【お知らせ】『幻想と怪奇 不思議な本棚 ショートショート・カーニヴァル』寄稿
発売中の『幻想と怪奇 不思議な本棚 ショートショート・カーニヴァル』(新紀元社)に新作短編「奈落の戯曲」を寄稿しています。
昨年刊行され好評を博した『幻想と怪奇 ショートショート・カーニヴァル』の第二弾です。
私は昨年の第一回『幻想と怪奇』ショートショート・コンテストにて「せせらぎの顔」が優秀作入選し、前書に掲載していただきました。今回は編集室より新作の執筆依頼をいただいたのですが、「本について、または本のある場所についてのお話を書いてください」とのことでした。
これは簡単なようで難しいテーマですよね……
なにしろ、本のことを書いたお話が本になるという……
読者は実在の本を手にしながら、本についてのお話を読むことになるわけで、考えただけで軽くクラクラします。
そして出来上がった『不思議な本棚』という、まるで絵本か児童書のようなシンプルなタイトルが、集められた作品の幅広さ、そして濃密な混沌とした内容を表しているかと思います。
私は「奈落の戯曲」というお話を書かせていただきました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私は小説を書き始めるまでは戯曲を書いていました。
世の中にさまざまな「本」がありますが、私にとって一番身近だった「台本(ほん)」を今回は取り上げてみました。
奈落というのは、簡単に言うと劇場の床下部分です。『オペラ座の怪人』を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、私の描いた奈落はあんな広大なものではなく、小さな劇場の奈落です。狭く、ほとんど身動きも取れないような暗闇に落ちている、まだ誰も読んだことのない戯曲のお話です。
劇場ならではの不思議な闇の質感を感じて頂ければ幸いです。
他の26名の錚々たる執筆陣、それに第二回『幻想と怪奇』ショートショート・コンテスト入選作品も掲載されています。
寄稿作品も入選作品もそれぞれ世界観も文体もさまざまで個性があって素晴らしく、どれも唯一無二の「幻想と怪奇」の世界です。
YOUCHANさんの表紙イラストも美しく、自分が関係していることを除いても、本当にお薦めの一冊です。
そうそう、クラクラしてしまう要素をもうひとつ。
寄稿作品の最後に「登場書籍/作品目録」というものが掲載されています。
作品で言及されている書籍や文学作品の一覧なのですが、これがですね、実在のものと架空のものが入り混じり、対等に並べられているのです!
ぱっと見ただけでは「これは実在?架空?」と判断のできない書名もいくつもあって、足元が揺らぐような気分になります。まさに自分が「不思議な本棚」の前に立っているかのような……
ぜひ皆さまにもお手に取っていただき、このクラクラする感覚を味わっていただければと思います。
ちなみに、一年前の記事はこちら☟