King Crimson 「USA」/音が圧倒的迫力を持って聴く者に迫る、ライヴアルバム
幻想的なメロトロンのメロディから続き、いきなり始まるこの圧倒される緊張感に満ちた演奏はなんだ?
鋭いキレのある音が塊のような迫力で迫って来る感じ。聞くものを圧倒する演奏。ライヴに参加しているミュージシャンたちの個性がぶつかり合い、まるで火花を散らしているような感じさえする。
キング・クリムゾンはバンドのデビュー前からライブが物凄いハイレベルだと言うので、当時のロックファンから注目を集めていたらしい。
Crimsonのこのライヴアルバム。メンバーは「Red」の頃のメンバーを中心にサポートのミュージシャンが参加している。収録されたのは「Red」発売の少し前だと言う。このライヴアルバムの音の緻密さ鋭さと来たら……。言葉での表現程度では全く足りない。
ギターを担当する、Crimsonのリーダーでもあるロバート・フリップ。(本人はリーダーじゃないと言っているらしいが)ライヴでは「椅子に座ったままギターを演奏するロックギタリスト」として有名だ。ロックギター演奏の世界では、大仰なアクションで演奏するスタイルが、ほとんどのギタリストに共通している。
ギターをステージ上で破壊したり、火🔥を付けて燃やしてみたり💦エアギターなんてパフォーマンスも人気を博すくらいだからね。そんなギタリストが多数を占める中で、フリップの独特の演奏スタイルはオーディエンスを驚愕させた。まるで哲学者のような風貌の彼は、イスに腰掛けたままでギターを演奏するのだ。
この「USA」のライヴ演奏に参加したメンバーは、
ギター・メロトロン/ロバート・フリップ
ベース・ヴォーカル/ジョン・ウエットン
ドラムス・パーカッション/ビル・ブルーフォード
ヴァイオリン・メロトロン/デヴィッド・クロス
以上のクレジットがある。
Crimsonはアルバム「Red」発売後に2度目の解散をしてしまう。だからこの「USA」が発売されたのは、解散をした後なのだ。結成当初から度重なるメンバーチェンジを繰り返し、メンバー同士が険悪な仲だとか、フリップが独裁的にバンドを仕切っていたとかの噂も耳にした。しかしそんなバンドの変遷を経ても、どのアルバムも音楽的な完成度の高さは聞くものを唸らせる。ただひたすら、研ぎ澄まされた質の高い音楽だけを追及していた。そういうことだったのだろう。
ギターもベースも重厚なブリテッシュロックらしい暗い不穏な感じの音で、曲の始まりから聴くものをグイグイと引きつける。ブルーフォードの自在なリズムに、クロスの病的なまでに繊細なヴァイオリンのメロディが重なる。
このライヴに参加しているミュージシャンたちの、ステージ上での演奏のぶつかり合いは、「part II」と「スキッソイドマン」で特に顕著で、血潮がほとばしるような激しさなのだ。Crimsonって単語は元々「血の吹き出るような赤い色」って意味じゃなかったっけ?
ちょっと動画検索してみたんだけど、この「USA」の最初に発売されたアルバムの曲順でYouTubeで聞けるのって見つけられなかった。(探し方が悪いのか。あ、これだな?↓)
アルバム全部のリンクを貼ったつもりが、曲毎に分けられているんだね。
メンバーそれぞれの個性がヤケドするような熱さで繰り広げられる、激しいパフォーマンスの曲も本当に素晴らしいが、ウエットンのヴォーカルの「Exiles」もまた魅力のある曲でじっくりと聞かせる。抒情的な曲調にメロトロンが重なり、これもまたクリムゾンらしい曲だ。
現在は50周年記念バージョンや、未発表だった録音の曲も加えた「USA」ライヴがリリースされているみたいだが、自分がアルバムを購入したのは当然当時のアナログLPレコードでリリースされたライヴ版だ。
アルバムの曲順は以下の通り。とにかくライヴ演奏の鬼気迫るような緊張感って言ったらないのよ。1975年に最初に発売された「USA」の曲のクレジットは以下に。
1、Larks` Tongues in Aspic Part II
2、Lament
3、Exiles
4、Asbury Park
5、Easy Money
6、21st Century Schizoid Man
新しく発売された50周年記念エディションでは、「Part II」の前の1曲目に、別な曲名がクレジットされている。(Walk on:No pussyfooting ) 最初のアルバムにはそんな曲名は書いてなかったと思う。自分は「 Part II」の曲の一部かと思っていた。
↓「USA」とはほんの少し前頃のライヴ映像を見つけた。1973年のライヴ。この頃のライヴって初めて見たよ。いやもう、ファンにとっては「うわ〜〜〜〜っ」て感じの大興奮のステージ‼️
20代の初めに実家を出た時に、それまで買い集めたレコード類は全て家に置いたままにしてしまった。家を出る前に聞いたLPのバージョンだから、もう40年近く前のことになる。当然記憶も曖昧なんだけど、このアルバムの最後に収録されている「スキッソイドマン」の演奏開始直前。会場からのオーディエンスが野次る声がかすかに入っている。それが聞いた当時には日本語で「早くしろ〜!」と叫んでいるように聞こえたんだけど、聞き違いかなぁ?
↓厚みのある、三角柱のガラス花瓶。揺るぎない造形はそこに置いただけで、存在感があります。
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