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猫田による猫田のための、真っ赤なスカート。
真っ赤なスカートが、
風に揺れる光景に目を奪われて、
そして離せないでいる。
赤いスカート。
明度100の赤色。
ポストよりもあざやかな赤。
きれいに染められた赤。
それは赤一色でなければ意味がない。
柄がひとつもない方が好ましい。
余計な情報がない、
ただ洗練された赤色。
風になびくスカートっていうのは、
まず丈が長いことが必要条件。
長いスカートは風を受けてはためく。
レースカーテンみたいな。
はためくのはたくさんの布でできているから。
タイトではスカートははためかない。
風を呼び込んで、追い出して、
ふわり漂うたくさんの布布。
布布はうすい生地でできている。
うすくて、やわらかくて、
日の光を吸収してそして反射する。
そういう赤いスカートが
たなびく光景があるたびに、
私の頭は勝手にそっちを向くし、
なんだか視線を外せない。
その赤いスカートはだいたい、
ポニーテールの女性のもとに、
白いシャツと同居している。
これは純然たる固定観念。
固定観念ではなくて、
性癖とかフェチとかそういうものだ。
つまり空想の上の彼女。
彼女は透き通る白い肌で、
濃い茶色の髪の毛をたなびかせる。
きっと高いヒールのサンダルを履く。
赤いスカートは夏の証。
私は揺らめくスカートに目を奪われる。
ろくに彼女の顔も見ずに。
気づけば彼女はすれ違い行き去って、
もう顔を合わせることはない。
それだから彼女には顔がない。
具体的な顔を持ち合わせていない。
どう頑張ってもその顔が想像できない。
うしろ姿しか見えない。
赤いスカートを身にまとった、
かわいい彼女。
猫田による猫田のための、真っ赤なスカート。