beautiful boy
ある親子の実話だという。
愛の深さに胸を打たれながら、
同じくらい人の孤独の深さを浮き彫りにされて、私は少し安堵した映画だった。
悲しいことに、不思議なことに、深い愛情は必ずしも理解には繋がらない。
愛情が深ければ深いほど浮き彫りになってしまう孤独がこの世には存在する。
多くの親子に通じるのかもしれないが、互いに他人だと気付く過程の中で起こる現象だと思う。
スケッチの様な所感だけれど、
父はひたすらに息子を愛している。離婚したこと、再婚したことに責任を感じているのかもしれないが、とにかくベストを尽くそうとしているのが伝わる。愛情深さ故に目の届く場所に置き、"正しい"道に導こうとする。
息子は賢く、繊細だ。幼い頃から良い息子であった。口に出さずに耐えてきたことが沢山あるのかも知れない。多感な時期に自分自身の想いを押し込めて、父の良い息子として生きようと懸命であった。
何かが噛み合えば問題なく親もとを離れられたのかもしれない。息子に父親以上に彼の世界を構成しているものがあったら何も問題はなかったのかもしれない。
ifが重なった世界を想定しても仕方がないのだけれど、そう思わねばいられないほど、良い息子と良い父親が噛み合わず、薬物に溺れていく繊細な人間の様子が丁寧であった。
私はこの映画に出会えて良かったと思う。自分自身の内包している孤独の答えが出かけた気がする。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?