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私にとっての「ボーダレスデザイン」 - less is more

「ボーダレスデザイン」は私が大切にしているデザインの基本の方針であり、中身である。

今のところ、辞書のようなもので定義されているには、以下のような意味があるらしい。

** ボーダーレスデザイン
【英】Borderless Design**
ボーダーレスデザインとは、「ボーダーレス(縁のない)デザイン」ということでベゼル幅が極限まで削減された狭額縁設計のディスプレイを表現する語である。ソニーモバイルが「Xperia XA1」の特徴のひとつである狭額縁設計をボーダーレスデザインと表現している。
(IT用語辞典バイナリより引用)

どうもしっくりこない…。こういうことではないのである。

ここで、ボーダレス・デザインという単語をそれぞれ辞書で調べてみる。

** ボーダー‐レス
〘名〙 (形動) (borderless)**
境界がないこと。国境がないこと。ジャンルに分けられないこと。また、そのさま。
(精選版 日本国語大辞典より引用)

とてもわかりやすく書いてくれていて、参考になりますね。
(より簡単に書いてある辞書を選んだはずなのに難しく見える…。)

ポイントとなるフレーズは「境界がないこと」である。私が目指すデザインは「境目のないデザイン」です。


ボーダレスデザイン = 境目のないデザイン

世の中のものには、あらゆるものに境界というものが存在します。国境だったり、日付だったり、デスクのテリトリーだったり、地下鉄の椅子のスペースだったり、内と外だったり、細胞膜だったり。色々なものに存在するその境目を感じさせない、境目をなくしていくことが、「ボーダレスデザイン」が行き着く究極のカタチです。

でも、境目の中には、あってこそ良い境目もあります。プライベートの時間や、預金通帳とか。そういった中で、全ての境目を感じさせないようにするのは至難の技であり、それが目的ではありません。

あくまでも、私の定義する「ボーダレスデザイン」は、デザインとそれを取り囲むものとの間に隔たりを生まないデザインです。それが、境目のないデザイン、つまりは、シームレスに分野を飛び越えてゆくデザインです。


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ボーダレス = 壁をつくらない、ということ。

その上で、以下のような他分野との連携や飛び越えるデザインを重点的に考えています。

◆ 地域に飛び込む
◆ 身体に左右されない
◆ わざ(=デザインのスキル)を生み出す
◆ 性別を問わない
◆ ネットワークとつながる
◆ 技術を取り入れる
◆ 幅広い表現で描く
◆ 年齢を感じさせない

これらのポイントを通して、デザインというものに壁をつくらず、誰もがデザインの主人公になれる、参加できるデザインを、みんなでつくり上げていくことが、目的です。


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デザイン = 何をどうするか、考えること。

デザインは、何をどうするかを考えて、行動する必要があります。例えば、カップラーメンを食べたいと思った時に、お湯を沸かす、かやくを開ける、お湯を注ぐ、待っている間に飲み物を準備する、開けてかき混ぜる、食べる、といった一連の行為を順番に進める人が多いでしょう。これも、カップラーメンを食べるための、時間のデザイン。そんなように、何をどうするかを、その場の状況に応じて考え、問題に寄り添って、物事を動かしていくことが大切だと思います。

その手段として、デザインがあるわけで、例えば、ボーダレスデザインを実現する手段は、コミュニティデザインかもしれないし、コミュニケーションデザインか、ソーシャルデザインか、コラボレーションデザインかもしれない。たくさんの方法があって、その中でどうするかを考える必要があります。

つまり、壁をつくらない、ということは、それを行う側も壁をつくって学びを進めるわけにはいかない、ということになります。そういったことは、総合デザインの考え方に近いかもしれませんが、根幹は境目のないデザインを展開することです。


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Less is More = より少ないことは、より豊かなこと。

最後に、ボーダレスデザインと非常に関わりの深い、お馴染みのフレーズに触れておきましょう。

より少ないことは、より豊かなこと。ボーダレスデザインの中では、例えば、ジェンダーレス、エイジレス、バリアレス、といった、境目を減らしていきたい要素があります。これらを達成できると、より豊かになる、ということです。減らすのに、豊かになる。不思議です。

でも、例えば、化粧品は女性向けにつくられているものがほとんどです。逆に男性用化粧品というカテゴライズがあるほど、隔てれられています。この隔たりは本当に必要なのでしょうか。男性も女性も使える化粧品があってはならないのでしょうか。実際にジェンダーレスな化粧品はありますが、これが広がれば、いろいろな化粧品の選択肢の幅が広がるのではないでしょうか。価格も抑えられるのではないでしょうか。男性肌とよく言われるような、皮脂が多い肌を持つ女性も悩んでいるのではないでしょうか。さらに言えば、そういった隔たりを感じている人、疎外感を感じる人が少なくなれば、豊かな暮らしに近くのではないでしょうか。

これこそ、Less is Moreであり、無いことこそ、単純で、シンプルで、人間の思考・選択に委ねられ、一人ひとりが違った生活を見出せ、豊かな暮らしへと実ってゆく。そんなことがこの日本で起きればいいな、と思っています。

それが、ボーダレスデザインであり、Less is Moreであり、境目のないデザイン、そして、みんなにとっての日常であると思います。


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最後に、

そもそも、万物に境界は必要なのか。

私は、ボーダレスデザインの取り組みを通して、

その問いに答えを導いていきたい。



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