イヤな出来事を胸に刻み込んで決して忘れない(しつこい)自分なので、30代のある日の腹の立つ出来事をここに書く
みけ子はかなりしつこく、昔のイヤな出来事を忘れない人だ。普段、日常に必要な事はあっという間に忘却の彼方なのに、これはどうしたことか。これは20代後半〜30代前半頃に勤務していた職場で起こった出来事だ。
その時のみけ子は、ホテルのフロントでパート勤務をしていた。今でこそフロントもパートタイマーは珍しくない。むしろ普通だろうが、当時の感覚で話をするとそのホテルの顔とも言うべきポジションでもパートって、それで良いのか?思う。
基本的な仕事のやり方等は習ったものの、フロントでの立ち居振る舞いは先輩社員を見て覚えろってことだったんだろう。きちんと研修を受けた覚えはない。そんなろくすっぽ社員教育も受けないままにフロントに立たせるのは納得が行かないけど、当時は特に深く考えずにただ淡々と常識の範囲で仕事をこなし、ミスの無いように、気をつけながらフロント業務をこなしていた。お客さまには極力丁寧に愛想よく、常に笑顔。みけ子が笑顔など見せたってどうって事ないが、仏頂面よりは5億倍くらい良いかと思う。
ホテルは長期出張で長く滞在される人や、担当の地域だからと繰り返し宿泊する常連さんも当然いる。その中の一人に、関西からいつもそのホテルに宿泊する、超有名企業社員がいた。男性のゲストで歳の頃40台後半〜50代って感じの人だった。仮に「山下氏」としよう。その山下氏、宿泊回数は多いし当然フロントの人とは顔見知りの間柄だった。みけ子も当然顔は見知ってはいた。だけど挨拶する程度で特に会話を交わすほどの間柄ではなかった。
そのフロントの仕事は、朝7時から勤務の早番の人、中心になってフロントの業務を仕切る9時からの中番(なかばん)の人、午後1時からの遅番の人と夕方からの勤務の夜勤の人がそれぞれいた。女性のパートはほとんどが早番か遅番の担当になる。その日、みけ子は7時からの早番だった。早番の朝一番の仕事は、フロントの奥にあるバックヤードから、スタッフが出入りするドアのカギを取って来てまずドアを開錠すること。そのバックヤードにカギを取りに行くのにフロントを突っ切って奥まで入って行く途中、フロントにその「山下氏」がいるのが視界の端に映った。当然みけ子も笑顔で「おはようございます♬」と山下氏に顔を向けて軽くお辞儀をしながら挨拶し、前を通り過ぎてカギのあるバックヤード方向に向かって歩いて行ったのだが、その時に山下氏がみけ子に向かっていきなり怒鳴った‼️
「なんだぁ、
ちゃんとオレに向かって
挨拶せんのかぁ?」
はて?挨拶はしましたよ。自分はいきなり怒鳴られるような無礼を何時したよ?そうは思ったが、一応相手はお客様だしと改めてその山下氏に立ち止まって向き直り、にっこり笑って丁寧にお辞儀をして挨拶した。「大変失礼いたしました。おはようございます」。
全く、おいおいおい❗️だよね。ただの朝の挨拶だよ。立ち止まって、自分を向いて挨拶しなかったからって、出勤して来たばかりのフロントの女性パート社員をいきなり怒鳴りつけたりするか???お前、何サマだよ💢
みけ子が立ち止まって丁寧なお辞儀で挨拶したら、それで気が済んだのか「そうだよ、そうやって挨拶すればいいんだよ」と朝食後の爪楊枝を口にくわえた状態で言った。
そうか、お前はそんなにエライのか。大阪に本社がある家電の世界的企業の社員だから、定宿にしているホテルフロントの(パート)社員女性には、そんな風に自分の虫の居所で怒鳴ったりしても許されるのか。お前の顔とその態度、そして虫の居所でとんでも無い態度を取る、不躾で尊大かつ非常識な人間のこと、みけ子は絶対に忘れないからな💢💢💢
今もそのPという世界的家電メーカーの製品は、家電を選ぶ時は除いて考える。購入商品候補のリストには入れない。それだけイヤな思いをした。
その最低な客は、年齢的には現在は既に80代〜90代になっているだろう。退職し大会社という自分が背負っていた看板を外した後、それまでの尊大な態度を改めたとはとても思えない。何者でもなくなった、ただのジジイである自分が周囲からどんな扱いを受けるか。お金でもたんまり持っているなら多少は周囲もチヤホヤするかもしれない。だけどそんな周囲に優しさや思いやりを持って接する事が出来ない人など、優しくされたり尊重されるはずもない。歳を取って周囲から疎まれそっぽを向かれる孤独感を、今はイヤと言うほど味わっているかも知れないね。
因果応報だよ〜。自分の態度を振り返ってみないとね。私も同じく、だが。
↓どっしりとした陶器製の家の形のオブジェ。その存在感で置いてある空間を引き締めます。川崎毅氏の手による作品です。