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推し活で「尊い」「エモい」を使うのはもったいない

「尊い」「エモい」という言葉が少し前から流行りはじめました。日常で使いやすい言葉だからか、瞬く間に世間に浸透したように感じます。

似たような事例は過去にもありました。例えば一昔前でいうと「ヤバい」「エグい」などです。

このように定義が曖昧で使用範囲の広い言葉は便利でついつい使ってしまいますが、こと推し活においてはあまり使用をすべきではありません。今回はその理由について述べます。

本記事を読むことで、推し活で曖昧・簡素な言葉を使ってしまうことのもったいなさを感じていただければ幸いです。

①自身の能力向上・ファン増加の機会を逃す

推し活の目的の一つは、推しへの貢献です。貢献の手段はグッズ購入やイベント参加はだけでなく、SNS投稿、身近な人への勧めなどの布教活動も含まれます。

以前投稿した記事の中で、「推しの社会的価値=ファン一人あたりの社会活動への還元量 × ファンの人数」という話をしました。

グッズ購入やイベント参加(社会活動で得たお金を推しに還元すること)ももちろん重要ですが、一人で還元できる量にはどうしても限度があります。推しからしても、「生活を投げ打ってまで売り上げに貢献して欲しい」とまでは思っていないでしょう。

となると、個人の投資額を増やすことよりもファンの人数が増やす方がインパクトが大きいということが理解できるかと思います。

ではどうすればファンを増やせるか。有効な手段は、人に勧めることです。

インターネットの普及で常に膨大な情報に身を晒されている昨今、広告を打っても大抵の場合見向きもされずに終わってしまいます。

その反面、身近な人からの勧めは消費行動へ非常に大きく影響を及ぼします。信頼のおける人間から勧められたモノであれば、基本的には良いモノであると信じて疑いません。読んでくださっているあなたも、経験したことがあるのではないでしょうか。(参考文献:「ファンベース」 / 佐藤尚之)

しかし、ただ人に勧めただけではもう一押し足りません。良いモノだと信じたとしても、必ず購入に繋がるわけではないからです。

最後の一押しとしてファンができること、それが言葉の洗練です。具体的にいうと、

  • どこに魅力を感じているのか

  • なぜ好きなのか

  • 相手にとってどういうメリットがあるか

といったことを的確かつ分かりやすく伝える必要があります。

もちろん推しの魅力は人それぞれ解釈が異なりますが、価値観を押し付けないようにさえすれば、あなたなりの解釈を伝えることは決してマイナスにはなりません。

言葉を洗練するためには、洞察力言語化力を高めることが必要不可欠です。あなたが推しから感じている魅力の解像度を上げ、それを表現するための力を磨けば、興味を持ってくれる確立は高まります。

以上のことをふまえて本題に戻りましょう。「尊い」「エモい」といった曖昧な言葉を使ってはいけない理由は、洞察力・言語化力の向上、およびファンを増やす機会を放棄してしまうからです。

これらの能力は一朝一夕で身に付けることはできません。試行錯誤を積み重ねることが不可欠です。自身の能力を高め、上手くいけばファンも増やせる。そんなチャンスを逃してしまうのは、まさしくもったいないのです。

②コンテンツの満足度向上を妨げる

推しへの貢献も大事ですが、自分が楽しむことも忘れてはいけません。そして、コンテンツの満足度を上げるためには、自分が思うがままに楽しむだけでなく、他人の楽しみ方を知るのも重要です。

世界的に有名な美術家であるマルセル・デュシャンは、次のような言葉を残しています。

The artist makes something, then one day, he is recognized by the intervention of the public, of the spectator; so later he goes on to posterity. You can’t stop that, because, in brief, it’s a product of two poles—there’s the pole of the one who makes the work, and the pole of the one who looks at it. I give the latter as much importance as the one who makes it.
(アーティストが何かを作り、ある日大衆や観客の介入によって認知され、後世に伝わっていく。それを止めることはできない。要するに、作品を作る人の極と、それを見る人の極、2つの極の産物だからだ。私は後者を作る側と同じくらい重要視している。)

作品価値は、作者の技術や込めたメッセージだけでなく、見た人の解釈にも左右されます。どれだけ作者が技術を尽くして、想いを込めて作ったものでも、見た人が何も感じなければ客観的な価値はありません。

作品に対する解釈は人それぞれです。その人の経験、性格、能力、趣味嗜好などによって観点が異なります。例えば学生時代にチームスポーツをしていたのであればグループ全体を俯瞰して推しの役割を注視しているかもしれませんし、文筆家であれば推しの言葉のチョイスを注視しているかもしれません。どれが正解ということはなく、楽しみ方のバリエーションは多ければ多いほど良い。

となると、より作品を楽しむために観点を増やしたい。しかし、経験、性格、能力、趣味嗜好を広げたり変化させるのは時間が掛かり、自分一人ではどうしても限度がある。であれば、自分にない観点は他人に補ってもらえばいいのです。

このような意識を持っていれば、「まずは自分から詳細な感想を発信してみよう」「相手が感じている価値や魅力を質問で深掘りしてみよう」といったように、自分から取れるアクションが見えてきます。

自分の観点を知り、他人の観点を知ることは、コンテンツの満足度を高めることに繋がる。自分と向き合い、他人の観点を引き出す機会を逃してしまうことは、もったいないことです。

良い発信の例

ここまでの内容に納得していただけたとしても、実際にどのような発信をすればいいかイメージが付きづらいかと思います。

そこで例として、僕がお手本としている動画をご紹介します。SHOWROOM社長の前田裕二さんがBUMP OF CHICKENの『天体観測』という楽曲の歌詞について、前田さんなりの解釈をお話されている動画です。楽曲を知らない方は、一度歌詞を確認してから観てみてください。

如何でしょうか?「そんな解釈があったのか!!」という驚きと共に、この楽曲を聴いてみたくなったり、更にこの曲を好きになったりしたのではないかと思います。

もちろん、作詞者はこのような意図で書いたわけではないかもしれませんが、だとしても、この解釈を知ったことで楽曲を聴いた時の感動や喜びが増したのであれば、その事実に変わりはありません。

動画内で、前田さんもこのように述べています。

この歌は「自分にとってこんな意味を持つんだ」って定義できたら、その歌が自分にとってもっと大事なものになる。みんながこの歌を時間哲学だというふうに捉えなくてもいいんです。
 (中略)
僕がやたらと”過去の自分”と”現在の自分”と”未来の自分”のどこをどうやって繋げるかによって”イマ”の意味が変わるんだという歌に感じるのは、僕の人生の経験がそうさせるだけであって、これを見てくれている人にとってのその人生経験の何かとくっついて、この曲がみんなにとってさらに大事なものになったら嬉しいなと思います。

是非色んな観点を知って、あなたなりに推しの魅力の表現・発信に挑んでみてください。

まとめ

  • 推し活での発信を曖昧・簡素な言葉で片付けるのはもったいない

    • 【理由①】自身の能力向上・ファン増加の機会を逃す

      • ファンを増やすには発信の質の向上必要

      • 発信の質は洞察力と言語化力で決まる

      • 発信を曖昧・簡素な言葉で片付けてしまうと、洞察力・言語化力向上、ファン増加の機会を逃してしまう

    • 【理由②】コンテンツの満足度向上を妨げる

      • コンテンツの満足度向上には、自分や他者の観点を知る必要がある

      • 推し活に関する発信で曖昧・簡素な言葉を使ってしまうと、自分や他者の観点を知る機会を失う

さいごに

『推しへの情熱を稼ぐ力に変えるマガジン』では、

  1. 推し活を自己研鑽に活用し

  2. スキルを高めて収入を上げ

  3. 上がった収入を推し活に還元する

という好循環を作るべく考察・調査・試行錯誤した内容を整理し、皆様が経済的、精神的に豊かな推し活ライフを送るためのサポートとなる情報発信を行っています。

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それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。


イラスト制作:池田泰葉 様
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