沢三昧させてあげるよ。ふふふふふ……。」

杉世「えっ、そ、それはいやですっ、お父様、私はそんなつもりじゃ……❗️」

父・茂「恥ずかしがることはないんだよ、もう杉世も立派な大人だろう?大人の事情や気持ちも多少は汲み取ってもらわないとねぇ。これからは、私は杉世の本当の『パパ』だよ」

杉世を無理やり抱き寄せて、キスを迫る茂。嫌がる杉世。そしてその様子をリビングの外から覗き見し、ニヤリと笑う姉・華代とキヨ。

杉世「いや〜〜〜〜っ‼️」

金丸家から去って行く喪黒。

喪黒「親ガチャ失敗だなんて、産み育ててもらったことも忘れて子どもは親に向かって好き勝手を言うもんですなぁ。豊かな生活をしたいってお気持ちはわかるんですが、自分の親に後ろ足で砂をかけるような真似をして、それでその後の人生、上手くいくとでも思っているんでしょうか。ま、後は杉世さんが金丸さんをパパとして受け入れられるかどうかですなぁ。『仲良き事は美しき哉』ですよ。」

お〜ほっほっほっほっほ〜。




↓大人のストーリーでブラックなので、通常のようにはリンクを張れないようですが、どの話もとっても面白いので是非こちらもご覧下さいね。

https://www.youtube.com/watch?v=Wef9UD6Whio&t=150s





↓箸置きとしても使える、小さな染付皿です。凝った絵付けが魅力です。


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