猫田による猫田のための、つり革。
つり革の安定のなさには常々、
困惑させられるところがある。
制作者の意図としての持ち手を持っても、
我が身をがっしり支えてくれるわけでもなく、
急発進急停止の時にだけは、
ぎりぎり耐えさせてくれる。
つまるところつり革というのは、
いわば命綱みたいなものだろうか。
命綱はなんだか心もとないと、
相場が決まっている。
命綱なんかつけたことないから、
知らないけれど。
命綱と思うから、
心もとない頼りない、
そういう気がしてくるものだ。
いっそ手綱ぐらいに思うのがいいんじゃないか。
自分より60まわりほどには大きな、
巨体を操る手綱を握っているのだと。
…しかし車両は私の意思では動かない。
先頭車両の運転手の意思でしか動かない。
つり革は手綱にはなれず、
弱々しい命綱にたちまち戻ってしまう。
つり革は○。
持ち手の話です。
△だと握りやすいけれど△しか握れない。
帯の可動域が広すぎて、
全然安定しない。
○は握りづらいけれど、
手を通しやすい。
○に手を通して、
帯の真ん中あたりを掴んで、
つり革のぶれ幅を小さくする。
巨体を操るには頼りないが、
巨大な機械に振り落とされまいとする意味で、
すこしだけ手綱のように思えなくもないなあ。
なんて。